鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

池のカモ事情 2023-2024 トモエガモ編

2024年03月29日 | カモ類

この冬の渡りのカモは種数も個体数もこの数年の中で一番少なかった。その一番の理由は、池の水草が減ってしまったことだろう。

しかし、それだけではないかもしれない。

この冬特記すべき出来事は、トモエガモが一冬逗留したことだ。2023年12月16日に2羽のメスのトモエガモが見つかった。

▲2023年12月16日に確認されたトモエガモ♀2羽

トモエガモは、地元の池にはめったに飛来しない。飛来してもすぐにいなくなる。

この冬もすぐにいなくなるだろうと思っていたが、私の記録では2023年12月16日~3月11日までの間、池に逗留していた。

ボートが営業していいないときは、この池の同じ桜の木の枝に2羽でまったりととまっていることが多かった。

トモエガモ2羽はほとんどいつも2羽一緒に過ごしていたので、もしかしたら姉妹だったのかもしれない。渡りの途中で群れの仲間とはぐれたのだろうか。私は昼間しか目にしなったが、たいてい2羽でまったり休憩していた。他のカモたちにとっても餌となる水草が少ないのに、ここにとどまっていたのはなぜだろうか。

夕方や早朝観察していた人たちによれば、他のカモと一緒に陸に上がって地上の餌を食べていたらしい。渡りも、他のカモに混ざって来たのかもしれない。

ボートの営業が始まるとボートが入り込まない場所に移動する。

▲くつろいでいた場所にカラスが現れて警戒する2羽

▲ボート営業中にくつろぐ場所

ここは、私がいつも通りがかる場所なので、出向いた時にはいつも確認していたが、たまに姿が見えなかったり、1羽しかいなかったりするときがあり、心配した。

ときどき他のカモに混ざっていたり、移動する姿も目にしたことがあった。

▲少し飛んで移動

3月11日、この日もいつもの場所にいるのを見たが、その後目にしなくなった。他の観察者の方に聞いても、いなくなったと言っていたので、北の繁殖地へ向けて飛び立っていったのだろう。3か月見続けて来たので、ちょっと寂しかったが、無事に繁殖地へたどり着いてほしい。

私としてはトモエガモをこんなにじっくり継続して見たのは初めてだったので、来冬は、オスと一緒に飛来してほしい。

▲最後に見たトモエガモ

ここ数年、トモエガモの日本への飛来数がうなぎ上りに増えているらしい。

バードリサーチによると、「トモエガモ全国調査2022/23年の報告 167,757羽のトモエガモが記録されました」とある。

https://db3.bird-research.jp/news/202310-no4/

また、ネット情報によると、北極圏を繁殖地とするガン類やハクチョウ類は温暖化で繁殖場所が増えたり繁殖期間が長くなったりし、個体数が増えていると考えられており、トモエガモも同様の可能性があるという。

トモエガモの逗留は、地元の環境の問題だけではなく、世界規模の環境の問題だったようだ。

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冬ガモたち 2022暮れ

2023年01月16日 | カモ類

2022年秋から暮れまでに飛来した渡りのカモたち

先ず、9月17日にヨシガモが飛来した。ここ何年か毎年9月上旬に一番早く飛来する。

▲9月17日 ヨシガモのオスのエクリプス

このヨシガモはすぐにいなくなったが、10月1日またヨシガモが現れた。同じ個体なのか、あとから飛来した別個体なのか。

よく見ると2羽いた。

それからまたいなくなったが、その後ときどきメスかなと思われる個体が見られることがある。

▲ときどき見られるヨシガモのメス

9月下旬にはヒドリガモも現れ、この冬もヒドリガモが一番多い状態になった。

コガモも9月下旬には見られた。例年通り、常駐はせず、いつもは主に河川部にいるようだが、ときどき池に現れる。

▲コガモの群れ

10月に入ると、キンクロハジロ・ホシハジロ・オナガガモ・マガモ・ハシビロガモなどが出そろう。

▲キンクロハジロ だんだん増えてきている。

▲ホシハジロのメス

▲ホシハジロのオス

▲飛来したての頃のオナガガモ

▲きれいな繁殖羽になったオナガガモの♂

オナガガモは長居せず、ときどき現れる。

マガモは常時複数個体いる。

▲飛来したてのころの♂(エクリプス)

