この冬の渡りのカモは種数も個体数もこの数年の中で一番少なかった。その一番の理由は、池の水草が減ってしまったことだろう。
しかし、それだけではないかもしれない。
この冬特記すべき出来事は、トモエガモが一冬逗留したことだ。2023年12月16日に2羽のメスのトモエガモが見つかった。
▲2023年12月16日に確認されたトモエガモ♀2羽
トモエガモは、地元の池にはめったに飛来しない。飛来してもすぐにいなくなる。
この冬もすぐにいなくなるだろうと思っていたが、私の記録では2023年12月16日~3月11日までの間、池に逗留していた。
ボートが営業していいないときは、この池の同じ桜の木の枝に2羽でまったりととまっていることが多かった。
トモエガモ2羽はほとんどいつも2羽一緒に過ごしていたので、もしかしたら姉妹だったのかもしれない。渡りの途中で群れの仲間とはぐれたのだろうか。私は昼間しか目にしなったが、たいてい2羽でまったり休憩していた。他のカモたちにとっても餌となる水草が少ないのに、ここにとどまっていたのはなぜだろうか。
夕方や早朝観察していた人たちによれば、他のカモと一緒に陸に上がって地上の餌を食べていたらしい。渡りも、他のカモに混ざって来たのかもしれない。
ボートの営業が始まるとボートが入り込まない場所に移動する。
▲くつろいでいた場所にカラスが現れて警戒する2羽
▲ボート営業中にくつろぐ場所
ここは、私がいつも通りがかる場所なので、出向いた時にはいつも確認していたが、たまに姿が見えなかったり、1羽しかいなかったりするときがあり、心配した。
ときどき他のカモに混ざっていたり、移動する姿も目にしたことがあった。
▲少し飛んで移動
3月11日、この日もいつもの場所にいるのを見たが、その後目にしなくなった。他の観察者の方に聞いても、いなくなったと言っていたので、北の繁殖地へ向けて飛び立っていったのだろう。3か月見続けて来たので、ちょっと寂しかったが、無事に繁殖地へたどり着いてほしい。
私としてはトモエガモをこんなにじっくり継続して見たのは初めてだったので、来冬は、オスと一緒に飛来してほしい。
▲最後に見たトモエガモ
ここ数年、トモエガモの日本への飛来数がうなぎ上りに増えているらしい。
バードリサーチによると、「トモエガモ全国調査2022/23年の報告 167,757羽のトモエガモが記録されました」とある。
https://db3.bird-research.jp/news/202310-no4/
また、ネット情報によると、北極圏を繁殖地とするガン類やハクチョウ類は温暖化で繁殖場所が増えたり繁殖期間が長くなったりし、個体数が増えていると考えられており、トモエガモも同様の可能性があるという。
トモエガモの逗留は、地元の環境の問題だけではなく、世界規模の環境の問題だったようだ。