本日紹介する作品は小さな作品ですが、木下孝則の魅力が盛り沢山の作品です。
(くつろぐ)バレリーナ 木下孝則画 その26
油彩額装 左上サイン 誂:黄袋+タトウ
F3号程度 額サイズ:縦490*横440 画サイズ:縦280*横210
題名は保管箱に記されているものですので、本当の題名は不明です。
描くところを途中で止めたかのようなところも木下孝則らしい・・。
手足の描きがうまいですね。作品中のサインは下記の写真のとおりです。
あらためて木下孝則の略歴は下記のとおりです。
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木下孝則:1894年2月24日~1973年3月29日。日本の洋画家。東京市四谷区生まれ。同じく画家の木下義謙は実弟。父の友三郎は明治大学総長。母方の叔父の児島善久雄は西洋美術史家。
学習院中等科を経て学習院高等科を卒業する。京都帝国大学法科大学政治経済学科および東京帝国大学文科大学哲学科をいずれも中退。このころに小島善太郎など複数の画家と知り合い、油絵を開始。
1921年、二科展に入選。その後フランスに留学。帰国後に二科会展で樗牛賞および二科賞受賞。1936年に二科会と一水会創立会員になった。1920年代エコール・ド・パリの雰囲気を吸収し日本に紹介した「1930年協会」の主要メンバーのひとり。
明快な色調と優れた描写力で、踊り子を含む洗練された女性像を数多く描いたことで知られる。1958年には日本芸術院賞受賞。1973年に没し、勲四等旭日小綬章受章。木下の作品には、女性をモチーフとしたものが多い。
木下孝則の詳細な画歴
1894(明治27)年2月24日 東京市四谷区生
1917(大正6)年 学習院高等科を卒業して、京都帝国大学法科大学政治経済学科に入学するが、翌年京大在籍のまま東京帝国大学文科大学哲学科に入学し、京大を中退
1919(大正8)年 東京帝国大学も退学し、この頃に油絵を始め、後に1930年協会を設立する小島善太郎、佐伯祐三らと親交を重ねる
1921(大正10)年 第8回二科会展で入選し、渡仏留学に出る
1923(大正12)年 帰国後は二科展で活躍する
1926(大正15)年 1930年協会を設立し、また東京朝日新聞連載の山本有三『生きとし生けるもの』の挿絵を担当する
1927(昭和2)年 春陽会会員に推挙されるが昭和5年には退会する
1928(昭和3)年 再渡仏し、サロン・ドートンヌに出展
1935(昭和10)年 帰国
1936(昭和11)年 一水会の創立に参加
戦後も1948(昭和23)年に朝日新聞連載の船山馨『人間復活』や毎日新聞連載の永井竜男『さくらんぼ』(昭和28年)などの挿絵を描き、一水会展を中心にバレリーナをモデルとした作品を発表し、日展などにも精力的に作品発表を続けた
1973(昭和48)年3月29日没 79歳
*ところで昭和15年「明治・大正・昭和挿繪文化展覧會」の「名作」に因る新作挿繪作品展に出展していますが、木下孝則が挿絵をやっていたことについては殆ど知られていません。
昭和15年の「明治・大正・昭和挿繪文化展覧會」に阿部知二の『旅人』を描いて出品したことの資料は年譜などには見られません。阿部知二の『旅人』と
いう作品について情報が確認できておらず、果たして木下孝則がどのようにこの作品と関連していたのかも確認できていません。そもそも何を基準にした作品展だったのか、よくわからない不思議な挿絵展?らしく、木下孝則にしたところで、大正15年に新聞連載小説の挿絵を手掛けた後、渡仏してしまい、挿絵が華やかだった昭和初期にはずっとフランスにいたのですから、帰国後の間もない頃にどうしてこの挿繪作品展に参加しようと思ったのかも不明です。
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本ブログに紹介された作品においても「読書する女性」を描いた作品は幾つかありますので、すでに本ブログで紹介された作品ですが、改めて紹介します。
青い本を読む婦人 木下孝則画 1966年頃
油彩額装 左下サイン 黄袋+タトウ
額サイズ:縦630*横560 画サイズ:縦455*横380 F8号
(赤い髪飾りの)少女 木下孝則画 1954年 その10
油彩額装 左上サイン 日動画廊シール付 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦610*横520 画サイズ:縦410*横318 F6号
読書する女 木下孝則画 1955年作 その11
油彩額装 右上サイン 銀座日動画廊シール 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦610*横445 画サイズ:縦415*横245 M6
気品と初々しい色香溢れる作品
(読書をする)少女 木下孝則画 1954年作
油彩額装 左上サイン 銀座日動画廊シール 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦670*横595 画サイズ:縦455*横380 F8号
油彩額装 左上サイン 銀座日動画廊シール 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦670*横595 画サイズ:縦455*横380 F8号
まだ幾点か「読書する女性」を描いた作品を所蔵していますが、次に「バレリーナ」を描いた作品を何点か紹介します。
窓辺のバレリーナ 木下孝則画 その22
油彩額装 左下サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦550*横645 画サイズ:縦318*横410 F6号
バレリーナ 木下孝則画 その25
油彩額装 左下サイン 裏に梅田画廊シール 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦780*横680 画サイズ:縦510*横430 P10号程度
ピアノによるバレーダンサー 木下孝則画 その24
油彩額装 左下サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦650*横575 画サイズ:縦510*横425 P10号程度
窓辺の踊り子(仮題) 木下孝則画 その5
油彩額装 右上サイン 黄袋+タトウ
額サイズ:縦590*横500 画サイズ:縦410*横318 F6号
お気に入りの作品 踊り子 木下孝則画 その19
油彩額装 右下サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦740*横665 画サイズ:縦530*横455 F10号
さて極めつけは木下孝則の「脚」に対するこだわりでしょう。バレリーナを描いた作品でもそれはより顕著ですが、足でも特に足首よりも先に強い関心あったのではないかと思われます。
さて次に女性の肢体の美しさを描いている作品を2点紹介します。
黄色の髪飾りの裸婦(仮題) 木下孝則画
油彩額装 左下サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦600*横500 画サイズ:縦410*横318 F6号
裸婦 木下孝則画 その1
油彩額装 左下サイン
画サイズ:横435*縦515
昭和レトロ?の気品ある美しさを描いた木下孝則ワールド・・・、このような世界を好む人は今は少ないのだろうか?
額の内部や裏側は神田の草土舎にて清掃したりしてもらいました。
古い洋画の作品も一度額から外して中を点検する必要があります。釘打ちやシールで取り外せないものは額屋さんでメンテしてもらう必要があります。
額装でも内部にカビが発生します。ガラスの内側などの掃除はよく見てメンテしなくてはいけません。