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ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】死を見つめる心の科学

2006年12月09日 18時55分05秒 | 読書記録2006
死を見つめる心の科学 生きるのは、あなたです, 荒金天倫 高田明和, 講談社ブルーバックス B-802, 1989年
・医学博士である高田明和氏と、末期ガンにもかかわらず精力的に活動する僧侶の荒金天倫氏との対談を中心に、科学と宗教の立場から『死』について考える。
・ブルーバックスもまた、きわどい内容の本を出したものですね。どうにか科学の話題もこじ入れていますが、かなり無理があります。荒金氏の語る、禅宗の考え方(天国も地獄も幽霊もない!!、八識、等々)については非常に興味深い。
・「量子力学の創始者ともいえるニールス・ボーアは1927年イタリアのコモにおけるボルタ会議で、有名なコペンハーゲン解釈を出しました。これによると「世界はシュレーディンガーの波動方程式が示す以上の事を示すことはできない。この方程式はcomplete(完全ですべて)だ」といっています。」p.9
・「第六識の「意識」から、第七が「末那識(まなしき)」といいまして、これは幼いときからずーっと知らず知らずに積み上げてきた記憶ですね、で、先生がいまおっしゃった阿頼耶識(あらやしき)というのはもっと先の第八識であって、(中略)心の本体。それをわれわれは心といっているんです。」p.29
・「政治家どもが(中略)わけわからずに禅の言葉を軽々しく使うので、世間に誤解を招いている。  それから、山田無文とか、そういう連中はいいですが、そのほかのカス坊主どもが、修行もしてなくて、人の本を読んだり人の話を聞いたりして、聞きかじりでしゃべるから、それで困るんです。」p.30
・「公私ともにきょうはいい日だったなあ、なんていうのは一年のうち二日か三日もあればいいほうなんです。あとは悪日の連続なんです。」p.32
・「心の本体というのは、喜びも悲しみも、そういうものも何もない。絶対無である、絶対空の世界。その無も空も、充実した無であり充実した空である。」p.35
・「彼の教えをうけていたボヘミアのエリザベス女王は1643年5月に手紙を書き、歴史に残る有名な質問をしたのです。  彼女は「なぜ人間の魂が身体の運動を決定出来るのか教えて下さい」とデカルトに問いました。」p.39
・「つまり五感で情報を得て、六識でこれをまとめ、心の本体(八識)に送るとき、第七識がこれを過去の記憶とか本能によりゆがめてしまう、というのです。」p.45
・「一方、仏教は宿命論(すべては決まっている)というものは取らないようです。」p.50
・「私は人生で最も大切なことは自信を持つことで、最も恐ろしいことは自信を失うことだと思っています。」p.68
・「そこで、ある人が「明るい心の持ち方」をたずね、それではどうしたらよいかと聞いた時、これに対する解答は、広い意味での宗教の立場になると思うのです。」p.77
・「寺山旦中という二松学舎大学の書道の先生は禅僧などの書を電顕で拡大しました。そして、気力を練った人の字は墨汁の粒子がきちんと整列しているといっています。」p.95
・「私は心の調和が自分にも、周囲にも大きな影響を与えることを信じて疑わないのです。」p.97
・「人間はどんなに修行してもこの因果の法則からは逃げられません。」p.102
・「よいことをする、悪いことをしない。そこへ引っ張り込むために、たとえを使われた。よく来世なんていうことをいいますが、それもたとえなんです。それで、地獄極楽なんていうことも、たとえに使われたことです。」p.106
・「われわれが一番大事なことは、「一丈を道取するよりは一尺を行取せよ」。一丈ほら吹くよりは一尺実行せい。言行一致ということが大事だ。」p.107
・「禅では「正法に不可思議なし」として迷信的なことを強く排する」p.110
・「老師は「自分の心で因果を選択できる」といっておられるのです。」p.121
・「ジャン・ジャック・ルソーはその著「エミールの序文で次のように述べています。「神は全ての者を善として創り給う。人はそれに手出しをして、悪にしてしまう」」」p.123
・「したがって「生」を本当に知るためには、「死」を見つめる必要があるといってよいのです。」p.132
・「古歌にも「人の世は みな嘘偽りに満ちけるに 死ぬことのみぞ 誠なりける」とありますが、死はある意味で、すべての人が人生でめぐりあう唯一の真実といえるかも知れません。」p.148
・「シュレーディンガーによれば、宇宙は知覚されない限り無数の可能性をもった存在です。しかし知覚されると、一つの結果しか存在しなくなります。彼は、宇宙を現実としているものは「自分」だということになる、といっているのです。」p.164
・「そんな非科学的なものじゃない、禅宗は。科学にもぴったり、医学にも合うし、ほかの宗教のような嘘をいわない。」p.175
・「ちょっとくらい体が悪くても仕事に打ち込んで、みんなから尊敬されていると長生きする、という統計が出たんです。」p.176

?あらやしき【阿頼耶識】 (梵Dlaya-vijnanaの訳。蔵識、真識、阿梨耶識、無没識などと訳す)仏語。唯識宗で説く八識の一つ。宇宙の万有を保って失わず、万有が展開する際の基体であり、万有を収蔵している心の主体。

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