Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文 ー症候学編ー

2023年01月26日 | 医学と医療
東京女子医科大学 飯嶋 睦 教授に貴重な機会をいただき,標題の講演を致しました.
「症候学のレクチャーを!」というリクエストで,どうしたものかと迷ったのですが,これまで当ブログで紹介してきた神経症候の画像・動画のコレクションをまとめてご覧頂くことにしました.
当ブログは2004年,留学中の脳虚血モデルの手術中の待ち時間に,臨床力を落とさないため読んだ論文のメモをアップロードして始めました.数えたところ,現在,1050回の執筆で,トータル 981万2763 PVと多くの人にお読みいただきと感謝しています.症候学の話題をスライドにまとめたところ200枚近くになったのですが,今回はとくに臨床に役立ちそうなものを95枚ほどを提示しました.具体的には以下のリストになります.詳細は当ブログや当科のコラムにありますのでご覧いただければと思います.

Dalrymple-Stellwag sign
raccoon eye appearance
enhanced ptosis
Hutchinson sign
round houses sign
square-wave jerks
ルリモハリモテラセバヒカル
pistol-hand sign
striatal hand/thalamic hand
Popeye sign
groove sign
hammer toe/claw toe/mallet toe
functional drift/Parietal drift
cutis verticis gyrate
Leser-Trélat sign
erythema migrans
mechanical hand
nailfold bleeding
Pellagra
serotonin syndrome
hung-up reflex
head retraction reflex
Woltman sign
inverted radial reflex
magnetic gait
antalgic gait
Trendelenburg gait
finger chase maneuver
Holmes-Stewart phenomenon
check reflex
Mann test
spasmodic cough
bedside head impulse test
wing-beating tremor
cortical tremor
biphasic-like dyskinesia
spatula test
lingual myorhythmia
head titubation
shoulder touch test
“stretched slinky” sign
peduncular hallucinosis
Charles Bonnet syndrome
occipital lobe epilepsy

並べるとマニアっぽいですが(笑)こういった症候学は診断に直結しますし,知っていることが大切で,知らないと「見れども見れず」になってしまいます.
当科ではこのような症候学を大切にして勉強しています.興味ある学生,若手の先生はぜひ見学にお越しください!


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新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月23日):性急な5類への引き下げはすべきではない

2023年01月23日 | COVID-19
今回のキーワードは,二価ワクチンは接種後70日までの入院率および死亡率を顕著に低下させる,マウスモデルにおける脳へのウイルス血行感染はワクチン接種で抑制できる,上気道からSARS-CoV-2ウイルスのクリアランスが遅い場合にbrain fogが生じる,PCR陰性になってもウイルスはかなり長期に肺の特定の細胞で持続感染している,軽症感染後の後遺症のうち1年以内に消失するものとしないものがある,long COVIDの6つの病態機序と小児long COVIDの特徴,COVID-19認知症の機序として海馬歯状回の神経細胞の新生・成熟障害が示唆される,COVID-19頭痛の3タイプとその病態・意義,です.

政府はCOVID-19の感染症法上の位置付けを2類相当から5類へ変更し,また屋内でのマスク着用原則の廃止も検討しています.全面緩和を急ぐ背景には,防衛費や子ども予算の増額を控える中,100兆円超をつぎ込んだコロナ対策費に歯止めをかけ,財政負担を軽減したい狙いがあると報道されています.しかし5類への変更で「就業制限✕,入院勧告✕,診療・入院医療機関の指定✕,医療費の公費負担✕,」となり,当然,感染伝播が増え,ワクチン接種者も減ります.すでに全面緩和に踏み切った英国では,人口の4〜6%ぐらいが感染し,常時感染者がいる状況,いわゆるエンデミック期(常在化)に入ったと言われています(下記参考資料参照).そうすると以下の事態が生じると予想されます.

