ボート小屋で営巣したペアは4羽の雛を連れて弁天池(狛江橋側)へ移住してきた。
この区画の反対側には弁天橋があり、そこに別のペアが営巣をしている。まず、そのペアの繁殖記録から。
3月中旬、このペアはとんでもないところで営巣を始めた。池の噴水がもろに巣に降り注ぐ場所なのだ。
▲噴水をもろに浴びる巣で卵を産む。3月17日~4月12日
見守る人たちから、「噴水を止められないか」という要望が出るほどだったが、池全体の保全のために、それはできないと言われ、ただ見守るしかなかった。結局、卵は孵らず(孵ったという人もいたが)、巣は放棄された。
実は昨年もここで営巣したことがあり、もちろん失敗に終わったが、ここぐらいしかカイツブリにとって巣の適地はなかったからだろう。
ペアは、やがて、抽水植物が伸びてきた場所に再度営巣する。
▲雛が孵った。5月18日
この巣では、5月20日に5個の卵全部が無事に孵った。
ペアは、雛が孵ってからまだ1か月も経たない6月に2回目の抱卵に入る。
▲抱卵中 6月7日 巣の近くに一番子が1羽くっついている。
一番子たちは、どうなるのだろうと気がかりだったが、片方の親が合間にせっせと給餌していたり、時には卵をおいて、2羽で世話をしている場面もあり、1番子たちも順調に育った。餌が豊富にあったからだろうか。
▲ペアがそろって1番子たちの世話をする。6月11日
▲卵は5個あったが、そのうちの1羽目が孵化 6月30日
▲巣に異変があったのか、卵1つを残して、引越し 7月7日
この4羽は8月19日現在も無事に育っていることが確認できている。親も次の繁殖はしない様子で、4羽の世話をしながら過ごしている。
▲3羽をの世話をする親と、1羽の世話をする親に別れている。
親が産卵中のギンヤンマを捕らえるのを見て、雛たちもまねをし、ついに成功したようだ。こうして、親と過ごしながら、サバイバル術を学んでいくのだと思われる。
一方、ボート小屋下から移住してきたファイミリーの場合
▲4羽の雛は仮の浮巣で暮らす
この後、このペアは橋のたもとのヒメガマが茂る浅場で、2番子・3番子を育てた。
▲2番子は4羽が孵った。6月3日
▲3番子は5羽 7月23日
こうして、弁天池では18羽の雛が孵ったことになる。
抽水植物の根元で営巣する方が成功率が高いと思われるのに、なぜ、1番子の営巣場所は違うのか。
思うに、営巣を始める3月下旬頃は、まだ抽水植物が伸びてきていないので、カイツブリたちに営巣の適地だと認識されないのではないか。