夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

リメイク カメをもつ女(仮題) 福沢一郎画

2018-10-17 00:01:00 | 掛け軸
伊勢正義の静物画の作品において油絵の絵の具が剥落しており、補修の依頼先を検討していますが、油絵で絵の具の剥落のある作品で補修を必要とする作品がもう一点あります。

以前に紹介した福沢一郎の作品ですが、今回、補修を検討するため男の隠れ家から持ち出し、再度写真撮影し資料を整理しており改めて投稿します。

リメイク カメをもつ女(仮題) 福沢一郎画 その2
油彩額装 右下サイン
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横*縦(号)

本作品は作品整理を手伝ったお礼にと友人から譲り受けた作品ですが、戴いた当時の状態が悪いのでまずは額を取り替えておきました。ガラスもない額に入れたままにしておいたので痛んだのでしょう。



痛んでいるとはいえ文化勲章を受章している画家の作品であり粗末にはできません。当方には祖父の代に購入した作品があり、その関連で福沢一郎の作品には注目しています。

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群馬県北甘楽郡富岡町(現富岡市)に生まれる。父は後に富岡町長となった。

1915年、旧制富岡中学校を卒業。第二高等学校英法科を経て、1918年、東京帝国大学文学部入学。しかし大学の講義に興味なく、彫刻家朝倉文夫に入門し、彫刻家を志す。

1922年、第4回帝展に彫刻作品「酔漢」が初入選。
1924年、渡仏。ジョルジョ・デ・キリコやマックス・エルンストに影響を受け、昭和初年にシュールレアリズムを日本に紹介した。1930年、独立美術協会に参加。
1931年、帰国。1939年、独立美術協会を脱退し、美術文化協会を結成。戦前の前衛美術運動に大きな刺激を与える。
1941年4月から10月までの間、共産主義者の嫌疑で瀧口修造とともに拘禁された。

多摩美術大学、女子美術大学教授をつとめた。
1978年、文化功労者となる。
1991年、文化勲章を受章。

代表作に『他人の恋』(1930年 群馬県立近代美術館蔵)、『科学美を盲目にする』(1930年 群馬県立近代美術館蔵)、『よき料理人』 (1930年 神奈川県立近代美術館蔵)などがある。

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一部に補修のような跡がありますが、当方で入手前に補修したものと推察されます。



洋画や日本画を額に入れて保管する場合は基本的に多少見えづらくてもガラスやアクリル板で保護することは有効であり、ガラスやアクリル板がない場合は痛みが早くなります。なおガラスやアクリル板と作品は一定以上は離しておくのが原則です。古い額にガラスやアクリル板を追加で入れる場合はスペーサーを入れておく必要がありますね。



本作品は当方で入手する前はガラスやアクリル板がない状態でしたので、痛みが進んだものと推察されまます。なおガラスやアクリル板を入れていても痛むことはありますので、温湿度管理には気を付けなくてはいけませんし、いくら油絵でも太陽光の当たる場所には飾るのは避けた方がいいでしょう。ときおりガラス面などを観察してカビの発生のある場合はそれ以上の発生を防ぐようにします。



いつ頃の作品でしょうか? 年号がないので現在調査中です。福沢一郎の作品の中でも魅力的な作品のひとつだろうと思いますので、補修については前向きに検討しようかと思っています。

福沢一郎は近代日本絵画のシュールリアリズムの先駆者ともいえます。福沢一郎の作品は東京都付近に在住の方の多くは一度は見かけているはずです。それは下記の作品です。



1972年10月、鉄道100周年記念事業として、東京駅地下丸の内中央通路から総武快速線(横須賀)地下ホームへ降りる大階段正面に設置された作品です。画家福沢一郎が原画を描き、ステンドグラス作家大伴二三弥がステンドグラスを製作、日本初の公共空間でのステンドグラスです。当時の国鉄総裁、磯崎叡(さとし)は「洋々たる国鉄の未来を象徴する感動的な絵だ」とほれ込んだそうです。



現在は東京駅丸の内赤レンガ駅舎復元工事に伴い一時撤去され、2012年11月に京葉ストリート(京葉線連絡通路)エスカレーター脇に移設されています。バックライトは以前は蛍光灯でしたが、LEDライトに変更されているそうです。

以前は多くが通る東京駅地下丸の内中央通路から総武快速線(横須賀)地下ホームへ降りる大階段正面にあり、作品の真下を通ったので嫌が要でも目につきました。上京した際はこの人の作品が我が家にもあると思い鼻が高かったのを覚えています。浪人時代は市川に、学生時代は吉祥寺に、東京に赴任して丸の内線に乗ることが多く馴染み深い作品です。



さて繰り返しになりますが、蒐集した作品はきちんと整理しておきましょう。木彫や陶磁器は衝撃防止の箱に、絵は黄袋付のタトウに(出来ればガラス面にはクッション材を入れておきましょう)、掛け軸は桐箱に・・、これは骨董蒐集の基本です。作品を裸のまま乱雑に並べておく御仁には真贋を問う前に蒐集する資格そのものがないと言えましょう。飾る時以外は収納箱に保管しましょうね。

収納箱は外から見てどのような作品が収められているか解るようにすることが基本です。どの作品が箱に入っているか解らないと何度も取り出したり、箱を出し入れした際に作品を傷める可能性を高めてしまいますから・・・。なによりも作品が見つからないとイライラしますよ。

*写真を貼り付けておくのもいいかもしれませんが、当方では絵画には写真を貼り付けていません。陶磁器の箱には似た作品が多いので外側に写真を貼り付けていますが・・。写真はどうしても古びて色褪せてきますからね。


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