鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

かいぼりした池とカイツブリの子育て覚書 その2

2014年08月31日 | カイツブリ類
井の頭公園のお茶の水池で、2羽のカイツブリの雛が独り立ち始めたころ、ボート池の端で、もう一組のカイツブリの巣の雛が孵った。




今までカイツブリは、たいていお茶の水池に営巣することが多かった。ボート池は、たえずボートが近寄って来るので、リスクが大きいはずである。しかし、お茶の水池には先住者がいるため、あとから来たペアは、ボート池を選ばずを得なかったのだろう。

初めは池の中ほどに巣を作ろうとしていたが、最終的にはボートが近寄れない池の端で営巣・産卵し、4羽の雛が孵った。



雛が孵ると、親は4羽の雛を連れて、ボートが行き交う池の方へどんどん泳いでいくので、見ている方ははらはらしたが、上手にボートをよけながら、うまく過ごしていたようだった。

ピィピィ鳴きながら泳ぎ回る小さな雛の愛らしい様子は、多くの人たちに注目され、新たなカイツブリ・ファンを増やしていった。

4羽の雛を育てるのは、親にとってとても大変だと思われるが、その当時、餌は潤沢にあるようで、つぎつぎに捕ってきては与える様子が見られた。

この魚はなんだろう。はぜのなかま?


これはブルーギルの稚魚(このころから、かいぼりした池にブルーギルの稚魚がたくさん見つかる)


これは、モツゴ


これはオオヤマトンボのヤゴ。大きすぎて雛はなかなか食べられなかった。


これは鮒の稚魚か。親は勇んで持ってきたが、結局は大きすぎることを悟り、自分で食べてしまったが。


そのほか、トンボの成虫、ヌマチチブらしき魚なども餌になっていた。

この雛が生まれたころ、巣にアオダイショウが襲ってくるという出来事が2度ほどあったらしい。私は見損なったが、見ていた方の話では、親がヘビに水を掛けたり、下からつっついたりして撃退し、事なきを得たらしい。

ある日、私が観察しているとき、親が首を長く伸ばして、あきらかに何かを警戒している様子が見えた。



そして、一声、キッと鳴く。すると、巣の上にいた雛たちは、親の背に乗っていた一番のチビを除いて、全員ぴょんとジャンプして池に跳び下りた。

(ぼけ写真だが)そのときの様子


辺りにヘビの姿は見られなかったけれど、しばらくしてカメが悠然と泳いでいったので、このカメを警戒したのかもしれない。
きっとヘビが出たときもこんな様子だったのだなと思った。

井の頭公園で、2組ものカイツブリが雛を孵すなんて、かいぼり以前は想像できないことだった。

つづく
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かいぼりした池とカイツブリの子育て覚書 その1

2014年08月28日 | カイツブリ類
かいぼりした井の頭池で、久しぶりにカイツブリの雛が孵った。

5月10日のカイツブリ





私が井の頭池でカイツブリの子育ての様子を初めて観たのは2003年5月のこと。雛の愛らしさ、世話をする親鳥のかいがいしさに、すっかり魅了されてしまった。

その後、毎年のように子育ての様子が見られていたのだが、次第になぜかうまく育たなくなり、2010年2月というとんでもない時期に子育てして1羽が育ったのを最後に、子育ての様子は見られなくなってしまった。

カイツブリを個体識別して観察していた井の頭かんさつ会の田中さんは、井の頭池に外来生物が増えたことがその原因ではないかと推測した。
井の頭池は、ブラックバスやブルーギル、ミシシッピアカミミガメがたくさん増え、カイツブリの餌となる小魚(主にモツゴ)やエビなどを食べつくし、大きなブラックバスやアカミミガメは雛を直接襲うような脅威にもなっているようだった。

NPO法人生態工房さんが光が丘公園で行ったかいぼりの報告は、その推測を裏付けるものだった。光が丘でも外来生物が増えるとカイツブリが子育てしなくなり、かい掘りした後はすぐに子育てが始まったそうだ。

そして今年、井の頭池のかいぼりが行われ、かい掘りした後の池に在来魚などが放流されたとたん、かいつぶりが営巣を始めたのである。

カイツブリが子育てできる池に戻したいというのが、かいぼりの目的の一つだったのだが、あまりにも予想通りで、びっくりするぐらいだった。



親は、雛たちに次々に餌を採ってきては与えている。いったい何を与えているのだろうか。
何人かのカメラマンの方々と一緒に、写真に写った獲物をチェックすると、テナガエビ・トンボのヤゴ・小さな小さな小魚(モツゴの稚魚だろうか)、そして小さなザリガニのハサミも写っていた。

