夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性の解らぬ作品 金太郎 伝平田郷陽作

2020-09-09 00:01:00 | 彫刻
男子の健やかな成長を願って製作される人形には各種ありますが、当方には蒐集作品としては平野富山作の桃太郎があります。

桃太郎の鬼退治 平野富山作
ガラスケース入
ケース:幅590*奥行550*高さ550 本体:幅340*奥行280*高さ255



さて人形愛好家には平田郷陽の作品を愛好する方が大変多く、一生のうち郷陽さんを一度は持ちたいという熱意を持っている方が多いそうです。本日の作品は「おそらく」という程度の判断であり、平田郷陽の作と断定する根拠はありませんが、出来が良いののは相違なく入手した作品です。あくまでも作風から「伝」ですのでご了解ください。

*購入先では「初期の作とはなりますが、元々共箱のあった作品であり、作風に間違いありません。」とのことですが・・。



氏素性の解らぬ作品 金太郎 伝平田郷陽作
誂箱
幅455*奥行360*高さ



平田郷陽は戦後は芸術性の高い人形の方に進んでしまうので、市販の人形を作っていた時期というのが昭和の初めから15~16年までしかないないそうです。



そのため作風は、初期は生人形師らしく写実的とされ、次第に抽象的なデフォルメを加え、様式化・単純化に向かったとされています。



反面、郷陽作品に共通しているのは常に確固とした存在感と繊細な感情表現とされています。



本作品はあくまでも息子の健全なる成長を願い入手した作品です。



平田郷陽の略歴は下記のとおりです。

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平田 郷陽(ひらた ごうよう):1903年(明治36年)11月25日~1981年(昭和56年)3月23日)。
日本の人形作家。重要無形文化財保持者(人形師として初の人間国宝)。
衣裳人形の第一人者で、木目込みの技法を用いた衣裳人形を多数手掛ける。本名、恒雄。



東京生まれ。14歳の時、人形師の初代 安本亀八の門弟であった父のもとで人形製作の修行を始め、「活人形(生き人形)」の製作技法を習得した。

1924年(大正13年)父の跡を継ぎ二代郷陽を襲名、日本人形の制作者となり端正なリアリズムをもつ人形を製作するようになる。

1927年(昭和2年)の青い目の人形の答礼人形として市松人形も製作した。当時人形は芸術と認められていなかったため、1928年(昭和3年)から創作人形を目指す同志と白沢会を結成。

1935年(昭和10年)には日本人形社を起こす。

翌1936年には同士6人とともに第1回帝展に入選、以来帝展、文展、日展等で活躍する。日本政府の依頼でベルギーやフランスでの万国博覧会に衣裳人形を出品。

1955年(昭和30年)[1]2月15日、重要無形文化財「衣裳人形」保持者に認定される。

社団法人日本工芸会理事、同人形部会長等を歴任。衣裳人形研究の陽門会を主宰するなど、後継者育成にも尽力した。作風は、初期は生人形師らしく写実的だったが、次第に抽象的なデフォルメを加え、様式化・単純化に向かった。反面、郷陽作品は常に確固とした存在感があり、繊細な感情表現に特色がある。

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平田郷陽が金太郎を題材にした作品に下記の作品があります。

「姥と金太郎」 熊本県立美術館蔵 昭和23年作



似たような作品として下記の作品があります。

「桃太郎(日本一)」昭和初期



なんでも鑑定団には下記の3作品が出品されたようです。

参考作品                 
なんでも鑑定団出品作 2011年08月18日
市松人形:愛好家が大変多く、一生のうち郷陽さんを一度は持ちたいという熱意を持っている方が多い。郷陽は芸術性の高い人形の方に進んでしまうので、こうした市販の人形を作っていた時期というのが昭和の初めから15~16年までしかない。表情が単にリアルだと怖くなってしまうが、依頼品はリアルでありながら人形美に富んでいる。普通の市松人形の手には表情がないが、郷陽の作る人形の手は語りかけるような表情がある。



参考作品                 
なんでも鑑定団出品作 2012年12月20日
おさな児の評:平田郷陽は生き人形と呼ばれる、まるで生きているかのような人形作りから発している人物なのでリアルなのはもちろんのこと、そこに加えて子供の愛らしさがよくにじみ出ている作品。特に目の表情や手の作りが良い。また衣装には「木目込み」(胴体に堀った溝に布地の端を埋め込んで衣装を着たように見せる)という技法が使われており、技術的にも優れた作品。箱書きは奥さんの手になる物。



参考作品                 
なんでも鑑定団出品作 2013年12月05日
和気清麻呂像:和気清麻呂は、奈良時代の末から平安時代初期にかけて活躍した高官で、一度は失脚するも桓武天皇に親任され平安遷都に尽力した人物です。元々の大きな原作があり、お宝はそれを小さくした作品のようです。



はてもさても人気の高い高値の作家の作品が当方で入手できるわけではないのですが、本作品は氏素性の解らぬ作品でありながら観ていて楽しくなる作品です。



冒頭の写真を含めてですが、この作品と一緒に撮影されているのは床が室町期の古備前の壺。



左が明末の餅花手の大皿です。



人形の作品は保管が難しいこととスペースをとることになります。



ガラスケースにしても保管箱が必要でしょう。現在手配中・・・。



ところで作品にはちゃんと男性のシンボルも付いていますよ。息子と確認・・・


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