どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ゆうかんなアジク・・中国満族の民話

2024年05月26日 | 絵本(昔話・外国)

  

   ゆうかんなアジク・・中国満族の民話/趙朝勲・再話 徐喚民・趙朝勲・絵 関野 喜久子・訳/福音館書店/1997年(1994年初出)

 

 平和に暮らしていたガーシャンという村に、九つの頭を持つおそろしい鳥がやってきて、村をめちゃめちゃにし、人や動物を 山の洞窟につれていってしまいます。

 父親をつれさられたこの村のアジクという勇敢な若者が、仲間とともに鳥を退治にでかけます。アジクは、崖から垂れ下がっているフジのつるをつかまえてたすかりますが、仲間たちは 暗い洞窟に 吸い込まれてしまいます。ところがこのつるは、おおきなうわばみでした。そしてこのうわばみは、両親がたべられ、フジのつるにかえられた娘でした。
 娘は、「鳥を退治するためには ほしやまの頂上にある天から落ちてきた石を二つ とってきて、百人の手であたためれば石はあかるくひかり、その光を九つの頭を持つ鳥に見せれば、目がくらんで見えなくなるでしょう」というと、またもとのフジのつるにかわってしまいます。

 フジのつるのおかげで、石を二つ手に入れたアジクは、なんとか洞窟にたどりつきます。そして、洞窟の暗闇にいる父親や村びとの手で、石をあたためると、石は夜空の星のように光りはじめます。鳥は明るい光に目がくらんで、洞窟のあちこちに からだをぶつけます。

 アジクは 狙いを定めて八つのあたまをきりおとしますが、とびかかった血には 毒が入っていて、その場に倒れ、頭がひとつになった鳥は、遠くへ飛び去ってしまいました。

 村には、平和がもどりますが、あのおそろしい鳥が ふたたびちかづかないように、正月がちかづくと、氷を いろいろなカタチにほって、家の前におくようになりました。

 

 由来話ですが、氷の彫像には、アジク像や魚、お釈迦様?などが えがかれています。

 主人公の死、おそろしい鳥の生き残り、さらに、フジつるにされた娘がどうなったかにふれられていないのも昔話らしい。


 アジクや村の人たちが、辮髪なのが満族の話らしいところ。そして、あかるい色合いも怖さを感じさせません。


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