どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

牛どろぼう・・インド

2023年11月17日 | 昔話(アジア)

  人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール暎子・編訳/ちくま少年図書館67/1982年

 

 雄牛を盗まれたお百姓が、「盗まれた一頭をとりもどすより、八頭の牛を買うほうがかんたんだ」ということわざどうり、村から遠い牛市にでかけました。

 数ある牛の中に、忘れもしない自分の雄牛を見つけました。子どもときから育ててきたので見まちがうはずがありません。俺の牛だと主張する男に、「一年以上も飼っていたなら、なんでも知っているだろう。ひとつたずねるが、どっちの目がみえないんだね?」と、尋ねます。

 男は、二、三日前に盗んだので、牛の目に注意を払っていませんでしたが、疑われたらたいへんと、ためらわず、「左目さ」と、答えます。お百姓が、「違うぞ、右の目さ。右目が見えないんだよ。こいつは」というと、こんどは、男が右目だとこたえます。そこであつまった人にお百姓は言います。

 「おーい、みんな見てくれよ。この牛のどっちの目が悪いかな。ほれ、両目ともとっとも悪くないんだよ。わしは、この男がほんとうのことを知っているかどうか、試してみたのさ」。

 男は牛どろぼうとして、裁判で六か月の刑をいいわたされました。

 

 疑わしい電話があったら、こんな ”かま”をかけてみたいもの。


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