ピカビア通信

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東京家族

2014年01月27日 | 映画

 

山田洋次の「東京家族」が放映されていたので、後半、半分ほどを見た。小津安二郎の「東京物語」の現代版という、内容もほぼ一緒の映画だ。わざわざ見る気にはならなかったが、テレビでやっていたので比較するのにも丁度と思い見たわけだが、内容がほぼ同じでも映画として見るとそこはやはり相当な違いがある(テレビドラマとしてみればよく出来ていると思う)。

一番の違いは表現スタイルということになるが、これはもう個人の根本的な感覚の違いなのでどうしようもない。小津と較べるとどうしても説明過多である。動きの少ない大胆なショットを山田作品に望むことは出来ない。例えば、母親が危篤状態の病院の部分。長いのである。分かり易い人情劇的世界が山田作品の特徴かと思うが、そういう部分の描き方は小津と真反対と言っても良いのではないだろうか。後、父親の喋り方など笠智衆を真似ていたり、随所に小津的世界を髣髴とさせる材料を配置してるが、それがもうパロディにしか見えないのだ。

それと、「東京物語」では、その後の高度成長期に伴う家族の崩壊を予見していたのだが、「東京家族」に描かれた家族は、「東京物語」の家族の冷ややかさよりかなり益しに思えた。これは敢えてそうしたのか。それとも監督の資質によるものなのだろうか。

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