電通への立ち入り調査10回 違法残業、5回是正勧告 高橋さん自殺前の10年 長時間労働を放置
2017年1月4日 (水)配信共同通信社
広告大手、電通の本社や支社が2015年12月に新入社員高橋(たかはし)まつりさん=当時(24)=が過労自殺するまでの約10年間で、各地の労働基準監督署から10回の立ち入り調査を受け、労使協定(三六協定)で定めた上限を超える違法な残業をさせていたとして5回の是正勧告を受けていたことが29日、関係者への取材で分かった。
立ち入り調査は14年6月以降に6回と高橋さんの自殺前に集中。何度も問題点を指摘されていたにもかかわらず、違法な長時間労働を放置し、改善に努めてこなかった電通の姿勢が改めて問われそうだ。
電通は共同通信の取材に対し「当局による調査中のため、回答は控える」としている。
東京労働局は28日、高橋さんに違法な残業をさせていたとして労働基準法違反容疑で法人としての同社と当時の上司に当たる幹部1人を書類送検。電通の石井直(いしい・ただし)社長も同日、問題の責任を取り、1月に辞任すると表明した。若手社員の過労自殺が広告業界トップの進退につながる事態となった。
関係者によると、電通では05年9月から高橋さんが亡くなった15年12月までの間、本社と関西(大阪市)、中部(名古屋市)、京都の3支社が立ち入り調査を受けた。
10回の調査には、社員の過労死や精神疾患に関連するものも含まれる。改善状況を確認するために再度立ち入ったケースもあった。5回の調査で社員の働かせ方に違法性があり是正するよう勧告されたが、残りは労基署が違法性はなかったと判断したとみられる。
電通は28日の記者会見で、是正勧告を受け、長時間労働の抑制に努めてきたと主張。法定時間外労働は13年の月平均34・3時間から、15年は28・9時間に減少したとしている。
一方、申告した終業時間から1時間以上も会社に残っていたケースは13年の月平均5626件から15年は8222件と増加しており、申告時間後も働き続ける事態が横行していた可能性がある。
2017年1月4日 (水)配信共同通信社
広告大手、電通の本社や支社が2015年12月に新入社員高橋(たかはし)まつりさん=当時(24)=が過労自殺するまでの約10年間で、各地の労働基準監督署から10回の立ち入り調査を受け、労使協定(三六協定)で定めた上限を超える違法な残業をさせていたとして5回の是正勧告を受けていたことが29日、関係者への取材で分かった。
立ち入り調査は14年6月以降に6回と高橋さんの自殺前に集中。何度も問題点を指摘されていたにもかかわらず、違法な長時間労働を放置し、改善に努めてこなかった電通の姿勢が改めて問われそうだ。
電通は共同通信の取材に対し「当局による調査中のため、回答は控える」としている。
東京労働局は28日、高橋さんに違法な残業をさせていたとして労働基準法違反容疑で法人としての同社と当時の上司に当たる幹部1人を書類送検。電通の石井直(いしい・ただし)社長も同日、問題の責任を取り、1月に辞任すると表明した。若手社員の過労自殺が広告業界トップの進退につながる事態となった。
関係者によると、電通では05年9月から高橋さんが亡くなった15年12月までの間、本社と関西(大阪市)、中部(名古屋市)、京都の3支社が立ち入り調査を受けた。
10回の調査には、社員の過労死や精神疾患に関連するものも含まれる。改善状況を確認するために再度立ち入ったケースもあった。5回の調査で社員の働かせ方に違法性があり是正するよう勧告されたが、残りは労基署が違法性はなかったと判断したとみられる。
電通は28日の記者会見で、是正勧告を受け、長時間労働の抑制に努めてきたと主張。法定時間外労働は13年の月平均34・3時間から、15年は28・9時間に減少したとしている。
一方、申告した終業時間から1時間以上も会社に残っていたケースは13年の月平均5626件から15年は8222件と増加しており、申告時間後も働き続ける事態が横行していた可能性がある。