池の上には、今まで見たこともない量のアメンボが浮いているが、それも食べているようだ。写真に撮ると、白い点々が写るのは、ユスリカだろうか。

池からは、約200匹いた大きな鯉やフナも捕獲されて他の池に移されたので、カイツブリの雛は、広い池を何恐れることなく泳ぎ回り成長していった。

5月16日の雛



餌をもらう


その後、私自身はアオゲラやコチドリの方に気をとられて、あまり観察しなかったのだが、そこで、悲劇が起こった。
6月上旬、親鳥のオスが、事故死してしまったのだ。

雛たちはどうなるのだろうと心配したが、すでにかなり大きくなっていたので、なんとか自立することができた。

6月26日の雛



仲良く2羽で泳ぎながら、上手にもぐったりもしていた。

7月16日の雛



すでに縞々模様がなくなっている。
その後、たまに池の隅にいるのを目撃したりもしたが、いつのまにかいなくなった。
飛べるようになって、別の場所に移っていったと思いたい。

このようにして復活した井の頭池でのカイツブリの子育ては、その後さらに予想を超えた展開となる。

つづく


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ゴイサギのコロニー騒動覚書

2014年08月20日 | サギ類
4月6日のこと。
Aさんが、午前中池の上に20羽前後のゴイサギが飛び回っていたのを観察された。
昼間にゴイサギが群れで飛び回るのは異例のことである。

その後ゴイサギの数はどんどん増えて、一番多い時は35羽ほどまで数えられ、どうも営巣を始めたらしい。
今までも池の周りにはゴイサギはいたのだが、繁殖時にはどこかへ移動し、また非繁殖期に戻ってくるという感じだった。

そんなある日、目撃したペア


写真ではわかりにくいが交尾行動をとっていた。

その後抱卵が確認され、やがて雛が生まれる。
しかし、こんなにたくさんのゴイサギが、人通りの多い通り・店などの頭上に営巣し始めたということは、当然人間との軋轢も生み、あれやこれやで結局少しずつゴイサギの数は減り、雛が巣立つまでに至ったのは2~3家族だったようだ。

雛の様子は写真に撮りにくいところだったので、双眼鏡で観察するにとどめ、かなり大きくなったところで、記録写真を撮った。
雛が生まれたのは5月末頃、この写真は6月26日。




7月1日には、すでに枝移りし始めた雛もいた。




7月18日。巣の傍の雛。時々地面に降りたりしている。



7月24日 池のあちこちで、餌取りの練習(?)




というわけで、今季のゴイサギのコロニー騒動は終わった。

ゴイサギたちはなぜ、急にこの池にやってきたのだろうか。
一つ考えられるのは、この冬池がかい掘りされ、ゴイサギにとって何か魅力的な状況ができたということ。
もしかして、餌のザリガニが増えたことが関係しているかと思われたが、井の頭かんさつ会の田中さんによれば、ザリガニはゴイサギが捕りやすい場所にはいないそうだ。
(巣の下にはザリガニの残滓も落ちていたが。)

もう一つ考えられるのは、以前のコロニーに不都合ができ、止む追えず引越ししてきたということ。
しかし、これもSさんがわざわざ以前のコロニーの様子を調べに行き、聞き取り調査もした結果、木が枯れたり、人に追い出されたりはしていないそうだ。それどころか、かなり手厚く保護されていたとか。

あるいは、ゴイサギたちは、何らかの理由でときどきコロニー替えをするというようなことがあるのだろうか。

結局理由はわからないまま、来季の様子を待つことになった。

以前大きなサギのコロニーで見たゴイサギの雛の様子をおまけに。




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野球場で子育てするコチドリ その3

2014年08月17日 | シギ・チドリ類
その日、子育て中のコチドリがいる野球場に業者が入って、草刈りやらグランドの整備などをやっていた。
コチドリはどうしているだろうと気になって、ホームベースの位置からセンターまで半周しながら姿を探す。

するとやっと親2羽がフェンスのすぐ近くに来ているのがわかった。
フェンスの網の近くで盛んに鳴いているので、もしかしたらフェンスの下の隙間から雛がでてしまったのかななどと思いながら様子を見ていた。そういうことが以前にもあったらしいからだ。

