鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

カイツブリ2020 まとめ

2020年10月24日 | カイツブリ類

2019年、2020年と、地元の池ではカイツブリの雛が40羽以上誕生したわけだが、それらの雛たちは、その後どうなったのだろうか。

池には今数羽の若鳥がいるが、他の若鳥たちは、無事に成鳥になって、どこかへ飛んでいったのだろうか。

今地元に残っている若鳥たちは、親の給餌は受けていないが、親とともに行動しているものもいる。一番子たちは池からいなくなっているようだが、2番子たちは、大きさは同じぐらいでも、いろいろなタイプがいる。

 

▲親兄弟から離れ、完全に独り立ちして河川部で暮らしている若鳥 10月1日

▲まだピイピイ鳴きながら親鳥についてまわる若鳥。

鳴き声がだんだん濁ってくるので、声変わりと(私は)呼んでいる。

繁殖を終了した親鳥は、あまり邪険に追い払わない。

▲家族そろって暮らしている一家(10月14日)

▲オオバンの様子に興味津々の若鳥

今まで観察してきた中で、カイツブリが一人前になるまでに、親から多くのことを学んでいるらしいことはわかってきた。

餌の種類・餌の捕り方はもちろん、巣の作り方(水草で巣を補強するのをまねる)・卵の暖め方(親が産んだ卵の上に座る)・ヘビなどの天敵への対処の仕方(親と一緒に威嚇する)、そして今年は縄張り争いの仕方まで学んでいることもわかった。

 

かいぼり後、餌はある程度豊富になっているので、今年の繁殖の苦労は、巣づくりや天敵問題が目立った。

地元では3種類の巣が作られる。

抽水植物の根元:一番安定している巣。場所が限られている。

木の枝に巣材を掛けた巣:抽水植物がないエリアで多く見られる。場所が限られている。水位が変わると壊れやすい。木の枝を伝ってカラスやヘビが襲ってくる。

沈水直物の上に浮く巣:簡単に作れる。流れやすい。

よい場所に巣をつくることが繁殖の成功につながるので、その確保が大事なのだろう。ペアの気持ちが合わないとうまくいかない。

 

今年は天敵(アオダイショウ・スッポン・カラス)の被害が増えた。ある生き物が増えれば、それを狙う生き物も増えるのは自然の摂理。カイツブリたちが、天敵への対処の仕方をどう身に着けていくかが成功のカギとなるだろう。

「ここはカイツブリたちの楽園だ。」という人がいたと耳にしたが、生き物たちには楽園はないのだと思う。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カイツブリ2020 備忘録⑦

2020年10月23日 | カイツブリ類

弁天池は、かいぼり後もなかなかカイツブリの繁殖が成功しなかったエリアだった。

抽水植物も生えていないし、水面に垂れ下がる適当な樹の枝もない。何度か営巣しても巣が流れたり壊れたりで、孵った雛も全滅してしまったことさえあった。しかし、2018年、ミズキの樹の枝がいい具合に水面にかかるようになり、そこでかいぼり以来初めて繁殖が成功した。2019年も同じ場所で繁殖したのだが、なんとそのミズキが伐採されてしまったので、今年はどうなるのだろうと心配していたのだ。

▲1月の伐採された樹

案の定、弁天池をテリトリーとするぺア(Gペア)は、営巣する場所を探してあちこちを彷徨っているかに見えたが、やがて、ツツジの茂みの中に巣を作る。私には見えなかったが、卵もいくつか産んだようだ。しかし、何があったのか、その巣は雛の誕生を待たずして放棄された。

▲池に張り出すツツジの陰の巣で抱卵中 5月3日

 

