温泉クンの旅日記

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藪塚温泉(2) 群馬・太田

2016-04-10 | 温泉エッセイ
  <三日月村の隠れ宿(2)>

(蕎麦も焼きそばもそうだが、止めのたい焼きが一番応えたなあ・・・)



 なかなか佐原の古本屋のたい焼きみたいのにはお目にかかれないもんだ。
 いつもなら絶対しない長湯のせいで、湯からあがると汗が噴き出てとまらなくなる。これなら夕食前にもう一度入ればなんとか復活できそうだ。
 この温泉の泉質はアルカリ炭酸泉なので肌触りも滑らかで、なかなかいい湯である。

 さて藪塚温泉の由来だが、かなり古いものである。



 宿の裏手に「厳理湯」と呼ばれる冷泉が湧き出る藪塚温泉神社があり、遠い昔、新田義貞公の勝戦の源であり、隠し湯として伝えられてきた、とある。
 長いので要約してみると、

『昔、藪塚の地に湯の入というところがあり、そこに湯権現という小さな社があった。その社の中段に薬師如来が祀られていて、その岩の割れ目から温泉が湧き出ていて、傷ついた小鳥たちがこの湯で体を休めると、たちまち元気になって羽ばたいていったそうだ。
 それをみた里人たちが温泉を汲んで入ると、足腰の痛みや中風で動けなかった人たちも元気になったという。



 ある日のこと、一頭の葦毛の馬が飛んできて岩に前足を立てて一声するどく嘶くと、雲を呼び雨を起こして天空高くいずこともなく舞い昇っていき、温泉はたちどころに冷泉に変わってしまった。里人たちはこの出来事に恐れおののき嘆き悲しんだ。
 数年たって、薬師如来を深く信心していた里人の翁の夢枕に如来が現れ、「嘆くではない。この冷泉を汲んで温めて入浴すれば百病はたちどころに治るであろう。翁には百余歳の命を授けよう」とお告げを聞かせたそうである。』



 安い宿賃なのだが、食事はかなり工夫が凝らされていて満足できた。料理長も苦労しているなと思う。感謝。喰い過ぎの影響がまだすこし残っていたので、残した料理もあり、誠に申し訳ないことだ。

 早朝と食事前の二度、ゆっくりと入浴したので朝食も美味しくいただけた。夕食と同じようにこちらもさりげなく工夫した料理だった。



 食事後、部屋でお茶を飲みすこし休むと最後の温泉に向かう。喰い過ぎの昨日と違い、外の庭園も観賞する余裕もでてきた。



 満室(全九室)だろうことは食事処で確かめてあるのに拘わらず、到着してから出立するまで五、六回温泉にいったのだがいつでも独占状態だった。実にありがたいことである。
 この宿だが、よほど空いている時でなければお子様客は遠慮していただくという静謐な「大人の隠れ宿」なのである。

 思いのほかゆっくりできた、極上の宿であった。


  →「たい焼き、老舗VS古本屋」の記事はこちら
  →「三日月村の隠れ宿(1)」の記事はこちら
  →「続・太田焼きそば」の記事はこちら


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