Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

バイロイトからストリミング

2021-05-27 | 文化一般
バイエルンの放送局BRクラシックがバイロイト市の文化局責任者にインタヴューをしている。来月から本格的な稽古に入るバイロイト音楽祭に関してである。

先ずは、先日来流れていた資金的援助はベルリン政府からは出ていたが、その数倍の額を市から出すと言っていた話しは決まっていなかったどころか、難しいだろうという話しである。ベルリンは人数削減での収入の埋め合わせとして百万ユーロを出すとしていた。

つまり1800人の入場料をざっと計算すると平均150ユーロとしても一晩当り270千ユーロの穴が開く。百万ユーロでは三晩分の穴埋めにしかならない。

予定表では27晩とかの予定だったので、市が援助する額も数倍必要だった。到底予定プログラムの実施は難しく、決定しているのは7月25日に新制作「オランダ人」で初日を開けるという事でしかない。

それも空調の無い会場なので全員がテスト陰性か接種終了で初めて入場可能となる。それでも言われていた234人どころか200人迄という数字が新たに出たので、より厳しくなる可能性がある。事実上無観客で新制作ものを一晩限り上演して、僅かばかりの観客を入れるのが精々とした予測は正しい。

即ち再演で赤字を出す様な価値はないので、それらの公演は中止になるだろう。同様の事は同州の全く経済基盤の異なるミュンヘンのオペルンフェストシュピーレでも起こりそうである。バイロイトの場合は経営収入の65%が売券収入なので、開催されない限り倒産とされていて、今回も損失は有限責任会社バイロイト音楽祭の株主の負担となる。連邦政府、州政府、バイロイト市、ヴァークナー音楽祭が負債を別け合う。支払えない場合はやはり倒産である。

同時に決定している「オランダ人」ではその代りにパブリックヴューイングと映画館での上映、ネットでのストリーミングが約束される。毎年ラディオ中継されていたバイロイト音楽祭初日からの初めてのネットストリーミング中継が行われる。

また長期計画として、バイロイト祝祭劇場150周年記念が企画されつつあって、2026年にはバイロイト再開に因んでベートーヴェンの第九演奏会で幕を開けるとされている。連邦政府が資金を出している改装も完全に終えるという事なのだろう。

今年連邦文化大臣ギュルタースがバイロイト音楽祭の構造改革を求めて、元祖音楽監督についていたクリスティアン・ティーレマンを諫めて、ヴァークナー家の位置付けを明確にすることを要求した。これで辻褄が合うだろう。有限責任会社の負債の問題はどうなるか未定であるが、恐らく2026年の開幕指揮者にはキリル・ペトレンコしか適任者はいないので、その年から完全復帰となるのだろう。

相対的にヴァークナー協会の決定権は薄まって来るものと予想される。先頃その原点であったマンハイムの協会の理事長が亡くなった。明らかに時代が、その構造が変わって来ている。



参照:
定員の三割入場者に賭ける 2021-04-17 | 文化一般
音楽監督ティーレマンの去就 2020-12-29 | マスメディア批評
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