ケースレポート.現在,19歳の男子で,生来,軽度の知的障害あり.13歳時に歩行障害,14および18歳時に精神症状,さらに引き続いてパーキンソニズム,小脳失調,錐体路障害を呈した.血清セルロプラスミン・銅正常,フェリチン値低下16ng/ml(正常20-300 ng/ml).頭部MRIでは両側淡蒼球のT2, FLAIR high lesionを認め,さらに前頭~頭頂葉の萎縮,小脳虫部の萎縮を認めた.両親に血族婚はなく,家族にも類症を認めなかったものの,母と弟にMRIにて発端者と同じ淡蒼球異常信号が認められた.
診断はneuroferritinopathyである(OMIMではadult-onset basal ganglia disease. #606159と記載されている).罹患者およびその母,弟にferritin light polypeptide gene(FTL)に新規変異474G>A;A96Tを認めた.Neuroferritinopathyは常染色体優性遺伝を呈する疾患で,一般に40-60歳代で発症,多彩な不随意運動(舞踏運動,ジストニア,bradykinetic-rigid syndrome,振戦)や前頭葉機能障害を呈する.血清フェリチン値が低下する.画像所見では淡蒼球の異常信号や空洞性変化を認める.病理学的に病変部位における鉄やフェリチンの沈着が見られる.これまでの遺伝子変異の報告は460-461InsA,498-499InsTCという2種類の挿入変異(いずれもフレームシフトを来たし,C末端アミノ酸配列が変化し蛋白サイズが大きくなる)のみであった.
本家系でなぜ同じ遺伝子変異を有していても発症する者としない者がいるのかに関しては考察されていないが,浸透率の問題とかその他の遺伝子がトランスにFTL遺伝子発現を調節しているとか,環境因子などが関与する可能性が考えられるのだろう.いずれにしても本邦での報告がない稀な疾患であるが,画像所見が特徴的であるので取り上げた.
Neurology 65; 603-605, 2005
診断はneuroferritinopathyである(OMIMではadult-onset basal ganglia disease. #606159と記載されている).罹患者およびその母,弟にferritin light polypeptide gene(FTL)に新規変異474G>A;A96Tを認めた.Neuroferritinopathyは常染色体優性遺伝を呈する疾患で,一般に40-60歳代で発症,多彩な不随意運動(舞踏運動,ジストニア,bradykinetic-rigid syndrome,振戦)や前頭葉機能障害を呈する.血清フェリチン値が低下する.画像所見では淡蒼球の異常信号や空洞性変化を認める.病理学的に病変部位における鉄やフェリチンの沈着が見られる.これまでの遺伝子変異の報告は460-461InsA,498-499InsTCという2種類の挿入変異(いずれもフレームシフトを来たし,C末端アミノ酸配列が変化し蛋白サイズが大きくなる)のみであった.
本家系でなぜ同じ遺伝子変異を有していても発症する者としない者がいるのかに関しては考察されていないが,浸透率の問題とかその他の遺伝子がトランスにFTL遺伝子発現を調節しているとか,環境因子などが関与する可能性が考えられるのだろう.いずれにしても本邦での報告がない稀な疾患であるが,画像所見が特徴的であるので取り上げた.
Neurology 65; 603-605, 2005
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/book.gif)