Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

勘を戻して行かなければ

2021-05-20 | 雑感
フランクフルトの市立オペラ劇場再開の話しが出っている。火曜日の会見で秋からの新シーズンのプログラムと共に支配人から発表された。既に新陽性者指数100を下回っているので、再開は想定通りだが、新制作プーランク作「カルメレ修道会の対話」で6月中旬以降としか発表されずに、コンサート形式の「アリアドネ」とがプログラムに上がる。

準備を充分にしていなかったという事だと思うが、室内楽編成への編曲は出来上っているようなので、人員的な配置が遅くなっているのだろう。こちらからすれば、家のボイラーの設置の期日となによりもミュンヘンの配券が終らないと日程が定め難い。今週末に決まって呉れると有難い。

新シーズンは、昨年の様にオクサーナ・リニヴが振る訳でも、アスミク・グリゴーリアンが出る訳でもないので、さてどうかと思っていたら、友人のティテュス・エンゲルがデビューとあった。シュトットガルトでは現在オンデマンド中の「ボリス」など大成功しているようなのだが、フランクフルトは初めてのようだ。何を指揮するかというとニールセンの「マスケラーデ」で嘗て偶然に購入したLPで馴染みのあるオペラ作品だ。恐らく、お国のデンマークでの録音は可成り古く保守的な解釈演奏だったが、幾らかは異なる面が聴けるのだろうか?10月末からの事で、都合が着く時に是非出かけたい。

もう一つ同時期に昨シーズンにヨアンナ・マルヴィッツが指揮したバリーコスキー演出「サロメ」の再演を振る。こちらは明らかにマルヴィッツの指揮にも問題があり、丁度コロナ禍へと向かっている時で不発に終わっていた。エンゲルの指揮で成功するものかどうか、注目される。

少なくとも今回公開されてオンデマンドになっているマルヴィッツ音楽監督の新制作「オルフェオ」での指揮や編曲の腕を見ると、こちらも不発に終わっていそうである。試みの意図は分からぬではないが、玄人筋にも膝を叩かせるぐらいの合点がいかないと駄目である。最終的には音楽性が問われることになる。本当に芸術の世界の結果は嘘はつかない。昨夏のザルツブルクでの大成功はとても幸運だったのだが、失敗も多いのはよく知られていて、実力通りの結果となっている。

フランクフルトでは、月末に無観衆の歌曲の会がある。マルリス・ペーターセンが歌い、YouTubeなどで世界中に放映される。前回のミュンヘンでの「ばらの騎士」マルシャリンでのデビューの歌唱は絶賛されたが、それでも歌詞よりもフレージングと批評された。その意味からも、選曲にもよるのだが、歌詞の扱いが注目される。勿論ご本人も幾らかは意識しているに違いない。

その方では最も有名なのは名バリトンのフィッシャーディスカウだが、録音を重ねるその都度毎その言葉の響きや色合い若しくはとその変化と苦心の点が色々と評価されたものだった。まさしく、ルネッサンスから論争があるように「音楽が先か詩が先か」の永遠のテーマとなる。

我々も少しづつ再開に向けて実演での勘を戻して行かなければいけないと思う。聴衆もホームオーディオ音響に悦に入って遊んでいてはいけないのである。



参照:
まだまだ遠い目標点 2021-03-28 | マスメディア批評
天使が下りてくる歌劇 2020-09-29 | 音
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