エリック・カールのグリムどうわ/エリック・カール:再話・絵/木坂涼・訳/偕成社/2024年
エリック・カールのグリム昔話の再話&絵ですが、ちょっと一味違ったものになっています。エリック・カールと昔話は結びつかなかったのですが、「イソップものがたり」も ありました。
「しあわせハンス」「りょうしとおかみさん」「おやゆびトム」「3本の金いろのひげ」「7つの命をひと打ち」の5話と、ずいぶん贅沢な構成です。数あるなかから なぜこれを選んだのかも興味がありました。
「しあわせハンス」は、七年分の給金としてもらった金のかたまりを、馬ととりかえ、牛、豚、ガチョウととりかえていき 最後は、なにもなくなる話。お人よしすぎて、おもわず あーあー となりますが、エリック・カール版は、人にとって、何が幸せか じっくり問いかけてきます。母親が、長く会えなかったハンスを 大歓迎するオチは グリムにはないもので、オチによって、まったくイメージがちがうことの典型でしょうか。
五話は、いずれもグリムよりみじかくなっていますが、「3本の金いろのひげ」は、主人公が男から女に、髪がひげに かわっています。
「7つの命をひと打ち」は、ハエをいっぺんに七匹たたいたことからはじまる冒険談。本人が勘違いするだけなのですが、なにものにも動揺することのない仕立て屋になっています。
人物、動物、風景と まさしくエリック・カールを堪能できる絵本です。