鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

ツミの子育て覚書

2014年09月25日 | 猛禽類(ワシタカ類)
話は大分遡る。
公園のこの一角では、毎年ツミが子育てを試みるが、私が観察し始めてからは、一度しか成功したことがなかった。
理由は、やはりハシブトガラス。
ツミの雌雄がよほどうまく力を合わせて撃退しないと、おちおち子育てしていられなくなるほど攻撃され、邪魔される。
(ハジブトガラスにとっては、それほど邪魔な存在らしい。)

今年もツミの番がやってきて、またカラスとバトルしながら、営巣し始めたので、どうなるだろうとときどき観察してきた。

ツミの巣は、ケヤキの高い場所にあって、下から見上げると巣の底の方しか見えない。

これが、もっぱらイケメンという評判のお父さん。しばらくこの位置が定位置だった。


やがて、巣の縁からメスの尾羽が覗くので、きっと抱卵し始めたのだろうと推測。
そのうち巣の縁に止まって、頭を下げているのが見られるようになったので、雛が孵ったのではないかと、これも推測。

そして、かなり雛が大きくなってきたころ、やっと見えるようになった。雛は5羽もいることがわかった。





雛が大きくなると、お母さんは、この位置にいて、巣の様子と餌を持ってくるお父さんと、カラスを見張っていることが多くなる。



餌を渡したあとのお父さん。イケメンだけでなく、5羽の子どもを育てる甲斐性のあるイクメンだった。



ある日、雛が大きくなって、盛んに巣の上で羽ばたくようになったころ、1羽の雛が巣から落ちたと連絡があった。
雛は、まだ飛ぶことはできないようだったが、ぴょんぴょん跳ねて、茂みの中に隠れ、最終的には、親に誘導されて、木の枝にまで跳ね上がることができた。



親にとっては、こうした出来事も想定内なのだろうが、やはりうまく子供を誘導できる親の能力にびっくり。

おかしかったのは、その次の日ももう一羽が巣の上で羽ばたいて飛び出しそうになったとき、お母さんが「キーキーッ。」と鳴きながら巣に戻って、まるで「あんたはまだだめよ。2羽も落ちたら、面倒見きれないから。」とでもいうように、雛を巣に戻らせたことだ。

こうして、お母さんは、お父さんが捕ってきた餌を、巣の中と、巣から出てしまった雛の両方にちゃんと与えて育て続けた。



一度何を思ったか、お父さんが巣の傍に来た時も、お母さんは「キーキーッ。」と鳴いて追い払った。
ツミのことに詳しい方が、「メスはオスを巣に近寄らせない」と言っていたが、それはどういうわけなのだろうか。

そして、次々と雛は無事に巣を離れ、しばらくあたりに留まっていたが、一番年下の子が8月11日にこの場所から飛び立ったのを最後に、それぞれの新しい世界へ巣立っていった。



今、森にときどきツミの若鳥がやってくる。この間は、セミを食べていた。
あの巣から巣立った若鳥なのだろうか。








珍客シマアジ

2014年09月09日 | カモ類
Aさんが池にシマアジがいるのを発見した。
シマアジは一度葛西臨海公園でオスを見たことがあるので、そのイメージで行ってみると、池にいるのはこんなカモだった。



自分ひとりだったら、遠目で見てカルガモだと思ってしまいそう。

カルガモと比べると、しかし、かなり小さく、コガモくらいの大きさのようだ。


ある一定の場所を行ったり来たりして、さかんに水に浮いた水草などを食べている。




水質浄化装置のパイプの上で一度羽の手入れをした。




上空の何かを警戒しているのかな。




羽を広げると、特徴的な色模様がわかる。



オスのエクリプスではないかと皆で話し合った。

シマアジは旅鳥で、夏に北国で繁殖し、越冬のため南へ渡る。
公園にはその途中で立ち寄ったのだろうが、たった1羽なのは、仲間とはぐれたのか。

とにかくずっと食べ続けたのち、次の日にはもういなかった。
上空から、餌がありそうだと思っておりてきて、腹ごしらえしてまた旅立ったのだろうか。

渡り鳥にもちょっと餌を供給できる池になったのならうれしい。

カルガモは池に留まる

2014年09月08日 | カモ類
以前、「カルガモは神田川をめざす」という記事を書いた。
井の頭池で生まれたカルガモの雛は、たいてい親に導かれて神田川へ移動していくことが多いからだ。

以前の記事

その理由は、雛たちが休憩したり隠れたりする場所が池には少ない。餌となる水草などが少ないなどが考えられたし、池の中の大きな魚たち(コイやブラックバス)が雛の脅威になっていたからかもしれない。

