Mars&Jupiter

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グスタフ・ホルストの放浪学者(さまよう学者)作品50(H176)を聴きながら二俣川から鶴ヶ峰まで歩く

2010-11-14 11:59:30 | グスタフ・ホルストの声楽曲・合唱曲
昨日は二俣川から鶴ヶ峰まで歩きました。
途中聴いたのはホルストの一幕ものの室内オペラである。
放浪学者(さまよう学者)作品50(H176)は、
1929年から1930年の間に作曲され、1934年初演された。
13世紀のフランスの農家を舞台にした話を書いた、
ヘレン・ワデルによる作品をもとに、
クリフォード・バックスが作成した台本を使っている。
この作品のタイトルはさすらう学者と訳すものも多いが、
作品の内容からみると放浪学者という訳の方がふさわしい気がする。
登場人物は、バリトン演ずる農夫のルイスと、
ソプラノが演じるその農夫の若い妻アリソンと、
バスが演じる神父フィリップ、テノールが演じる放浪学者の四人である。
聴いたCDはイングリッド・アトロットのソプラノ、
ニール・アーチャーのテノール、アラン・オピーのバリトン、
ドナルド・マクスウェルのバス、リチャード・ヒコックス指揮、
ノーザン・シンフォニアの演奏による。
CDの解説なども参考にしていくとオペラは次のように進行する。

最初に特徴的な動機が現れ、これは劇中に何度も繰り返される。
農夫ルイスがまず、民謡風の旋律を歌い始め、
次にその若い妻アリソンが冒頭の旋律を歌う。
両者の対話が続き、妻は夫に町に食糧を買出しに行くようにいう。
「日が沈むまでには帰ってきてね」と農夫は言われ、
言われた通りに家を出て行き、アリソンは教父をもてなすために、
アーモンド・ケーキと、ワイン、豚肉料理を用意する。
その間アリソンの長い歌が続き、そこに教父フィリップが来る。
彼は家の中に入り、二人の対話が続いていく。
そこに放浪学者ピエールが戸口に来て、何か食べ物を恵んでほしいと願う。
放浪学者に同情的なアリソンに対し、教父フィリップは放浪学者の話を聞き、
徐々に腹を立てていくが、ここでピエールのアリアがしばらく続く。
教父フィリップはルイスに棍棒を握り脅し、食べ物なんかいらんといい、
さあ、出て行け、1、2、3と数え始め、追い返してしまう。

しかし、夫のルイスが帰ってくる様子を知ると、
フィリップははしごを上って屋根裏に隠れようとするが、
太ったフィリップはぐらぐらするはしごを上るうち、
中間あたりで無理だと断念して降りるが、隠れる場所がない。
アリソンは「藁の下に隠れて」とフィリップにいい、
テーブルの上にあった食べ物とワインを隠す。
そこにルイスが放浪学者ピエールとともに帰ってくる。
ルイスは家の中にピエールを招くが、アリソンは気まずい感じである。
「何かこの人に出して」というルイスに対し、アリソンは、
「ねえ、言わなかった?今日町で食糧を買ってきてって」というが、
ルイスが「ああ、そうだけど、何もないの?」というと、
アリソンは「無いわよ」といい続けるが、そこでルイスに対し、
ピエールは「短くて、面白い話をしよう」と言い出すので、
アリソンは焦り、じゃまをしようとするが、
ルイスは「話が先だ」と言ってテーブルに座る。

動揺の色を隠せないアリソンを前にピエールの話は進む。
そして話が終わるとルイスは立ち上がって棍棒を持って、
神父フィリップのいる藁の塊をさっと取り去り、
「怪物、悪人、偽善者、豚野郎め!」と言って、
急いで逃げ去ろうとする神父フィリップを捕まえて叩く。
逃げようとする相手を追っかけるドタバタ劇となり、
ピエールはテーブルを飛び降り、神父の外套を掴む。
ルイスは「1,2,3、何がわかったか?
3,4,5、彼は耐えられるだろうか?
5,6,7、神が彼を懲らしめるだろう!7,8,9‥‥」と歌う。
アリソンとピエールも「1,2,3、3,4,5‥‥」と歌い、
アリソンがドアを開けるとルイスの蹴りで加速のついた
神父フィリップは外へと逃げ出していき、ルイスは額の汗をぬぐう。
そして、アリソンはテーブルに豚肉を運んでくる。
ピエールはテーブルに座り、アリソンもそのようにしようとするが、
ルイスは「いや、妻よ、そうじゃない!上だ、はしごの上、
上れ、おまえは上へ行け!」といい、ルイスは棍棒を握る。
そしてはしごの方に妻を押し出し、彼女は仕方なくはしごを上る。
一段ずつ心配そうに後ろを振り向きながら、ルイスの先を上る。
ここからはアリソンに対するルイスのお仕置きが始まるのだろう。
最後は放浪学者ピエールが「1,2,3、何がわかったか?
3,4,5、彼女は耐えられるだろうか?
5,6,7、神が彼を懲らしめるだろう!」と歌い、
冒頭の旋律がオーケストラにより繰り返され、
舞台ではピエールが笑い、ワインを飲み始めたところで、
カーテンが下りてオペラの全曲は終わることになる。
こうやって、劇の内容がわかってみるとコメディーであり、
その作品をホルストの音楽がうまく劇的に表現している。

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