夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

紅い椅子 原精一画 その6

2024-08-23 00:01:00 | 洋画
郷里の実家の菩提寺にて母の七回忌の法要・・。



身内だけの少人数の法要です。



菩提寺の邸内には以前に見せて頂いた茶室もあります。



寺内には福田豊四郎の作品も展示されていました。


明末(この作品は清初かな?)の漳州窯呉須赤絵の大皿・・。



影青や定窯の作品など・・。



寺院近くの倶楽部にて会食・・、住職さんとはいつものようにしばし骨董談義となりました。



さて本日紹介する作品ですが、下記の写真の作品は、以前に紹介した原精一の作品「青い服と帽子」と今回紹介する「紅い椅子」の作品です。両作品を並べて見ると「青」と「赤」のコントラストの対比が鮮やかで愉しめる作品となっています。実は「座緑女」という作品を入手し損ねて、その反動?にて本日紹介する作品「紅い椅子」を入手したという経緯があります。



本日紹介する作品の「紅い椅子」という題名は裏にあるサインからです。



紅い椅子 原精一画
右下サインとキャンパス裏に題名とサイン有 
油彩額装 タトウ+誂:黄袋
F12号 額サイズ 縦795*横690 画サイズ:縦605*横500



原精一の作品のメインの題材は貫して裸婦であり、女体の力動感を描き出そうとしている作品群です。この作品の題材も「裸婦」ですが、憂いのあるような顔つきの女性が果敢なげに遠くを見つめている姿が特徴的ですが、暖色系を基本とした色彩のバランスや、明るい光りの使い方などで爽やかな印象すらも受けます。



ガッチリとした骨太なラインで描かれる女性の姿が独特でインパクトを与えます。たおやかな人柄ながら芯の通った原精一の人間性を表しているものと評価されています。



戦中画家でありながら2度の招集を受け、いち兵士として戦場をさまよっていた経歴の持ち主ですが、 戦後、帰国した原精一は画家として大きく評価を得ていきます。



戦時下の状況の中スケッチを描き続け、その数は数百枚に及び、個展が開かれる程の高いクオリティを保っています。 デッサンを通じ、全ての対象物の核となる真実を見出してきた画家と評価され、彼の作品と生き様に、未だなお多くの人々がファンとなっています。

素速く適確なデッサンには定評があり、『原精一デッサン集』(40年、美術出版社)、『原精一素描集』(54年)、『原精一画集』(58年、日動出版)が刊行されています。  

原精一は師事していた鉄五郎の唯一の弟子と言って良いほど個性的な画家ですが、師事する画家の影響を受けることが一般的ありながら、原精一の場合、鉄五郎とは作風はまったく別ですね。鉄五郎の特徴あるフォ–ビスム、キュビスムとした作風とは違い、独特な油彩独特のタッチを写実的に描く原精一は師弟関係を精神的なつながりと表現していました。

強い精神力を宿した原精一は“書く”という作業に取り憑かれ、時間さえあれば作品を作っており、市場には数多くの作品があります。



作品中のサインはキャンパス裏のサインは写真のとおりです。



願わくば「座緑女」という作品も並べて見たかった・・・。



インターネットオークションに多くの作品が出品されているようですが、よく吟味しないと多作故かもしれませんが、意外に贋作や真贋不明と思われるつまらない作品が数多くありそうです。



下記の作品は長らく客間の廊下に飾って愉しんでいます。



おおらかな画風は味わい深いものです。



誂えられていた本作品を収納するタトウは作品を取り出しやすいようによく出来ていますね。
















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