うみに しずんだ おに/脚本・松谷みよ子 画・二俣英五郎/童心社/1973年
四国土佐の久礼湾にうかぶ大きい岩と小さな岩、双名島の伝説です。
むかし、山奥に鬼の親子が住んでいました。
ある日、海の神さまの怒りをしずめようとお祈りしているおじいさんと孫にあいました。海が荒れて、浜の人々が次々と海にさらわれ、ふたりだけになったというのです。
ある時、凄まじい嵐で海が荒れ、鬼はおじいさんと孫の事が気になりました。そこで、二つの大岩に穴をあけ、金棒をさしこむと、海へ運んで行きました。
どうしても一緒にいくと泣きじゃくる子おにを、岩に乗せ、腰が砕けそうになりながら海へでました。いつかのじいさまと孫がみていました。
岩の上からおりて まつようにいわれた小おにも、どうしてもいくと、ふたりで海の中へ。しかし、すさまじい 波に 足をすくわれて 鬼は どうっとたおれます。たおれながら、親鬼は小おにを溺れさせまいと、片手で小おにをささえながら しずんでいきました。
泣いて泣いて、泣き疲れた子おには岩になってしまいました。
親子で遊ぶ楽しそうな冒頭の場面が、松谷さんらしいと思いました。また、二俣さんがえがく鬼の表情がなんともいえません。