1)高齢者や基礎疾患を持つ患者,一部の若年者の重症化・死亡のさらなる増加
2)再感染者の増加 → 初回感染より予後や後遺症が悪化
3)後遺症をもつ患者の増加(認知症などの後遺症はほとんど無視されている)
4)救急医療の常時逼迫 → 通常医療困難,超過死亡の増加
5)医療者のバーンアウト・離職 → さらなる医療の破綻

政府方針の通り全面緩和すれば「感染が高いレベルで持続し,国民の健康に大きな影響が及ぶ」ことを認識する必要があります.下記に説明するように,ウイルスの持続感染とワクチンの有効性を示すエビデンスがさらに蓄積されています.性急に5類に引き下げるのではなく,可能なものから徐々に緩和を進めるべきと思います.とくにマスク着用原則の廃止など急ぐ必要はないと思います.
参考資料:BuzzFeed 「緩和しても流行は終わらない」イギリスの教訓から探る、日本の選択肢(2023年1月20日)

◆二価ワクチンは接種後70日までの入院率および死亡率を顕著に低下させる.
二価ワクチンによるブースター接種が推奨されているが,入院や死亡の抑制効果に関するエビデンスが求められる.イスラエルから後方視的コホート研究が報告された.対象は65 歳以上とした(過去3ヶ月以内にワクチン接種ないし感染した人,および最初の2回のワクチンを完了していない人は除外).対象62万2701人のうち8万5314人(14%)が70日間の研究期間中に二価ワクチンの接種を受けた.COVID-19に伴う入院は接種者で6人,非接種者で297人に発生し,調整後ハザード比(HR)0.19であった(図1).COVID-19に伴う死亡は,接種者で1人,非接種者で73人に発生し,調整後HRは0.14 であった.二価ワクチンのブースター接種は,接種後70日までのCOVID-19に伴う入院率および死亡率を低下させた.→ 「変異株は弱毒化したし,ワクチンは有料だから・・・」などと油断しないほうが安全.
Lancet preprint. Jan 3, 2023 (http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4314067)



◆マウスモデルにおける脳へのウイルス血行感染はワクチン接種で抑制できる.
スペインからの研究.ヒトACE2受容体を導入したマウスを用いた感染モデルにて,ウイルスの脳内における感染と複製を時間・空間的に検討した.脳の腹側領域(前脳基底部,視床下部,扁桃体)に最初に感染し,感染4日目にウイルスの複製が検出された.嗅球は6日後に感染が確認された.有窓性血管による血液脳関門を豊富に認める視床下部において複製レベルが最も早く,高度であることから,血行性感染が主要の侵入経路と推測された.ウイルスの複製は主に神経細胞で起こり,著しい神経細胞死を誘発した.また病理学的にグリア細胞活性化,血管障害を認めた.スパイク蛋白を発現する改良型ワクシニアウイルスアンカラ・ベクター(MVA-CoV2-S)を1回または2回事前に接種すると,脳のすべての領域におけるウイルス複製とそれに伴う病理変化が抑制された(図2).MVA-CoV2-Sワクチンは脳保護のための有望と考えられた.
Nat Neurosci. 2023 Jan 9.(doi.org/10.1038/s41593-022-01242-y)



◆上気道からSARS-CoV-2ウイルスのクリアランスが遅い場合にbrain fogが生じる.
米国ジョン・ホプキンス大学からのプレプリント論文.入院していない軽症73名を検討した.COVID-19急性症状発症から90日以上経過した時点でのbrain fogおよび筋痛は,年齢,性別,肥満,およびワクチン接種状況を調整すると,COVID-19急性期症状発症から28日以内のウイルスRNAクリアランスと負の相関を示した(brain fog:絶対リスク減少率0.46,筋痛0.28)(図3).以上より,COVID-19急性発症から90日以上経過した時点で,少なくとも2つのling COVID症状が,上気道からSARS-CoV-2ウイルスRNAのクリアランスまでの時間と関連していることが示された.
medRxiv. Jan 19, 2023.(doi.org/10.1101/2023.01.18.23284742)