やがて、今度は、池の中央にイトモを積み上げて巣を作る。ここでも、卵は5つ。

▲イトモで作った浮巣で抱卵中(5月25日 )水面の赤い色は、弁財天の建物の影である。

巣は下の水草に支えられているものと思われる。

▲3羽の雛が誕生 最初の餌はイトトンボ(ムスジイトトンボ)6月11日

雛は予定日に次々と誕生。4羽の雛が生まれたときのことだ。

何か違和感がある。それは何だろうかと思って見ていると、なんと巣の位置が移動しているのだ。

その日の夕方には、残りの卵を一つ乗せた巣は、どんどん岸辺の方へ移動してしまい、ペアは4羽の雛を抱えたまま、その巣を放棄せざるをえなかった。

▲4羽目の雛が孵り、残すは卵1つ。6月12日。なんとなく落ち着きがない。

▲巣は流れていく。

▲親の背中で夜を明かすのか。

翌日心配して見に行くと、巣は沈んでしまっていたが、4羽の雛は親の背中に乗っていて無事。親は新しい巣をせっせと作り始めていた。

▲新しい巣で休む雛たち 6月18日

その後は、4羽はすくすくと育ち、Gペアは2番子の営巣に入った。

今度は別の樹の枝に作る。雛が3羽誕生。

▲2番子の巣で抱卵中 7月16日 

▲3羽の雛が孵る。卵はまだ残っている。8月1日

しかし、ある日見に行くと、巣が無くなっていた。

水位が下がって、巣材を掛けてあった枝が浮いてしまったようだ。

▲遠くに3羽の雛が無事なのを確認 8月2日 

▲水草で新しい巣を急遽作る親たち 8月4日 

この後雛が1羽いなくなる。やはり生まれてすぐの雛には過酷な試練だったのだろう。

 

水位が戻ると、ペアは再度同じ枝に営巣を試みるが、今度はアオダイショウに襲われて、卵もろとも巣を放棄せざるをえなかった。

▲アオダイショウに襲われて、放棄した巣。卵が残ったまま 8月24日

▲残った雛2羽は、すくすくと育った。 9月11日

こうして、Gペアは、巣が流れたり、浮いてしまったり、アオダイショウに襲われたりしながらも、4羽+3羽(-2羽)の7羽の雛を孵した。

まとめとその後につづく

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カイツブリ2020 備忘録⑥

2020年10月22日 | カイツブリ類

ボート池の桜の枝で1番子を5羽育てたEペアは、Fペアと縄張り争いをしたあと、橋の正面に浮巣を作った。

▲イトモで作った浮巣 7月19日

▲卵は3つ。7月30日

何しろ、ボート乗り場にも近いので、ボートがすぐ近くに来る。店の人が「鳥の巣があるから近寄らないように」と注意してくれたが、

気づかない人もいるので、見物人たちが橋から大声で注意したりしていた。

その上、カワウが近寄ってくるし、卵を狙うスッポンが3匹もあたりをうろついていたので、親鳥は、卵をあたためる暇なく絶えず警戒したり、追い払ったりで忙しそうだった。

巣の上にオオタカが乗った写真を撮られた方もいた。

卵は4個産んだようだが、3個に減ってしまった。

▲2羽の雛が同日に孵る。8月9日

▲3羽目も10日に孵る。写真は8月12日

▲雛は2羽になってしまった。8月18日

こうしてEペアは、結局1番子5羽、2番子3羽(-1羽)計8羽の雛を孵した。

Fペアは、最初の巣が流れて不安定だったせいか、2番子の巣は、弁天池エリアに作る。

▲8月2日、見ている前で卵を一つ産んだ。

▲8月23日 3個の卵のうち1個が孵る。

▲3羽とも無事に生まれた。8月31日

▲9月1日の雛

▲古巣のあった場所へ雛を連れていく親 9月21日

やはりここが自分たちのテリトリーだという意識があるのだろうか。

 

Fペアは、3羽+3羽で、6羽の雛を孵したことになる。

一等地以外で営巣したボート池のペアたちは、巣を作るためのよい場所がなくて苦労した面もあったが、なんとか2番子まで育てることができた。

最後に初めから弁天池エリアで営巣したGペアの場合につづく。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カイツブリ2020 備忘録⑤

2020年10月21日 | カイツブリ類

Eペアは、ボート池の桜の枝で営巣し始めた。ここは、以前にも営巣された場所だが、ボートが乗り入れて巣を壊したり、ボートが起こす波で巣が壊れたりしたことがあるリスクが大きい場所である。しかし、幸いなことに(?)コロナの影響でボートが営業していなかったので、当面は平和だった。

