九州大学医学部は来年4月開設する「医学歴史館」に「生体解剖事件」の資料を展示することを決定しました。「事件」は第2次世界大戦末期に九大の前身九州帝国大学医学部で起きた米国人捕虜に対してなされた生体解剖です。大学医学史では長い間、タブー視されてきた事件ですが、「戦後70年を前に直接知る人も少なくなる中で、歴史的教訓として語り継ぐ最後の機会と判断」されたそうです。片野光男医学部長は「歴史館である以上、事件にまったく触れないという選択はすべきでない。人命救助を使命とする医師がなぜ事件を起こしたのか。後の世がそこから学ぶためにも、資料は残しておく必要がある」と話されています。(下:2014年8月17日西日本新聞・下崎千加「九大 米捕虜めぐるタブー破る 生体解剖 資料展示へ」より)
同日西日本新聞33面には現存の生き証人・東野利夫医師(88)の記事もあります。東野さんは「戦争はメスも狂わせた。医師を育てる医学部がそのことに向き合い、伝えなきゃいかんのです」と話されています。