まよなかのおはなみ/星野はしる・作 菅野由貴子・絵/福音館書店/2006年
満月の夜、お父さんと散歩していると、どしんどしんと 電信柱がおいこしていきました。一軒の前で立ち止まると、ずずっ ずずずずっと やってきたのは灯籠。
大通で 倒れていたポストを たすけおこすと 「お花見にいきたくて」と、赤い顔をもっと赤くして いいました。
ぼくと、お父さん、電信柱、灯篭、ポストに神社の狛犬が くわわり、満開の桜の木のそばにいくと、遮断機、薬屋のゾウ、稲荷神社のキツネ、公衆電話。
いつもは、町の中で、じっとしているものたちの 年に一度のお花見でした。
土の中から、古びた瓶を 掘りだすと、その中には 甘い匂いの花びら漬けが。花びらをたべ、歌って踊った後は、来年の準備です。
桜のはなびらを、瓶のなかにいれ、塩、酒、はちみつ、氷砂糖、ラムネを 一つ入れ、次の年までまつと、おいしい「花びら漬」の完成です。
電信柱が出てくるところは宮沢賢治風? 夜の花見には、なにか不思議なことがおこるのかも。
「けっこう」「うまい!」「にっぽんいちー」と「花びら漬」のなんとおいしそうな感じです。