その後、まだ本の整理をしたのだが、全体では全く減っ
た気配がない。
やるなら本格的にしないと駄目なようだ。
十数冊処分したところで、大勢には影響がないという
ことだ。
しかし、見る度に、取っておいてもしょうがないとい
う思いばかりが襲ってくる。
古本屋に持っていっても、二束三文のものばかりなの
だから、捨てればいいだけなのだが、どうも踏ん切り
がつかない。
飾り用というか、思い入れの強いものだけにすれば、
今の四分の一で済む。
ということは、本棚一つに余裕で収まる。
五分の一かな。
埃の温床になるだけなんだから。
自分は本好きの部類には入らないと思うが、岩所謂本
好きの人ならこんなものでは済まないだろう。
例えば文庫本などどうしているのだろうか。
元々が保存性はよくないのだから、取っておくもので
はないかも知れないが、結構皆取っているようにも見
える。
本好きほど愛着があるだろうから、より捨てられない
というのはあるのではないだろうか。
本と一緒に殉教。
気付いたら、本の海の中で息絶えていた、なんて話も
生まれそうだ。
物語の海で生まれた物語、なんてね。
と言いながら、T君のとこから一冊文庫の古本を購入
した。
勿論100円均一。
ジョイスの「若い芸術家の肖像」という本。
兎に角ジョイスに関しては鬼門で、「フィネガンズウェ
イク」にしろ「ユリシーズ」にしろ、途中で断念が続
いている。
「ダブリン市民」だけだ、ちゃんと読んだのは。
にも拘らずまた何故ジョイスかというと、興味だけは
未だあるのだ。
未練があると言った方が正確かもしれない。
で、この「若い芸術家の肖像」だが、途中断念のシリー
ズとは違って、言葉遊びや、引用はそれ程多くない。
つまり、読みやすいのだ。
T君がこの本を買った理由は、訳が「丸谷才一」だっ
たということだが、そんな理由でジョイスかとも思っ
たが、動機は人それぞれだ。
考えてみれば、今年読んだ小説は、ストローブ=ユイレ
の映画「アメリカ.階級関係」と比較するために読ん
だ、二度目のカフカ「アメリカ」ぐらいしかなかった。
そして二冊目がこれ。
一応、カフカとジョイスしか読まなかった、とは言え
る。
間違いではない。
実際は二冊だけだが、実体を知らなければ、何だか本
格派と見栄を張れそうな読書体験である。
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