▲今年は他所でもマガモが多いらしい。

▲マガモ

▲陸で採餌するマガモ

ハシビロガモ

▲飛来したころのハシビロガモ

▲繁殖羽にかわってきたハシビロガモ

そして、この冬は来ないのかなと思っていたオカヨシガモが、12月に入ってやっと飛来

▲12月26日に飛来を確認したオカヨシガモ(オス)

▲メスとペアで飛来していた。

▲その後♂は見当たらなくなり、現在はメスだけがいる。

こうして、毎年飛来する9種は一応この冬も現れたが、その数は昨年と比べると少ない。

昨年の12月の調査日には145羽(日によっては200羽を越えた)だったが、2022年の12月は66羽で、半減している。

そして、その理由は水草の減少だと思われる。昨年は、外来種のコカナダモが池を覆い尽くして水面まで伸びてきていたので、カモたちは潜水しなくても水草が食べられた。今年は刈り取られたためもあるだろうが、それだけでは説明できないぐらい減少している。カルガモやマガモが陸に上がって採餌しているのも、そのせいかもしれない。

それでも、コカナダモはまた生長し始めているのか、オオバンは潜って採っている。

(ちなみにオオバンは今年も多い)

▲飛来したてのころ、カイツブリからアメリカザリガニを奪い取ったオオバン

▲12月下旬にはコカナダモを採るようになっている。

オオバンつながりで、ついでにカモではないがバンも1羽は居ついているようだ。

といわけで、この冬のカモは今のところあまり多くはないが、水草がまた生長し始めているのなら、今後また水鳥が増える可能性はあるかもしれない。1月には珍しいハイブリッド・カモも飛来している。渡りのリターンまで、注意して見ていきたい。

 

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池のカルガモたち2022

2022年09月19日 | カモ類

2022年5月、地元の池に10羽の雛を連れたカルガモが現れた。

伝え聞くところによると、池のそばの植栽の中に巣があったらしい。生まれたときは11羽いたとか。

カルガモの雛は、たくさん生まれても日ごとに数を減らしてしまうことが多い。しかし、この一家の雛はわりと長いこと雛を減らさずにがんばっていた。

2~3日後、様子を観察していると、なんと岸辺に上がってきて、私たちの足元までやってきた。

あまり近づいてくるので、こちらがフリーズしてしまう。写真も撮れない近さ。なんか、この子たちをよろしくとあいさつに来たみたいな感じがしてしまうほどだった。このとき雛は9羽に減っていた。

6月に入って、雛の数はどうなったか。

▲写真には7羽しか写っていないが、少し離れたところに親と1羽がいたので、8羽になっていた。

▲8羽の雛たち せっせと池の藻を食べている。

さらに1週間後ぐらいには7羽になっていた。

▲大分大きくなった雛たち7羽 餌は食べ放題。

こういう具合に、生後2か月ぐらいたった時点で7羽をキープしているのを確認したあと、私はその後を見ていないが、なかなか子育て上手な親のように見受けた。この池では、今までもときどき子だくさんをキープする一家が現れる。果たして同じ親なのだろうか。

その後、池では4羽の雛が現れたり、河川部でも雛をみかけた。

▲河川部にいた大きな雛 7月半ば

春から夏にかけて、池には子連れのカルガモ以外は、あまり成鳥はいない。

それがある時期になると、いやに数が増えてくる。実際カウントした結果を見ても明らかだ。

なぜ、8月ごろに一気に増えるのだろうか。

増えてきたカルガモたちを観察すると、換羽中であることがわかる。

▲新しい羽(羽軸)が伸びてきている。

水面には、抜けた羽もたくさん浮いていて、拾い集める人もいた。

集まってきたカルガモたちは、また池の水草をせっせと食べている。

今年はコカナダモが繁茂しているので、食べ物には事欠かない。

▲水面採餌・逆立ち採餌をするカルガモ

▲時にはこんなご馳走にも挑戦

カルガモは、繁殖が終わると、換羽する。一気に換羽するので、飛べなくなるそうだ。

つまり換羽中は、飛べなくても安全で、餌も十分採れる場所に移動する必要がある。そして、地元の池はカルガモにとって、安全で餌の採れる池と評価されているということになる。