◆PCR陰性になってもウイルスはかなり長期に肺の特定の細胞で持続感染している.
イタリアから,鼻咽頭ぬぐい液や肺胞洗浄液で連続11〜300日(平均105.5日)PCR陰性ながら病状が進行した連続27症例の剖検を解析した(3例は9カ月以上,PCR陰性).23/27例(81%)で間質性肺炎が認められ,13例(47%)で広範な線維化を認めた.ウイルス学的寛解が見られたものの,肺病理はCOVID-19急性期患者に見られたものと同様であった.スパイクおよびヌクレオキャプシド蛋白の検索では,気管支軟骨細胞および気管支腺上皮細胞への感染が高頻度(70%)に認められた.また,少数の患者(19%)では,血管周皮細胞や内皮細胞でも陽性であった.組織溶解液の定量的RT-PCRにより,ウイルスRNAの存在が確認された.以上より,SARS-CoV-2感染は標準的なPCR陰性検査で示唆されるよりもかなり長く持続し,肺の特定の細胞に感染している可能性が示唆された.
J Pathol. Jan 18, 2023(doi.org/10.1002/path.6035)

◆軽症感染後の後遺症のうち1年以内に消失するものとしないものがある.
軽症患者における1年後の後遺症(long COVID)を後方視的に検討した研究がイスラエルから報告された.2020年3月から2021年10月の間にPCR検査を行った191万3234人を対象とした.リスクは感染後初期(30~180日)および後期(180~360日)で検討した.X持続した:嗅覚障害・味覚障害(ハザード比 早期4.59,後期2.96),認知障害(1.85,1.69),呼吸困難(1.79,1.30),筋力低下(1.78,1.30),動悸(1.49,1.16)(図4) .男性と女性の差はごくわずかであった.小児では,早期に少数の後遺症のリスクが上昇したが,後期にはベースラインに戻っていた.以上の所見はウイルス株が変わっても一貫していた.ワクチン接種を受けていた感染者は,呼吸困難のリスクが低下したが,他の後遺症は同程度であった.以上より,軽症感染後に認める後遺症のうち脱毛,胸痛,咳,筋痛,呼吸器障害は1年以内に消失する一方,嗅覚障害・味覚障害や認知障害は持続することが示された.
BMJ 2023;380:e072529(Jan 11, 2023)



◆long COVIDの6つの病態機序と小児long COVIDの特徴
精力的な研究とSNSでの発信を続けている米国スクリプス研究所のEric J Topol教授らによる総説が発表された.
【病態機序】
病態は以下のものが考えられ,重複して発症をもたらす可能性がある.①組織内にSARS-CoV-2ウイルスが残存すること(持続感染),②EBウイルスやHHV-6ウイルスなどの再活性化を伴うまたは伴わない免疫調節異常,③腸内細菌叢への影響,④自己免疫,分子模倣による免疫系のプライミング,⑤内皮機能障害を伴う微小血管血栓,⑥脳幹および/または迷走神経における機能障害シグナル(図5).



【小児のlong COVID】
あらゆる年齢の小児に影響を与える.15-19 歳のlong COVID患者では,疲労,頭痛,めまい,呼吸困難,胸痛,味覚障害,食欲減退,集中力低下,精神疲労,身体疲労,睡眠障害が,同年齢と比べて 2~36 倍も高い.成人と同様に,子供も疲労,認知機能障害を呈する.まれではあるが,肺塞栓症,心筋炎・心筋症,静脈血栓塞栓症,腎不全,1 型糖尿病のリスクが増加する.COVID-19に感染していた女性から生まれた乳幼児は,出産後 1 年以内に神経発達遅延の診断を受ける可能性が高い.中等度から重度のlong COVID青年は,筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と一致した特徴を持つ.long COVIDを経験した小児では,成人と同様の脳の代謝低下が認められる.感染した小児は,数週間後にセロコンバージョンするにもかかわらず,PCR陽性になる確率が成人よりかなり低く,最大で90%の症例が見逃されている.
Nat Rev Microbiol. 2023 Jan 13:1–14.(doi.org/10.1038/s41579-022-00846-2)

