11月末に地元の河川部でタシギが発見された。タシギは冬鳥で、東京都のレッドデータによれば、[VU]絶滅危惧Ⅱ類になっている。近隣の河川部でもときどき見たことがあるので、私にとってはそれほど珍しい鳥という認識はなかったが、地元で見たのは初めてだった。地元で見られるということは、継続して観察できるチャンスでもある。
最初は、発見した人に教えてもらって見ることができたのだが、その後自分で見に行っても、なかなか見つけることができなかった。じっと潜んでいるとあたりの様子に紛れて目につかない見事な保護色なのだ。それでも、毎日見つけているという人がいると聞いて、諦めずにときどき探しに行き、何度か見つけることができた。
▲遠目で見るとこんな感じ。目を凝らさないと見落とす。
タシギは、発見された11月下旬から、3月上旬まで、毎回ほぼ同じ場所にいた。
その場所で採餌行動を取ったり、休憩したりして一冬過ごしたのだと思われる。
ネットには「食性は動物食の強い雑食で昆虫類、節足動物、甲殻類、種子等を食べる。主に夜間に採餌するが、安全な場所では昼間も行動する。」とあった。地元に飛来したタシギは昼間も行動していたので、安全な場所と認識されていたのだろうか。
採餌は、長い嘴を柔らかい地面や水の中に突き刺して、獲物を採る。確認出来た獲物はミミズで、その時は獲物をくわえて水場にもっていき、洗うような行為が見られた。これは、同じ仲間のオオジシギもやっていた行為である。水中ではどんな獲物を捕っているのか確かめることができなかった。驚いたことに、嘴の先2cmぐらいを自由に動かすことができるらしい。嘴の先に餌を探知する感覚もあるのかもしれない。
▲ミミズを捕らえて水辺へもっていき、洗う。
▲ミミズを食べる。
▲水中の獲物を探す。
嘴は泥だらけになり、時には頭も汚れるからか、採餌中にいきなり羽繕いや頭をかく行為を始めることがある。突然動きを止めて休憩態勢になることもある。近くにコサギやカルガモが来ると警戒する。とても警戒心が強いとあった。日向で羽を緩めて休むこともあれば、嘴を背中に入れて本格的な休憩をすることもあった。残念ながら飛ぶところはみられなかったが、あるいて移動するときは結構素早い。
▲脚でカキカキする
▲羽繕い
▲エンジェル・ポーズ
そんな一連の動きを動画で撮ってみた。(1分以上あります。)
https://www.youtube.com/watch?v=TStchlPpRaY
▲羽を緩めて日向ぼっこする
▲嘴を背中に入れてお休み態勢
タシギは人間にとっておいしい鳥なのだそうで、ネットにレシピも載っていたのがちょっとショック。日本で鳥獣保護法により狩猟鳥獣に指定されている。
タシギはこの河川に以前にも飛来していたのに、今までは誰も見つけなかったのかもしれない。この冬はこの程度の観察しかできなかったが、来年も飛来してくれるとうれしい。