昔話のパターンも様々で、ひとくくりできませんが、人間が出てくるものでは、主人公は、どうしても男性が主人公のものが多い。
もちろん女性が活躍するものもおおく、美しく賢い少女が 敵役を手玉に取るのは爽快。ただ若いというのが曲者で、今のイメージでいえば、おばあさんを別にすれば、20代以上というのはあまり例を見ない。
外国のものでいえば、美しいというのも、女性は美しくなければという考えが見え隠れする。日本のものでは、「むかしむかし、おじいさんとおばあさんがいました」とはじまって、それが当たり前とおもっていて、なぜ おばあさんが はじめにこないか 疑問がわく。そして働きに行くのがおじいさんで、おばあさんは川に洗濯に行くとなれば、性別役割分業が入り込む。
ただ、もとは男性が主人公の昔話を、女性にかえた語りを聞く機会があったが、主人公が女性にかわっても違和感がないというのも面白い。昔話の成立期は、その時点の社会情勢が反映されていると思えば、ジェンダーフリーのご時世では、主人公が女性であってもおかしくない。昔話は、時代が変わっても柔軟に対応できるようになっているのかもしれない。
いま昔話といっているものも、昔の原型がそのまま残っているかというと、昔話集として編集する過程で、方言が共通語におきかわったり、なんらかの要素がつけくわえられたりしている。最近面白いと思ったのは、絵本「エリック・カールのグリムどうわ」の「3本の金いろのひげ」。グリムでは「三本の毛のある悪魔」のタイトルが普通ですが、主人公が男から女に、髪をひげとして再話されています。女性といえば、どちらかというと、受け身な存在なのが、男女を逆転することで、いきいきとした”むすめ”になっていました。(18歳で女王になるという予言からはじまる)。