夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

男の隠れ家の漆器たち

2017-05-17 00:01:00 | 漆器
息子が具合が悪そう五月の連休の最初は、遠出せずに家で納戸から漆器類を引っ張り出してきて手入れしていました。



母がダンボールに整理していた脚付きの富嶽図の膳です。



高い脚でないので、茶懐石でも使えるかな? 基本的に茶懐石では脚付きの膳は使わず、盆を使うと思ったほうがいいでしょう。



一般的には真塗の盆を使いますが、おもてなしですので違った趣向でも一向に構わないと思います。真塗の作品は以前に紹介したことがありますので省略します。



このような膳は今では買うと高価ですが、これほど塗りがしっかりしている作品はもはや新品ではないかもしれません。



漆器というものものも大切なのは品格です。しっとりした時を経た漆の趣があります。近代の漆器は絵も下手糞、漆は中国製、下地や漆の厚みも薄っぺらという状況です。古い漆器をネットオークションで探してもいいものは皆無に近いと思われます。



こちらは「三の膳」用の丸い脚付きの梨地の作品です。



20客揃いで遺っていますが、なかなか傷の無い状態で遺していくのは難しいものです。今回のように数年に一度は手入れしておかないと、漆器にカビがついてきます。



最近の方は、漆器の碗や箸を平気で他の陶磁器の食器と一緒に水につけておいたりしますが、そのようなことは子供の頃に母から怒られたものです。漆器の手入れの仕方も母からきちんと教わったものです。



日本人が日本古来の食器を使わなくなり、手入れの仕方すら知らないようです。



これは梨地の大きな盛り付け用の碗です。



祖父が作らせた家紋入りの漆器は多々あります。個々にも家紋入りで個人の銘入りが入った作を作ってくれており、箸、箸箱、汁椀は誕生祝にもらっています。祖父の眼は確かで、中途半端な作は受け入れなかったようです。



亀の家紋は祖父が作ったものです。商売は5つの事業の種類を基本とし、「人は三人を柱として事業」を行なうこと、そして「家族三人、兄弟三人」で仲良く暮らせという意図・・。

「銀吹」に家紋入りは高級品で、「銀吹」の作品は一般的には作られておらず、当方には他にお膳、御櫃、汁椀が揃いであります。

家紋入の重箱はもうひとつあります。



兄弟三人に配られたようです。



重箱には盆と膳がセットになっています。



輪島に特注で作らせたようです。



現代でもこのような特注は可能で、名前入は価格も安くすぐにできますが、この家紋は面倒そうです。



椀以外の食器には陶磁器が多く、柿右衛門の揃い、平戸焼の揃いがあります。



家紋入りは普段使いには支障があるようなので、家紋が入っていないものもあります。



本日紹介した作品は手入れもきちんとされており、保存状態も良好なのですが、山とある他の漆器のメンテナンスに手をかけだすとかなりの労力と費用を費やすことになりそうです。







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