知的障害児1割に精神病薬 長期処方は副作用リスクも
2017年1月16日 (月)配信共同通信社
知的障害のある子どもの約1割に、統合失調症の治療薬である抗精神病薬が処方されていることが、医療経済研究機構(東京)などの研究チームによる調査で分かった。このうちほぼ半数には年300日以上と長期にわたり薬が出ていた。
知的障害には、自傷行為や暴力などの行動障害を伴う場合があり、薬はその治療のためとみられるが、長期の使用には副作用のリスクもある。
世界精神医学会は精神疾患が原因でない行動障害には、個々の特性に応じた環境調整などを勧めている。同機構の奥村泰之(おくむら・やすゆき)主任研究員は「日本では知的障害児の行動障害に診療の指針がなく、薬物の使用を含めた指針が必要だ」としている。
調査では、健康保険組合の加入者のレセプト(診療報酬明細書)データベースを分析。2012年4月から13年3月に知的障害と診断された3~17歳の子ども2035人について、薬物療法の状況を1年間、追跡した。
1度でも抗精神病薬が処方されたのは12・5%。3~5歳では3・7%だったが、15~17歳では27・0%と、年齢が上がるにつれ割合が上がっていた。年間の処方日数でも同様の傾向がみられ、小学校入学の時期を境に長期化していた。
抗精神病薬を処方された子どものうち、2種類以上を31日以上連続で出された「多剤処方」の割合も16・9%に上った。チームは「短期では有効なケースもあるが、長期や多剤の使用は、体重増加など副作用のリスクが増す」と注意を呼び掛けている。
同機構は、一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会の研究組織。
2017年1月16日 (月)配信共同通信社
知的障害のある子どもの約1割に、統合失調症の治療薬である抗精神病薬が処方されていることが、医療経済研究機構(東京)などの研究チームによる調査で分かった。このうちほぼ半数には年300日以上と長期にわたり薬が出ていた。
知的障害には、自傷行為や暴力などの行動障害を伴う場合があり、薬はその治療のためとみられるが、長期の使用には副作用のリスクもある。
世界精神医学会は精神疾患が原因でない行動障害には、個々の特性に応じた環境調整などを勧めている。同機構の奥村泰之(おくむら・やすゆき)主任研究員は「日本では知的障害児の行動障害に診療の指針がなく、薬物の使用を含めた指針が必要だ」としている。
調査では、健康保険組合の加入者のレセプト(診療報酬明細書)データベースを分析。2012年4月から13年3月に知的障害と診断された3~17歳の子ども2035人について、薬物療法の状況を1年間、追跡した。
1度でも抗精神病薬が処方されたのは12・5%。3~5歳では3・7%だったが、15~17歳では27・0%と、年齢が上がるにつれ割合が上がっていた。年間の処方日数でも同様の傾向がみられ、小学校入学の時期を境に長期化していた。
抗精神病薬を処方された子どものうち、2種類以上を31日以上連続で出された「多剤処方」の割合も16・9%に上った。チームは「短期では有効なケースもあるが、長期や多剤の使用は、体重増加など副作用のリスクが増す」と注意を呼び掛けている。
同機構は、一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会の研究組織。