新型コロナ:コロナ労災、4倍1.9万件 21年度認定 「最大の職業病」
新型コロナ:コロナ労災、4倍1.9万件 21年度認定 「最大の職業病」
新型コロナウイルスの感染による労働災害の認定件数が2021年度は2万件近くに上り、前年度の4倍超に急増したことが厚生労働省のデータで判明した。労災支援団体は「新型コロナは最大の職業病になった」と説明しつつ、労働者らが労災認定請求をしていないケースがあるとして「労災認定の可能性がある人への啓発を続けるべきだ」と訴えている。
厚労省が毎月公表しているデータを集計した。それによると、新型コロナの感染が原因の労災認定は20年5月から出始め、20年度の認定件数は4553件。21年に入ると半分以上の月で1500件を超えるようになり、最も多い月は6月の2172件だった。21年度の累計は1万9404件で、20年度の4・3倍に上った。労災情報を集めている全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都江東区)によると、これまで労災認定で最多だったのは、荷物の運搬中などに突然腰を痛める「災害性腰痛」(年間3000件程度)だったといい、コロナによる労災の多さが際立っている。
コロナ労災認定者(22年4月末まで)を職業別でみると、感染者らと頻繁に接触する機会のある「医療従事者等」では医師・看護師ら医療業が全体の41・8%、社会保険・社会福祉・介護事業が全体の21・9%と高かった。「医療従事者等以外」では、社会保険・社会福祉・介護事業が5・4%、製造業が4・7%、病院事務や清掃などの医療業と運輸業・郵便業がそれぞれ3・5%――などだった。請求に対する認定率は98・5%。
一方、事業者が労働基準監督署への提出を義務づけられている労働者死傷病報告によると、コロナで4日以上の休業を要した件数は20年1月~21年12月で2万5373件だった。同期間の労災請求件数は2万3489件と報告数より7%程度少なく、連絡会議の古谷杉郎事務局長は「同じ職場で自分を含めて複数の感染者がいる場合や、不特定多数の人と接触する仕事の感染者は原則的に労災が認められる。労働者の権利なので積極的に請求してほしい」と話している。【大島秀利】