鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

タシギ観察記

2022年03月17日 | シギ・チドリ類

11月末に地元の河川部でタシギが発見された。タシギは冬鳥で、東京都のレッドデータによれば、[VU]絶滅危惧Ⅱ類になっている。近隣の河川部でもときどき見たことがあるので、私にとってはそれほど珍しい鳥という認識はなかったが、地元で見たのは初めてだった。地元で見られるということは、継続して観察できるチャンスでもある。

最初は、発見した人に教えてもらって見ることができたのだが、その後自分で見に行っても、なかなか見つけることができなかった。じっと潜んでいるとあたりの様子に紛れて目につかない見事な保護色なのだ。それでも、毎日見つけているという人がいると聞いて、諦めずにときどき探しに行き、何度か見つけることができた。

▲遠目で見るとこんな感じ。目を凝らさないと見落とす。

タシギは、発見された11月下旬から、3月上旬まで、毎回ほぼ同じ場所にいた。

その場所で採餌行動を取ったり、休憩したりして一冬過ごしたのだと思われる。

ネットには「食性は動物食の強い雑食で昆虫類、節足動物、甲殻類、種子等を食べる。主に夜間に採餌するが、安全な場所では昼間も行動する。」とあった。地元に飛来したタシギは昼間も行動していたので、安全な場所と認識されていたのだろうか。

採餌は、長い嘴を柔らかい地面や水の中に突き刺して、獲物を採る。確認出来た獲物はミミズで、その時は獲物をくわえて水場にもっていき、洗うような行為が見られた。これは、同じ仲間のオオジシギもやっていた行為である。水中ではどんな獲物を捕っているのか確かめることができなかった。驚いたことに、嘴の先2cmぐらいを自由に動かすことができるらしい。嘴の先に餌を探知する感覚もあるのかもしれない。

▲ミミズを捕らえて水辺へもっていき、洗う。

▲ミミズを食べる。

▲水中の獲物を探す。

嘴は泥だらけになり、時には頭も汚れるからか、採餌中にいきなり羽繕いや頭をかく行為を始めることがある。突然動きを止めて休憩態勢になることもある。近くにコサギやカルガモが来ると警戒する。とても警戒心が強いとあった。日向で羽を緩めて休むこともあれば、嘴を背中に入れて本格的な休憩をすることもあった。残念ながら飛ぶところはみられなかったが、あるいて移動するときは結構素早い。

▲脚でカキカキする

▲羽繕い

▲エンジェル・ポーズ

そんな一連の動きを動画で撮ってみた。(1分以上あります。)

https://www.youtube.com/watch?v=TStchlPpRaY

 

▲羽を緩めて日向ぼっこする

▲嘴を背中に入れてお休み態勢

タシギは人間にとっておいしい鳥なのだそうで、ネットにレシピも載っていたのがちょっとショック。日本で鳥獣保護法により狩猟鳥獣に指定されている。

タシギはこの河川に以前にも飛来していたのに、今までは誰も見つけなかったのかもしれない。この冬はこの程度の観察しかできなかったが、来年も飛来してくれるとうれしい。

 


八重山諸島の鳥たち シギチもいっぱい

2016年04月21日 | シギ・チドリ類
ツバメチドリやオオチドリ以外にも、シギチ類はたくさん見られた。
コチドリなどは大群で採餌していたので、近所で営巣するコチドリたちも、渡ってくるときはこのような群れなんだと改めて感慨にふけったりもした。

トウネン・オジロトウネンなども大群だった。

しかし、概ね遠くだったし、天候が悪くてよい写真にはならなかったので割愛。
ほんのいくつかを紹介するにとどめる。

ツルシギ 与那国島にて



ツルシギは、夏羽の黒っぽい個体しかみたことがなかった。
アカアシシギと同じ田んぼで採餌中だったので、見比べて違いを学んだ。
嘴と脚の赤がきれいだった。

シロチドリ 与那国島にて




セイタカシギ 西表島にて



親子のようだ。

セイタカシギ 石垣島にて


何かに驚いて群れで飛びだした。

セイタカシギ 与那国島にて


八重山諸島の鳥たち ツバメチドリとオオチドリ

2016年04月08日 | シギ・チドリ類
八重山諸島では、シギやチドリもたくさん見られた。
その中で、石垣島ではツバメチドリ、与那国島ではオオチドリがハイライトだった。

ツバメチドリ





ツバメチドリは関東地方で一度見たことがあるが、シャッターチャンスはほとんどなかったので、じっくり見られてよかった。
渡ってきたばかり、たんぼのあぜ道にほとんど座り込むように休んでいた。

オオチドリ(初見)





メスタイプ(メスが若鳥か冬羽?)