今年も5月に池でカルガモの雛が誕生した。そして、神田川につながるひょうたん池まで親が雛たちを連れてきたので、当然また神田川へ行くのだろうと見ていた。

↓ひょうたん池に来たカルガモの雛たち。一年の中でカルガモが最も注目されるとき。









しかし、予想に反してこのあと親鳥は雛たちを再びボート池の方へ連れて行ったのだ。



カルガモの雛はそのあと1羽減ってしまったが、4羽の雛はその後もずっと親とともに池で過ごし、ボートに乗った人たちを恐れることもなく、大きく成長していった。





今、カイツブリの雛の姿が見えなくなった池には、成長した雛以外にもたくさんのカルガモがいる。

かいぼりした池はカルガモたちにとっても魅力的な池になったようだ。


かいぼりした池とカイツブリの子育て覚書 その5

2014年09月07日 | カイツブリ類
結局、かいぼりした池では、3ペアが約25個ぐらいの卵を産み、12羽の雛が孵ったことになる。
そのうち、卵のうち5個はアオダイショウに呑みこまれ、最後の卵のうち4個はたぶんアカミミガメが食べたらしい。また、それぞれの巣の最後の1個は孵化しなかったことが多い。

雛はその後どうなったのか。
最後の1羽は前回書いたように、生まれてすぐに沈んでいった。その少し前、七井橋ペアの雛の一羽が死んで浮かんでいたという話を聞いた。(その原因についてはあとで考えてみる)

残る10羽はどうなったのだろうか。
今池には雛の姿は全くない。「そして誰もいなくなった…。」という状況である。

実際に観察できたことはとても少ないので、ほとんどは推測するしかない。
推測の手立てとして、雛はどのくらいで自立して、どのくらいで飛べるようになるのかということなのだが、それがなかなかよくわからない。

5月生まれの2羽は、これも推測でしかないが、たぶん飛べるようになって、どこかへ旅立っていったのだろう。
(どこへ?)

ボート池の雛はどうだろうか。

ある日、ボート池の雛の1羽が川へ流れて行った。
初めは流されてしまったのかと思って、なんとか救出して池に戻せないかと思ったが、結局、雛は自分の意志で池を離れて旅立ったのではないかと思われた。

そののち川を探すと、雛は無事にそこで暮らしていた。
その時の雛の日齢は、約30日ぐらいだった。
なので、生後1か月ぐらいすれば、餌さえあれば雛(若とようだ方がいいかも)は自立できるようなのだ。

若はとても用心深くて、写真が撮れなかったが、若がが川へ移動していった1週間後ぐらいのあとの兄弟の姿はまだこんな具合。



ぴぃぴぃ鳴いて、親を追いかけ、餌をおねだりしている。親はたまにしか餌を与えず、自分で餌を採るようにさかんにつっついたりしているのだが。



これが、川へ移動した若の最初に捕れた写真。



同じ日に捕った池の兄弟の1羽は、まだ親と一緒にいた。

唯一成長を観察できる川の若は、生後65日以上たっていると思われる9月6日現在も、まだ川にいる。




まだ頭の縞模様が残っているが、羽が代わりつつあるようだ。

カイツブリはいったい生後どのくらいで飛べるようになるのだろうか。
いろいろネットで調べた結果では、70日という記載があった。
すると、もう少しでこの若も飛べるようになりそうだ。
飛べるようになる前には、他の鳥と同じく、何度も羽ばたいたり、助走をつけて体を浮かす練習をするらしいのだが、そのような様子は、池でもこの川でも一度も見たことがない。

さて、池の状況にもどると、ボート池ペアの雛は、すでにみな生後60日以上経っているので、独立しているはずだが、飛べたかどうかは不明なのに、池にはいないのが不思議だ。

また、七井橋ペアの子どもたちは、まだ1か月ちょっとしか経っていないので、一人餌にはなっているとしても、すべて姿が見えなくなったのは不思議すぎる。

七井橋ペアの子育ては、実は他の2ペアの子育てと比べて、一番難しい条件だったと思う。
それは、縄張りの問題だ。
一つのペアが子育てするのにどのくらいの広さの縄張りが必要かは、池の餌の量にも関係してくると思うが、ボート池ペアが七井橋ペアのかなり近くまで子供たちを連れていくのを見ていたので、縄張りが厳しいだろうなと思っていた。

井の頭池のカイツブリの様子を写真に撮っているある方のサイトを見ると、ある日ボート池の成鳥が、七井橋の雛をつついて攻撃し、七井橋の親が雛を守ろうと争っている様子が写されていた。

また、お茶の水池の親と、七井橋の親が縄張り争いをしているのも観察されている。

七井橋の雛の一羽が死んでしまったのは、このような縄張り争いの中で、他の親につつかれて怪我をしたためである可能性が高いと思う。

怪我や事故、あるは餓えで死んでしまった場合は、浮かんできたりして人間に発見される可能性が高いが、何かに食べられてしまった場合は、たまたま目撃しない限り、わからないままに終わってしまうだろう。