試しに隣の善福寺池に偵察に行ってみると、カルガモはほとんどいなかった。

その昔は、カルガモは換羽期には池から姿を消し、大きな川(多摩川など)で過ごしていたという話も聞いた。

カルガモにとっても、地元の池は住みやすい池になってきたのかもしれない。

あとは、池周りに営巣場所に適した藪があれば、子育てにも適した場所になるのではないだろうか。

 

 

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カモカモ、エブリバディ その③ 2022年春のまとめ

2022年05月14日 | カモ類

すでに冬ガモ(北から渡ってきて越冬するカモ)は、4月中に地元の池からはいなくなってしまったが、この冬のカモ事情を忘れないようにまとめておきたい。

この冬飛来したカモは、私が把握している範囲では、マガモ・ハシビロガモ・コガモ・ヨシガモ・オカヨシガモ・オナガガモ・ヒドリガモ・ホシハジロ・キンクロハジロの9種。ここ数年では最多だった。(過去に飛来したことがあって、この冬見られなかったのは、シマアジ・トモエガモ・オシドリ)

個体総数は、ピーク時で200羽を越えた。これもここ数年では最多だった。

冬ガモの増減の理由として考えられるのは、地元の餌環境と繁殖地での繁殖状況だろう。今年のカモたちの様子を観察すると、ほとんどが池の水草(沈水植物)を食べていることがわかる。

地元の池は、3区画に分かれていて、そのうちの1区画は水草を刈り取ってあったが、そこにはカモはほとんどいなかった。

▲いろいろな種類のカモたちが入り混じって、水草を食べている。

では、となりの公園ではどうだろうか。出かけついでに携帯で様子を写真に撮った。オナガガモとキンクロハジロが合わせて10羽ほどしかいない。

▲隣の公園の様子

このことから、冬ガモは全国的に多いというよりは、地元の池に集中的に集まってきている、その理由は餌環境(水草)が豊だからと言えそうだ。

地元の公園の餌環境は、近い例では、二つの大きな変化があった。2007年に始まった「餌やり自粛キャンペーン」と2014年から3回行われた「かいぼり」だ。

また、自然文化園は、1966年から池に生息する池のカモ数を調査してきている。その調査を参照しながら、個体数の変化が顕著なカモは何かを調べてみた。

●ヒドリガモ

 ヒドリガモは、過去の1966年~2012年にはほぼ記録がない種で、私はかいぼりが終了した2019年に初めて飛来を確認、昨年は二けたを数えたが、この冬の最多時は、三桁になり、全冬ガモの半数がヒドリガモという状態だった。池はヒドリガモの「ミュ~ミュ~」というような鳴き声が途切れなく響いていた。盛んに水草を食べる。特にオオバンが潜って採ってきた水草を横取りするような行為も頻繁に見られた。

▲オオバンにマンツーマン(鳥ツー鳥)ではりつくヒドリガモたち

●オカヨシガモ

 オカヨシガモも、過去の記録には載っていないカモで、私は地元で初めて確認したのは、やはりかいぼり終了後の2019年。その後毎飛来し、今年は多い日には二けたを数えた。

▲逆立ちして水草を採るオカヨシガモ

●ヨシガモ

 ヨシガモについては、前の記事に書いたので省略。

以上の3種が、かいぼり後に飛来するようになった冬ガモで、3種とも水草を盛んに食べていた。餌環境に惹かれて集まってきたカモたちなのだろう。

●オナガガモ

 オナガガモは、過去の記録を見ると、飛来数が一番多い種だったらしい。特に1991年~2003年までは、毎年ほぼ4桁を数えていたようだ。しかも、このカモは餌やりに一番よく反応するカモだった。

▲これは隣の公園の過去(2004年~2005年)の餌やり風景だが、オナガガモが多いことがわかる。

地元の公園で「餌やり自粛キャンペーン」が始まった2007年後、オナガガモは一気に減り、最近は飛来しても一桁代という状態だった。しかも、動物園に飼われている水鳥の餌をくすねることもあったくらいだ。しかし、今年は、しっかり水草を食べているのが確認でした。

