Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

『スペードの女王』へと

2022-02-08 | 文化一般
バーデンバーデン祝祭劇場のサイトに新たな復活祭ページが加わった。主な内容は昨年11月に流されたペトレンコの楽曲に関するインタヴューヴィデオの切りとりの販促である。文章としては、「(復活祭で祝祭劇場の奈落デビューをする)ペトレンコは、四回の(スぺ―ドの女王)上演で最大級の期待に応えることになると思う」としている。

その切り取られたヴィデオでは、「『スペードの女王』は最初から最後まで力の入った筆で書かれていて、作品として全てが結果を得た圧倒的な勝利で、描かれるヘルマンこそが其の儘アウトサイダーである作曲家チャイコフスキー自身になっている。愛情から破壊へと至るリサとの関係は作曲家のそれに似ていて管弦楽は至芸の作品で、恐らく19世紀のロシアのオペラとしての最高峰にある。それどころか後期ロマン派の一里塚となっている作品。唯一無二。チャイコフスキーの愛の危機に相応。」と語っている。

それを受けてかマルテ・クラスティングは、「バーデンバーデンの祝祭劇場で初めて舞台を振る上演になるが何か一言」と尋ねる。

「(演出に)とてもオーソドックスなのだがとても興味深い視座が開く、それは同時にとても合理的であると個人的には確信してます。そしてとても楽しみにしていて待ち遠しい。その前に純音楽的に『マゼッパ』をお試しでやる訳ですが、そこに奈落と舞台のブリッジを掛けるというなるべくしてなる繋がりとなります。コロナで一回飛んでしまった分余計にその思いが…」

多くの寄付をした人などがこのペトレンコの思いを聞いてどのように感じるかは分からない。しかしどちらにしても大きな感慨を持つのではなかろうか。少なくともこのページが上げられたのは1月25日であり、劇場の覚悟もそこに見て取れるだろうか。

日曜日の早朝にタイマー録音していたボストンからの中継が良かった。生中継枠なので休憩時間にはセレナードの編曲版が流れていたが、たっぷりと楽しめるプログラムになっていた。最初にヤナ―チェックの序曲を持ってきて、ソリストとのラフマニノフ、そして最後にドヴォルジャークの六番交響曲。とても味わい深い演奏だった。やはりボストンのシックなアンサムブルにはこういう指揮と演奏が似合う。会場の受けもよかったようなので、アンサムブルさえいいものを保持できれば現監督のネルソンズよりも文化的に高度である。客演筆頭指揮者になるのは間違いないような成功だったろう。

「スペードの女王」のリサでバーデンバーデンデビューを果たすアスミク・グリゴーリアンが二度目のヴィーンでの舞台に出ている。前回は新制作「蝶々さん」だったが、音楽監督自らの指揮でとんでもなく歌を殺すような指揮に合わすことになっていた。しかし今回はミュンヘンにも出ている若い指揮者で自由に主役で歌わせてもらっている感じがする。週末のオーストリアのニュース番組に新制作でなくてもその様子が取り上げられているぐらいに大スター扱いとなっている。月曜日の公演が生中継されるようで、劇場のサイトで無料で観れそうなので、こちらも今度こそはという気持ちになる。ベルリンでは急遽デビューを果たし、来るバーデンバーデンでも世界的な脚光を浴びる中でヴィーンでは大成功していないとなれば何事かとなるからだ。要するに歌手にとってではなくて劇場にとって大成功して貰わなければならないという状況になっている。



参照:
Ein „Juwel“ zur Premiere, Festspielhaus Baden-Baden vom 25.1.2022
復活祭に向けての準備 2022-01-12 | 文化一般
指揮者の職人的技量 2022-02-05 | 文化一般
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