今の池の状況で、カイツブリの雛を襲う可能性のある生き物は、アオダイショウ・アカミミガメ・ゴイサギ(前例あり)やカワウ(ネットで襲う写真をみたことがある)などだろうか。

というわけで、すべて推測で終わってしまったカイツブリ雛のその後。

かいぼりした池は、初めはかいつぶりの楽園のような様子だったが、次第にまた外来魚がはびこるようになり、3ペアもの営巣を支えるに十分な餌が捕れなくなり始めたのだろう。カイツブリの子育てがこのように尻切れトンボに終わったのは、その池の状況を反映しているのではないだろうか。

それでも、久々に少なくとも数羽の雛が無事に成長できたはずなのも、かいぼりのおかげだったと思う。

次回のかいぼりの後には、もっと池の状況がよくなり、カイツブリの雛たちが元気に成長していく姿を最後まで見たいものだ。






かいぼりした池とカイツブリの子育て覚書 その4

2014年09月06日 | カイツブリ類
カイツブリの繁殖の最後は、とても悲しい結果に終わってしまった。

卵をアオダイショウに食べられてしまい、たった1羽の雛しか育てられなかったお茶の水池のペアは、なんと3度目の営巣に入ったのだ。



この巣は、池の反対側に作られたが、私がたまたま見に行った日に、またアオダイショウガ近づいて来た。



アオダイショウはその後もまた近づいて来たようだが、巣のところまでたどり着けなかったのか、カイツブリがうまく撃退したのか、卵は無事だったようだ。
そして、やっと最初の1羽が誕生したという知らせを受け、次の日に様子を見に行った。

巣の上にはだれもいなかったので、親といっしょに出かけたのだろうかと思っていると、巣からこちら岸に動いてくるものが目に入った。なんと昨日生まれたばかりの雛のようだが、様子がおかしい。体が半分ほど沈んでいて、必死に泳いで入るのだが、だんだん力尽きてどんどん沈んでいってしまった。

その後親鳥が戻ってきたが、なんとなく様子が変で、残った卵もなかなか温めようとはしない。まわりをうろうろするばかり。


(その時の様子だが、コンデジで撮った記録写真なので、酷い画像。さすがに雛が沈むところは写真を撮るどころではなかった。)

そして、親はついに巣を離れ、残った卵を温めることはなかった。そして、次の日行ってみると、巣の上にはアカミミガメがのっていた。

いったい何が起こったのだろうか。私が見たものは何だったのだろうか。
巣にアカミミガメがのっていたことから、やはり雛はアカミミガメに襲われたという可能性が一番高い。池の水は割と澄んでいたし、私の目には雛の下にカメがいるようには見えなかったが、カイツブリの雛がおぼれるはずはないと言われているので、何かに引き込まれたと考えるのが妥当なのだろう。

そもそも、雛が襲われた時、カイツブリの親はなぜそれを防ごうとはしなかったのか。
私がこのメスの三度目の営巣を観察しているとき、ペアの間に営巣に対する温度差を感じた。まず、オスがなかなか交代に来なかった。そして、ある日見ていると、オスは初めの子(オスにとっては)と一緒に餌採りをしていて、捕ったトンボを子どもと分け合ったりもしていた。そのとき、メスが巣からものすごい勢いで「ケレケレ…。」と鳴きながら走り出てきて、オスと子供を引き裂き、二人で連れ添うように泳ぐ場面を見た。



上の写真は、最初の子ども。この子は、メスが抱卵を始めたとき、巣の傍でうろうろしていたし、巣に上がってヘルパーのような行動をしていたという話も聞いている。

しかし、私が最後に見たときは、近寄ってきた子供を、メスはものすごい剣幕で追い払った。


その後もオスがなかなか交代に来ないので、メスはたびたび巣を空けて、自分の食事をしに行っているようで、巣が空っぽのことが多かったのだ。

だから、アカミミガメが襲ってきたときも、メスは留守だったのかもしれない。
カイツブリの子育ては、ペアが交代で抱卵・給餌・子どもの保護をするからこそうまくできるのであって、ペアの協調がうまくいかないと、失敗する可能性が高くなるのではないだろうか。

かいぼり後の池はカイツブリの楽園のような様相を見せていたが、その後取り残したり、かい掘りしなかった池から漏れ出てきたブルーギルが瞬く間に大繁殖し、だんだんカイツブリの餌も減ってきた。

池で同じように魚を捕ってくらしているカワセミが自分の嘴の長さより大きなブルーギルを捕って苦労しているのを見た方もいる。

うまれた子供たちはその後どうなったか。
それは次回(最終回のつもり)で。