ウシが放牧されている牧場に群れで飛来していた。


野球場で子育てするコチドリ その3

2014年08月17日 | シギ・チドリ類
その日、子育て中のコチドリがいる野球場に業者が入って、草刈りやらグランドの整備などをやっていた。
コチドリはどうしているだろうと気になって、ホームベースの位置からセンターまで半周しながら姿を探す。

するとやっと親2羽がフェンスのすぐ近くに来ているのがわかった。
フェンスの網の近くで盛んに鳴いているので、もしかしたらフェンスの下の隙間から雛がでてしまったのかななどと思いながら様子を見ていた。そういうことが以前にもあったらしいからだ。

よく見ていると、親は代わるがわる側溝の板の隙間を覗き込みながら鳴いているのがわかった。



これは、どうみても、雛が側溝の板の隙間から下へ落ちてしまったとしか思えない。
実は、このような出来事が何日か前にあったと聞いていたのだ。
この側溝の穴は、グランドを1周しているもので、雛が孵ったときから「危ないね。」とお仲間で話し合っていた。

前回は、見つけた方が公園管理事務所へ連絡して板を開けてもらい、木の板で坂道をつくったら、雛が無事に出てきたらしい。
それで、私も事務所へ連絡してお願いしてみた。

側溝の板が開けられ、板が下されると、親鳥は状況を理解したらしく、開いた部分から何度も雛に呼びかけ、しばらくすると、かわるがわる板の途中まで降りては雛を呼ぶ行動を繰り返した。



そして、雛が姿を現した!



ところが、板をそのまま上まで上がってくればいいものを、雛は途中で横へ降りて、ジャンプして上がろうとしたが、何度ジャンプしても上がることはできず、疲れ果ててその場に座り込んでしまった。

すると、親鳥はその様子を見て、雛のところまで板をおりてゆき、羽を広げて雛を抱きかかえた。雛を暖めているようだ。



しばらくすると、元気になった雛はいきなりジャンプして上へ跳びあがり、たったったっと芝生の方へ走って行った。

これで万々歳と思いきや、実はもう1回側溝落下事件はあったようだ。
人間が気づかなければ、いつのまにか雛が行方不明になって今年のコチドリの子育ては終わっていたかもしれないし、それも運命だったのだろうが、気付いてしまった以上、なんとかしたくなるのも人情である。

そして、この事件の様子を見て、コチドリの親の雛を守ろうとする行動がいっそうよくわかり、ますますコチドリが好きになった。



私がこのコチドリの雛を見たのは上の写真が最後だった。
お仲間の観察によれば、その後親に励まされつつ、なんとか高いフェンスを超えて飛び立っていったそうだ。

6年間のコチドリの子育てを身近で観察して、いろいろなことを知ることができ、とても楽しかった。

来年も、コチドリが繁殖できる場所が見つかりますように。

追記:写真を整理していたら、最後の写真はもっとあとだった。7月13日のコチドリ。

ぼけているが、かなり大人っぽくなっている。旅立ったのはこの2~3日後だったという。

野球場で子育てするコチドリ その2

2014年08月16日 | シギ・チドリ類
コチドリはどのようにして繁殖場所を選ぶのだろうか。
きっとツバメと同じように、前年繁殖した場所をまず目指して渡ってくるのだろう。
そこが無事であれば、引き続き同じ場所に営巣しようとするに違いない。
そこが繁殖に適さない状況に変わってしまっている場合は、近くの適地を探すのだろう。

生後1年目の若鳥は、自分が生まれた場所に来るのだろうか。
そこにはたぶん親がいて追い払われ、近くの適地を探すのかもしれない。
親がなんらかの事情で渡ってこなければ、生まれ育った場所で繁殖しようとするのかもしれない。
こうして、一見毎年同じ場所でコチドリの繁殖が見られるのだろうと推測される。

例年、最初のペアが渡ってきて繁殖を始めると、必ず他のペアなども同じ場所にやってきて、繁殖地の争奪戦が起こる。相手は、かつての親子か、昨年の繁殖地を失ったペアなのかもしれない。

さて、2014年の今年は、野球場も完成し、ただし芝生養成中ということで利用開始は9月からという状況だった。
コトドリはたぶん飛来するだろうとは予想していたが、芝生と土だけのグランドで営巣することはないだろうと予想していたのだが…。

ある日、交尾体勢のペアが目に入った。(アミメのフェンス越しなので酷い画像。以降、今年はすべてアミメのフェンス越し、遥か遠くでの撮影なので、画像はすべてとても見にくいです。)



そして、芝生とフィールドの境目にどうやら産卵している様子。



そして、長い長い抱卵の末、雛が孵った。(ピクセル等倍でこの画像しか得られなかったが証拠写真)


ふつうコチドリは4個の卵を産み、少なくとも2~3羽は孵るのだが、見落としている間に行方不明になったのか、最初から1羽しか孵らなかったのか、結局育ったのは1羽のみだった。

広い野球場1面を両親と1羽の雛が独占し、特に敵に襲われる様子もなく、雛はすくすくと育っていった。

ピッチャーマウンドの上がお気に入り。お母さんのおなかの下へ入る雛


両親に守られて、球場を走り回る雛




しかし、一つ心配していたことがあり、その心配は現実のこととなった。

(つづく)