夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

忘れ去られた画家 釧雲泉 その5 浅絳山水画双幅 その1 右幅「夏雲」 

2012-03-22 07:02:16 | 掛け軸
ぶらり旅の投稿は原稿を週末に纏めることとして、先週書き溜めた原稿から投稿します。

すでに幾つかの作品を紹介しました釧雲泉の作品です。絹に描かれて、双幅となっている作品はたいへん珍しいかと思います。

題名には「夏雲」と「冬泉」という紹介がありますが、夏は確かにそうですが。もう一幅は「秋」のような気がします。(左幅は後日紹介します)

右幅と左幅はどうしてわかるかと言うと、その落款の位置によります。作品の左側に落款があると左幅です。よく反対に飾る方がおられますが、間違いです。では3幅一対は・・・、4幅は・・、美術館で確かめてみ下さい

浅絳山水画双幅 その1 右幅「夏雲」 釧雲泉筆
水墨淡彩絹本軸装 軸先陶器 鑑定箱入
全体サイズ:縦2045*横638 画サイズ:縦1365*横505





巻き止めには「吹笛泳詩黄大痴 董北苑後真畫師 維吾東方受衣鉢 雲泉子外復為誰」(竹田翁之詩)とあります。「居民に雲仙あるを説けども、邑に雲泉あるを知らず」と雲泉を敬慕した田能村竹田はその著『屠赤瑣瑣録』で嘆いている資料がありますが、この巻き止めに記されている漢詩との関係は不明です。




右幅には「法況迂 釧就」と著され印章は「釧就之印」の朱方印と「仲孚」の白方印が押印されていますが、「法況迂」については不明です。





本作品は落款から推察すると、越後に赴く前の江戸在住時(1802~1806頃)前後と思われる作品です。なかなかの力作であり、よく描けています。



構図のとりかたも良く、実にみずみずしい夏の雰囲気が出た佳作です。



浦上玉堂や池大雅などのようにもっと評価されていい画家です。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雲泉の紹介有難うございます (すぎぴい)
2012-03-22 22:25:33
私の好きな釧雲泉の作品を、再び記事で紹介頂きまして有難うございます。作品は、とてもすっきりと透明感のあるいい雰囲気ですね。晩年新潟で描かれた作品の中にとても透明感のある作品を図版で見たことがありますが、共通した感じを受けました。表装次第ではより一層映えると思います。
「法倪迂」については、倪迂は水墨の元末四大家の一人である倪雲林の事と思われるので、「倪雲林の画に倣う」という意味かと思います。雲泉の作品では他にも「董其昌に倣う」のような題の絵も見たことがあります。
「竹田翁之詩」として巻止に書かれている詩は、ご紹介されている竹田の詩の出だしの部分です。「居民に雲仙あるを説けども、邑に雲泉あるを知らず」の部分は詩の最後尾の部分になります。
いい作品のご紹介を有難うございました。
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こちらこそありがとうございます (夜噺骨董談義)
2012-03-23 06:09:19
賛や巻き止めの解説をありがとうございます。こちらも作品の整理に非常に参考になります。

近日、汚れてはいますが、左幅も投稿したいと思っています。
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