▲5月3日 交尾

▲5月12日 抱卵中 卵は5個

雛が孵り始めたころ、ボートの営業が始まることになった。そこで、巣を保護する柵が作られる。

おかげで、5羽の雛が無事に誕生した。

▲6月9日 泳ぎだした5羽の雛たち

▲6月12日の雛たち

▲6月16日の雛たち

Dペアとの縄張り争いに負けたペアだったのかもしれないEペアは、幸運も手伝って、無事に1番子を育てることができた。

ボート池には、実はもう1ペアが営巣し始めていた。 Fペアと呼ぶ。

▲Fペアは、初めボート小屋の建造物に巣を作る。 5月5日

▲卵を一つ産むが、すぐに転がり落ちてしまった。

▲次いで、岸近くのモミジの樹の下に浮巣を作る。5月17日

浮巣が流れたり、カラスに襲われたという話もあったが、なんとか巣を保って、結局3羽の雛を孵した。

 

▲Fペアの3羽の雛 6月21日

EペアとFペアは、池の対面に位置していたので、ある日ちょっとした縄張り争いがおこる。

▲3羽の雛を連れたFペアを威嚇するEペア  7月2日

この時の争いでは、お互いに胸を突き出すような態勢で威嚇するだけで、直接ぶつかり合うことはなかった。

しかし、驚いたことに、雛の一羽が果敢に相手の成鳥に挑み始めた。

▲成鳥に挑む雛 あっけなく沈められる。

このとき思ったのは、これも一つの学習なのかもしれないということだった。

雛たちは、親に連れられて餌の捕り方、巣の作り方、ヘビなどの天敵への対処の仕方など、いろいろなサバイバル方法を学んでいく。

縄張り争いの仕方も、学んでいるのかもしれない。沈められた雛は無事で、すごすごと(?)自分の親のもとへ逃げていった。

 

▲元気に育った雛たち(7月19日) 生後1か月ぐらいか。

ボート小屋の建造物にて。

難しい場所で営巣した2つのペアは、このようになんとか1番子を育て上げ、その後、2番子の繁殖を始める。

つづく

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カイツブリ2020 備忘録④

2020年10月19日 | カイツブリ類

ボート池エリアは、営巣にふさわしい場所が少ない。抽水植物もないし、何しろボートが近くまで来るので、巣が壊される可能性が高いのだ。

それでも、ボートが入れない一角があって、そこでは2014年の最初のかいぼり以来、ずっと営巣が続いている。

今年度は、そのエリアで激しい縄張り争いが始まった。3月21日のことだった。

その後なかなか営巣は始まらなかったが、5月上旬、2か所で巣作り抱卵が始まる。

1つは、たぶん縄張り争いで勝ったペア(Dペアと呼ぶ)で、ボートの入らないエリア、もう1つは、以前営巣したが、ボートの被害にたびたびあってきた場所を選んだペア(Eペアと呼ぶ)だ。

 

Dペアは、縄張り争いに勝ったにもかかわらず、なかなか営巣を始めなかった。水面に浮かぶ桜の枝に巣材をひっかけて作る方式だったが、あっちに作ってみたり、こっちに作ってみたり、雌雄の気持ちがなかなか一致しない。

▲桜も散った4月6日、相手の背中に巣材を載せる?

▲水面に出る桜の細い枝にイトモをひっかけた巣で交尾(5月3日)

▲それでも5月7日には卵が1つ

▲5月7日には卵が2つ。9日には3つ。

順調にいけばそろそろ雛が孵ると思われる頃、異変が…。

▲卵がない!(5月22日)

▲あわててまた交尾をしたり、他の場所に巣材を運んだり。

▲3度目の巣は、卵を4つ載せたまま流れる。

▲再挑戦  7月2日

何度巣作りしても、もう少しで孵るかと思われる頃、卵が無くなる。

そして、その原因は、やはりアオダイショウだった。

▲巣に乗るアオダイショウ

その後、このペアは何度も巣をつくるが、卵を1個産むとすぐにアオダイショウに襲われ、また挑戦するという繰り返しを10回近く行った後、ついに営巣を諦めた。卵は総計20個は産んだと思われるが、すべてアオダイショウのお腹の中に入ってしまった可能性が高い。アオダイショウもすっかり味をしめ、卵を産むのを待っていたかのようだった。

こうして、2014年からずっと営巣が続いたこの場所で、初めて雛が1羽も孵せない年になってしまった。

ペアが代替わりをして経験が浅かったからなのか、単に不運だったのか。来年この場所で営巣するペアはいるだろうか。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする