私がバンの雛が孵っているのを発見したのは5月28日のこと。
初め1羽かと思ったら、2羽でてきて、
最後には3羽いることがわかった。
バンも以前はこの池で繁殖していたこともあったのだが、かいぼり直前のころは成鳥の姿さえほとの見られないようになっていた。そして、前回のかいぼりの後にまた繁殖し始め、今回のかいぼりのあとでも繁殖したので、やはりかいぼり効果と言っていいだろう。
初めペアは少なくとも2組いたのだが、1組はこんなところで抱卵を始め、なにものかに襲われたのか、その後営巣はしなかった模様。
丸見えの巣 5月19日
もう一組の巣は、浮島の葦の中で、双眼鏡で隙間を覗くと、かろうじて親の黒い体や赤い額板が見えるような場所だった。
6月2日、浮島にこんな生まれたばかりの雛がぽつんと1羽いた。
1羽で大丈夫なのだろうかと心配していると、どこからともなく親が現れて、餌をちょっと与えてまた置き去りにしてどこかへ行ってしまった。
また次の日の6月3日にも単独の雛が。
という具合で、バンもどうやら、卵を産むとすぐ温めはじめ、雛の孵化にも差があるようだ。
6月4日 3羽の雛に餌をやる親
いったい雛は何羽いるのだろうか。しばらく観察していると、2羽の親の元にたくさんの雛が集まっているのが見えた。
動き回るので数えにくいが、写真に撮って写っている雛を数えてみると、9羽はいる。
もし、5月28日までに3羽孵っていて、その後毎日順番に孵っていくとすると、9羽になる計算なので、納得だ。
(その後10羽になったのを見た人もいた。)
こんなにたくさんの雛を孵したバンを見たのは初めてだった。
バンの子育ては、カイツブリやカルガモと似ているところもあれば、少し違うところもある。
卵の温め方はカイツブリと似ているので、兄弟の雛には体格差が出る。
また、カルガモと違って、生まれたばかりの雛には給餌するが、餌は主に草や木の実や種のような植物なので、雛たちは割と早く自分で餌が捕れるようになる。(もちろん、トンボなどの昆虫も捕れれば食べているようだ。)動いている魚などを水に潜って狩るカイツブリは、その技を身に付けるまでに時間がかかり、自立は遅い。
6月8日。まだ給餌を受ける雛。雛たちはしかし、そうとうばらばらになっているのも特徴。
6月17日の雛。これくらいになると、自分で餌が採れているようだ。こういうところに上っていることが多い。
7月14日。若鳥の羽になっている。
7月27日。
しかし、10羽近くいた雛たちの姿は、その後あまり見られなくなってしまう。独立してどこかへ行ってしまうのか、なんらかの理由で命を落としてしまったのか。
こんなわけで、今年の夏は、カイツブリ、カルガモ、バンの雛ラッシュだった。
そして、3種3様の子育ての様子がよく観察できて面白かった