無制限残業、歯止め必要 新年会見で経団連会長 労基法改正案の成立に期待
2017年1月6日 (金)配信共同通信社
経団連の榊原定征(さかきばら・さだゆき)会長ら経済3団体トップは5日、東京都内で新年祝賀会後の記者会見を開いた。榊原氏は、労使の合意があれば無制限な残業を容認する「三六協定」に「何らかの歯止めが必要だ」との考えを示し、政府が国会提出を目指す残業時間の上限規制を盛り込んだ労働基準法改正案の早期成立に期待を寄せた。
長時間労働を巡っては、電通社員の過労自殺などが社会問題になっている。政府が進める長時間労働の是正や正社員と非正社員の待遇差改善などの働き方改革に関しては「経済界も重要課題として取り組みたい」と述べ、政府と共に改革していくことに意欲を見せた。
「三六協定」の見直しでは、日本商工会議所の三村明夫(みむら・あきお)会頭も「何らかの形で制限するのは結構だ」と語ったが、業種や仕事の内容によっては例外も必要だとした。経済同友会の小林喜光(こばやし・よしみつ)代表幹事も見直しに理解を示したが「(研究開発など)グローバル競争を勝ち抜く使命を持ったセクションには合わない」とも述べた。
祝賀会には安倍晋三首相も出席し「今年は働き方改革の断行の年だ。(企業トップが)先頭に立って働き方の根っこにある文化を変えていただきたい」と述べ、経営者が率先し社内の意識改革に取り組むべきだと訴えた。
2017年の春闘については「少なくとも昨年並みの水準の賃上げと、4年連続のベースアップ(ベア)をお願いしたい」と要請し「物価の上昇に後れを取らない賃上げこそ、デフレ脱却や持続的な経済成長の道に進むことができる」と出席者に呼び掛けた。
祝賀会には大手企業のトップら約1900人が参加した。
※三六協定
労働基準法は労働時間を原則1日8時間、週40時間までと定めている。それを超える場合、労使が合意の上で協定を結ぶ必要がある。労基法36条に基づいていることから「三六(サブロク)協定」と呼ばれている。事実上無制限な残業が可能となるため、長時間労働の温床になっているとの指摘が多い。このため政府は働き方改革の一環として、絶対的な上限時間設定や超過時の罰則の在り方を検討している。