夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

扇面 南天 伊東深水筆

2024-12-06 00:01:00 | 掛け軸
描いている題材は南天・・、南天(ナンテン)は、もともとは中国原産で、日本には江戸期以前に伝わったそうです。庭木として植えられ、乾燥させた実は南天実(なんてんじつ)として咳止め伝統医薬とされてきました。和名ナンテンの由来は、中国語の音読みとされます。 漢名(中国植物名)は、冬に目立つ赤い果実から灯火を連想して南天燭、また葉や幹の姿が竹に似ることから南天竹(なんてんちく)(南天竺)と名付けられ、南天の花は、仲夏の季語で、実は三冬の季語とされます。



とくに縁起物とされ、「(難を転じて)福をもたらす、(災い転じて)福となす」と続けて、福寿草や葉牡丹と一緒に鉢植え(根を張るように)にしたものを、正月の飾り花として床の間に飾る習慣や、安産祈願の贈りものとされていますね。 赤い色にも縁起が良く厄除けの力があると信じられ、江戸後期から慶事に用いるようになったとようです。



江戸期の百科事典『和漢三才図会』には「南天を庭に植えれば火災を避けられる」とあり、赤い実が逆に「火災除け」として玄関前に庭木として、縁起木として鬼門または裏鬼門に、あるいは便所のそばに「南天手水」と称し葉で手を清めるため植えられました。

南天の箸を使うと病気にならないという言い伝えや、贈答用の赤飯にナンテンの生葉を載せているのも、難転の縁起からきています。 床にナンテンを敷いて妊婦の安産を祈願したり武士が出陣前に床に差して、戦の勝利を祈願するためにも使われました。

なお活け花などでは、ナンテンの実は長持ちし最後まで枝に残っている。このことから一部地方では、酒席に最後まで残って飲み続け、なかなか席を立とうとしない人々のことを「ナンテン組」というらしい・・・。

扇面 南天 伊東深水筆
紙本銀泥着色軸装 軸先象牙 共箱
全体サイズ:縦1420*横726 画サイズ:縦370*横574
(扇面サイズ:最大幅508*高さ230)



師鏑木清方より生地深川の「深」を清方の清から偏の「 水」をとって 「深水」の号を与えられており、号の此君亭(比君汀)は『此君』とは「竹」のことで、「此君亭」は文字通り竹林を控え緑に囲まれた閑静なところを意味するようです。「深水自身が、出来の良い作品に与えた称号(落款や印章)が”此君汀”(しくんてい)。」と解説していますが、これは定かではないように思えます。



当方は素人ゆえに資料が乏しく、落款や印章の確認は未了ですが、作品そのものからは真作に相違なしと現時点では判断しています。

 



話し込むとなかなか席を立たない当方も「ナンテン組」かな・・・?? 否、いつまでもガラクタについて筆を置かないことかな???








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