温泉クンの旅日記

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岐阜、下呂温泉(2)

2021-04-04 | 温泉エッセイ
  <岐阜、下呂温泉(2)>

 湯快リゾートの温泉宿に泊まるのは、たしかこれで二度目になる。
 前に、九州は長崎の平戸にあるリゾートホテル「蘭風(らんぷう)」に泊まった。享受した満足感の割りに、飲み放題二食付きプランで九千五百円と低価格に驚かされた。
 今回の宿「彩朝楽」本館も二食付き宿泊で9,350円、Go-To割引が3,272円を差し引いて6,078円、それに共通クーポン券が1,000円もらえるので実質5,078円と、格安といっていい。

 坂を駆けあがり、宿の玄関前にタクシーが横付けに到着したのは、二時半前だった。
 フロント付近で手指の消毒をすると、待たされるかと思ったら検温、チェックイン手続きと順調に進み部屋の鍵を手渡された。
 四人部屋クラスの広い部屋に入り、電光石火に着替えると一目散に大浴場に向かう。

 

 

 浴衣を脱ぎながらこっそり大浴場を覗くと、右側の洗い場には誰もいないが、左側の洗い場で先客二名が頭や身体を洗っている。露天風呂はこの宿には残念ながらないようである。
 そういえば、コロナ対応とかで一階に入浴時間の希望を書き込む表があったが、どうせすぐいくからいいやと完全無視してしまった。

 浴槽の縁に坐り込み、ルーティンの掛け湯をしてから浴槽にするりと滑り込む。
「お―、極楽。ゴ・ク・ラ・クじゃあ!」
 思わず呟いてしまう。さすがに天下の名湯だ! 

 

 アルカリが強いのでとろりとした、まるで上質の美容液にどっぷり浸かっているような、なんとも肌触りのいい湯である。湯のなかで、湯のそとで、何度も肌にすりこんで湯を楽しみ、湯のなかでやさしく抱きすくめられるままに、汗がでるまでじっとしていた。
 他の名泉である有馬にも草津にも何度も泊まっているのに、下呂温泉にはまことに申し訳ないことをしてしまったものである。

 

 

 夕食は和洋中のバイキングだった。
 客の全員が同じ旅館着にマスク着用と、使い捨てエンボス手袋をつけて料理が並ぶテーブルを歩いていると、大がかりな事件の一斉鑑識捜査をしている気分になってくる。

 

 下世話な表現だが、“風呂と部屋だけで充分に元はとれている”ので、鮪や蟹など人気のある並ぶ料理はさけて慎ましやかな夕食となってしまった。
 どんどん食事会場に人が入ってきたのを見定めて、食事を切りあげ大浴場へむかった。
 思ったとおり、大浴場独占である。

 

 温泉のありがたい効能、それはまあ様々にあるのだが、特に持病もなく「自分は健康だ」と思っているひとにさえ、温泉は思わぬ効能をもたらしてくれる。
 ちなみについ最近、「続・洞爺湖温泉(2)」でわたしはこう書いた。

 

『とにかく温泉はわたしの唯一の健康法なのである。

 

 いまでも銭湯でレトロな体重計をみかけることがあるが、あの丸い目盛の、十二時を指している針が正常な健康状態とすると、人は日々溜まる疲労とストレスでいつしか針が左右どちらかに振れていく。その振れた針を正常な中立(ニュートラル=健康)の位置に戻してくれるのが、温泉の効能なのだ。これこそが温泉の功徳である。』

 

 長い月日の間、外湯だけで、ゆっくり泊まって下呂温泉を堪能しなかったことに軽い後悔を感じてしまった。

  ― 続く ―


   →「岐阜、下呂温泉(1)」の記事はこちら
   →「続・平戸千里ヶ浜温泉(1)」の記事はこちら
   →「続・洞爺湖温泉(2)」の記事はこちら


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