▲みんな仲良く逆立ち

●マガモ、ハシビロガモ

 この2種は、あまり劇的な変化のない種だ。今年も数個体が一冬を通して見られ、どちらも水草を食べていた。

▲きれいな繁殖羽になったマガモの♂

▲ハシビロガモはだいたいこの4羽がまとまっていた。

▲きれいな繁殖羽になったハシビロガモの♂

●コガモ

 コガモは1960年~1970年代にかけて、池の優占種だったらしい。500羽ぐらい飛来した年もあったとか。しかし、オナガガモが優占種になったころ、どんどん数を減らし、池に寄りつかなくなった。今年驚いたことは、かなりの期間池に滞在したこと、時には、他種のカモたちと混じって一緒に採餌している姿も見られたことだ。それぐらい豊富な水草は、コガモにとっても魅力的だったのだろう。

▲他のカモに紛れていたコガモのメス

●キンクロハジロ

 キンクロハジロは、「餌やり自粛キャンペーン」の直前がピークで、毎年三桁の数飛来していたが、キャンペーン後少なくなった。以前は池には餌をもらうか、休んでいるかの姿しか見られなかったが、かいぼり後は池に頻繁に潜るようになった。一度橋の上からキンクロハジロの潜る様子を観察してみたことがある。水草を千切る様子はなく、何か水草についているものを採っているのではないかと思ったが、はっきりはわからなかった。

▲潜るキンクロハジロ

●ホシハジロ

 ホシハジロは1990年代から飛来するようになったカモだ。餌やり中は、キンクロハジロと混ざってよく餌を取り合っていたが、キャンペーン後減った。しかし、かいぼり後にまた増えてきて、時にはキンクロハジロを越えたこともある。

▲ボート池に集まるホシハジロ。

餌やりが行われていたころから池に飛来していたカモたちは、比較的人慣れしていて、ボートが行きかう池にも平気で泳ぎ回っていることが多く、新参のカモたちは、ボートが営業中はボート池を避けていたように思う。

休んでいるときはや、猛禽を警戒しているときは同じ種がまとまっていることが多いが、食事中は多種と入り混じる。その方が池が攪乱されて切れ藻などが採りやすいのかもしれない。

冬ガモが多いと、とばっちりをうけるのが留鳥たちで、特にカイツブリは被害を受けた。作り始めた巣に乗られたり、時には集めた巣材を食べられたりしたので、かなり神経質に威嚇していた。カルガモたちも、冬ガモとは行動を別にしていることが多かった。

カモたちが集まる要因になった水草は駆除対称の外来種、コカナダモだ。今後このコカナダモが首尾よく駆除された場合、池のカモ相はどうなるだろうか。今後の推移も興味ぶかい。

 

 

 

 

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カモカモ、エブリバディ その2 ヨシガモ編

2022年04月18日 | カモ類

昨年の12月に冬ガモを取り上げたが、そのカモたちもいよいよ北の国へ帰るときが来た。

1月~2月には200羽ぐらいの冬ガモが地元の池に逗留していたが、今は次々と旅立っていって10数羽ぐらいしか残っていない。

冬に他所から来たご婦人が、「1日見ていても飽きないですね。」と興奮気味に観察していたのが印象に残っているが、その中でも特記すべきこととして、ヨシガモが複数個体逗留したことがあげられる。

▲繁殖羽になったヨシガモのオス

▲ヨシガモのメス

ヨシガモはエクリプス状態の9月ごろ、地元に飛来するが、1週間ぐらいでいなくなるのが常だった。それが2月中旬ごろ、きれいな繁殖羽になってまた飛来。しかも少なくともオス2羽、メス1羽がずっと逗留したのだ。

ヨシガモの繁殖羽をこんなに近くで毎日見られたのは初めてのことだった。(他所でもこんなに近くではみたことがない。)

ヨシガモは、他のカモたちの群れに混ざって、池の水草を食べて過ごしていた。

▲他のカモに混ざっていても、頭部の緑が目立つ。奥にもう1羽いる。

▲2羽のオスは、特に行動をともにはしていない。

水草は逆立ちして採る水面採餌型

案外気が強そうで、他のカモを威嚇したりもしていた。

ディスプレイのような独特な動きもみせてくれた。

▲ナポレオンハットと呼ばれる頭部を膨らませる。

▲飾り羽を際立たせる

▲今まで嘴の上にこんなに目立つ白い点があるのに気づかなかった。

▲メスが近くにいなくても、ときどきやっている。

私がヨシガモを最後に見たのは4月1日。来年もやってくるだろうか。

 

 

 

 

 

 

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