各地にみられる巨人伝説。巨人伝説には、その地方の人にはなじみの山や川がでてきます。
・ダイダラ坊(茨城のむかし話/茨城民俗学会編/日本標準/1975年)
大きさを表すのもいろいろですが、声をかけてもなかなか声が届かないダイダラ坊というのは、どのぐらいのおおきさでしょうか。
南に高い山があって、日があまり当たらず作物も十分にとれなかった貧しい村のために、ダイダラ坊は、汗だくになって山を北の方に移してしまいます。(この山が朝房山)
ところが山を動かすとき、ダイダラ坊が指で土を掘ったので、そのあとさ水たまりができて、雨が少しでも多く降るたんたびに、その水があふれて大騒ぎ。そこでダイダラ坊は水が流れるように川をつくり、その下の方に湖を一つつくりました。(この湖が千波湖)
また村人が、洪水を防ぐため堤をつくっていると、ダイダラ坊は土運びを手伝い、堤づくりは うんと早く終わってしまいます。この仕事の時、かごから少し土がおっこちて、それが峰山になったという。
もうひとつ、ダイダラ坊は、貝を食べるのがとても好きで、食べた貝殻をすてたところが大洗町という。
・デーランボー(長野のむかし話/長野県国語教育学会編/日本標準/1976年)
浅間山と碓井峠の山のおくに住んでいるデーランボー。碓井峠に腰をかけると、足は妙義の谷間。
・大力男(山梨のむかし話/山梨国語教育研究会/日本標準/1975年)
八ヶ岳のふもとに、えれえ力持ちの男が住んでいただと。村中の人がみんなでとっかかっても建てられない氏神様の石の鳥居を一晩で建てたという。たばこをすっているとき、追剥にあい、立ち上がると、その追剥は、隣村の釜無川の河原まで吹っ飛んでしまいます。