よく見ていると、親は代わるがわる側溝の板の隙間を覗き込みながら鳴いているのがわかった。



これは、どうみても、雛が側溝の板の隙間から下へ落ちてしまったとしか思えない。
実は、このような出来事が何日か前にあったと聞いていたのだ。
この側溝の穴は、グランドを1周しているもので、雛が孵ったときから「危ないね。」とお仲間で話し合っていた。

前回は、見つけた方が公園管理事務所へ連絡して板を開けてもらい、木の板で坂道をつくったら、雛が無事に出てきたらしい。
それで、私も事務所へ連絡してお願いしてみた。

側溝の板が開けられ、板が下されると、親鳥は状況を理解したらしく、開いた部分から何度も雛に呼びかけ、しばらくすると、かわるがわる板の途中まで降りては雛を呼ぶ行動を繰り返した。



そして、雛が姿を現した!



ところが、板をそのまま上まで上がってくればいいものを、雛は途中で横へ降りて、ジャンプして上がろうとしたが、何度ジャンプしても上がることはできず、疲れ果ててその場に座り込んでしまった。

すると、親鳥はその様子を見て、雛のところまで板をおりてゆき、羽を広げて雛を抱きかかえた。雛を暖めているようだ。



しばらくすると、元気になった雛はいきなりジャンプして上へ跳びあがり、たったったっと芝生の方へ走って行った。

これで万々歳と思いきや、実はもう1回側溝落下事件はあったようだ。
人間が気づかなければ、いつのまにか雛が行方不明になって今年のコチドリの子育ては終わっていたかもしれないし、それも運命だったのだろうが、気付いてしまった以上、なんとかしたくなるのも人情である。

そして、この事件の様子を見て、コチドリの親の雛を守ろうとする行動がいっそうよくわかり、ますますコチドリが好きになった。



私がこのコチドリの雛を見たのは上の写真が最後だった。
お仲間の観察によれば、その後親に励まされつつ、なんとか高いフェンスを超えて飛び立っていったそうだ。

6年間のコチドリの子育てを身近で観察して、いろいろなことを知ることができ、とても楽しかった。

来年も、コチドリが繁殖できる場所が見つかりますように。

追記:写真を整理していたら、最後の写真はもっとあとだった。7月13日のコチドリ。

ぼけているが、かなり大人っぽくなっている。旅立ったのはこの2~3日後だったという。
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野球場で子育てするコチドリ その2

2014年08月16日 | シギ・チドリ類
コチドリはどのようにして繁殖場所を選ぶのだろうか。
きっとツバメと同じように、前年繁殖した場所をまず目指して渡ってくるのだろう。
そこが無事であれば、引き続き同じ場所に営巣しようとするに違いない。
そこが繁殖に適さない状況に変わってしまっている場合は、近くの適地を探すのだろう。

生後1年目の若鳥は、自分が生まれた場所に来るのだろうか。
そこにはたぶん親がいて追い払われ、近くの適地を探すのかもしれない。
親がなんらかの事情で渡ってこなければ、生まれ育った場所で繁殖しようとするのかもしれない。
こうして、一見毎年同じ場所でコチドリの繁殖が見られるのだろうと推測される。

例年、最初のペアが渡ってきて繁殖を始めると、必ず他のペアなども同じ場所にやってきて、繁殖地の争奪戦が起こる。相手は、かつての親子か、昨年の繁殖地を失ったペアなのかもしれない。

さて、2014年の今年は、野球場も完成し、ただし芝生養成中ということで利用開始は9月からという状況だった。
コトドリはたぶん飛来するだろうとは予想していたが、芝生と土だけのグランドで営巣することはないだろうと予想していたのだが…。

ある日、交尾体勢のペアが目に入った。(アミメのフェンス越しなので酷い画像。以降、今年はすべてアミメのフェンス越し、遥か遠くでの撮影なので、画像はすべてとても見にくいです。)



そして、芝生とフィールドの境目にどうやら産卵している様子。



そして、長い長い抱卵の末、雛が孵った。(ピクセル等倍でこの画像しか得られなかったが証拠写真)


ふつうコチドリは4個の卵を産み、少なくとも2~3羽は孵るのだが、見落としている間に行方不明になったのか、最初から1羽しか孵らなかったのか、結局育ったのは1羽のみだった。

広い野球場1面を両親と1羽の雛が独占し、特に敵に襲われる様子もなく、雛はすくすくと育っていった。

ピッチャーマウンドの上がお気に入り。お母さんのおなかの下へ入る雛


両親に守られて、球場を走り回る雛




しかし、一つ心配していたことがあり、その心配は現実のこととなった。

(つづく)
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