脳卒中患者の駆け込み寺 名古屋に団体、制度紹介
脳卒中を発症しリハビリなどに苦労する人を支えようと、元患者で名古屋市に住む川端邦裕(かわばた・くにひろ)さん(51)が奮闘している。今も手足にまひが残るが、自ら団体を立ち上げ、関連制度を患者に紹介。「悩みに寄り添う駆け込み寺にしたい」と話す。
2015年10月5日に脳卒中を発症した。この日は朝から体調が悪く定時で退社。夜になり自宅で足が震え始め、左手や左足が動かなくなった。床をはって手にした携帯電話で119番した。
「一生つえは手放せないでしょう」。リハビリを行う病院に移り、医師から告げられた。「そんなはずはない」と訓練を懸命にこなし、約5カ月後にはつえで歩けるように。ただ、脳卒中治療のリハビリに関する規定によって、間もなく退院を余儀なくされた。
一時は悲観的になったが、新たな治療を試したり、地元のトレーナーに通ったりした。17年秋にはつえなしで、1日に約21キロ歩けるまでに回復した。
次第に、リハビリ先の確保や複雑な社会保障制度の把握に苦労した経験を生かしたいとの思いが募った。がん患者や家族を支援する団体を参考に20年10月、一般社団法人「脳卒中ライフアドバイザー協会」を設立した。
今年5月、クラウドファンディングで集めた資金などで自宅敷地内の建物を事務所に改築。エレベーターやスロープ、リハビリ用の部屋も設けた。「自分の足で来て、人と会うことも自信につながる」との信念からだ。個別相談にも積極的に応じている。
事務所の外壁は、訪れた人に明るい未来をイメージしてほしいと青色に塗った。現在は、実務でも手助けしたいと社会保険労務士の資格取得の勉強に励んでいる。「一人一人の自己実現に役立ちたい」と力を込めた。