きつねとかわうそ/梶山俊夫:再話・画/福音館書店/2016年
山のきつねと、かわにすむかわうそが、道でであって「ごっつおの よびあいを しねえか」となって、きつねは、かわうそいえで、やきざかなをいっぺ いっぺごちそうに。
次の日、かわうそが、きつねのいえにいってみると、きつねは、てんじょうばっか むいて へんじもしねえし、ふりむきも しねえ。かわうそは、しかたなく うちへ かえったてや。
次の日、きつねは、かわうそのうちで、いっぺ いっぺ ごちそうに。
次の日、かわうそが、きつねの家に行くと、きつねは こんどは したばっか むいて へんじも ふりむきもしねえ。かわうそは、おこって、うちに、かえたってや。
仏の顔も三度ならぬ二度。次に、かわうそは、きつねがやってくると、こんどはさかなをくわせず、川に氷がはったら、しょんべんで、あなをあけて、しっぽを つっこんでおけば ひきあげられないほど さかながとれると、はなしてやります。
真に受けたきつねが、こおりに穴をあけ、しっぽをつっこんでいくと、川は しみしみ こおってくってや。さかなが いっぺ とれたかなと しっぽを ひきあげようとすると、なかなか、ひきあげられない。ははー、ひきあげられないほど さかなが かかったとと、ほくほくしたきつね。
そこへ、こどもらがやってきたので、あわててにげようと、しっぽがひきあげても、こおりついていて、あげつことも、できん。
りきんでりきんで、しっぽをひきあげると、しっぽは ねもとから ぷつんと、きれてしまった。
昔話には、どうしても方言が欠かせません。共通語では、特有のリズムがでてこないのです。新潟の昔話がもとになっているようですが、岩手、青森にも同様の話があり、イソップのほか、外国にもにもみられるパターン。
梶山さんの ぴったりの絵と方言が楽しめます。