◆COVID-19認知症の機序として海馬歯状回の神経細胞の新生・成熟障害が示唆される.
COVID-19に伴う認知症の機序を検討した米国ワシントン大学からの報告.SARS-CoV-2ウイルス感染ハムスターでは,血液脳関門の透過性が亢進するにもかかわらず,ウイルスの脳内侵入を認めなかった.感染ハムスター,およびCOVID-19で死亡したヒト患者は,コントロールと比較して,特に海馬と延髄でミクログリアの活性化とIL-1βとIL-6の発現を認めた.ハムスターとヒトの両方の海馬歯状回では,神経芽細胞と未熟な神経細胞が減少していた.以上より,COVID-19に伴う神経・精神症状は持続的な炎症,血液脳関門の破綻,ミクログリアの活性化が原因となり,神経伝達の変化,神経新生や神経細胞の障害がもたらされるものと考えられた.とくに認知症は海馬の障害により説明できる可能性がある.
Brain. 2022 Dec 19;145(12):4193-4201.(doi.org/10.1093/brain/awac270)

◆COVID-19頭痛の3タイプとその病態・意義
Headache誌による過去2年間の研究の総括.まず感染の治癒後に出現し持続する頭痛として "post-COVID headache"が存在することが明らかになった.治療が難しく,新たな課題となっている.この頭痛には3つのタイプが存在する:①もともと片頭痛歴があり,感染後に突然頭痛が悪化・持続するタイプ,②感染急性期から今までになかった頭痛が出現するタイプ,③急性期後に遅延症状として今までになかった頭痛が出現する.①に関しては,片頭痛患者におけるSARS-CoV-2ウイルス感染は慢性化の要因と推測される.②③は主に片頭痛を潜在的に持つ人々に,感染が頭痛を誘発できる可能性を示唆する.機序に関して,ウイルスが三叉神経血管系に影響を及ぼし,持続する頭痛を引き起こす可能性がある.また頭痛はCOVID-19では生存を高めるための宿主の反応である可能性が指摘されている.これは48の研究(4万3169人の患者を含む)のメタ解析が根拠となっている.つまり頭痛のあるCOVID-19患者の生存率は,頭痛のない患者に比べて有意に高かったのだ.この驚くべき結果は,頭痛の背後に生態の保護機構が存在する可能性を示唆する.
Headache. Jan 12, 2023(doi.org/10.1111/head.14464)



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共同通信社 視標「アルツハイマー薬承認」

2023年01月18日 | 認知症
共同通信社からご依頼をいただき,早期アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」についての意見を「指標」欄に執筆させていただきました.この画期的薬剤の使用上の注意点,安全性,そして医療経済上の問題点について解説しました.加入保険による制限がある米国と異なり,日本で承認されれば通常の保険診療で多くの人が使えるようになりますが,年間約350万円の価格ですので,どのような人に使用すべきかという議論が生じます.治療効果に応じて薬の価格が変動する「償還払い方式を導入すべき」という意見を述べました.信濃毎日新聞や新潟日報など多くの地方新聞に掲載いただきましたが,静岡新聞は全文を公開してくださっています.ご一読いただければ幸いです.




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機能性神経障害の診療に必要なdouble vision(複視) 

2023年01月17日 | 運動異常症
Brain誌のEssay Competition 2022を受賞したエッセイ「double vision」を読みました.ドイツの脳神経内科医が書いたものです.救急室に搬送された20代前半の女性がベッドの上で激しく痙攣している場面から始まります.実習中の医学生は,その姿にエクソシストの悪魔祓いの儀式を連想します.医療者のひとりがおもむろに彼女の手を取り,彼女の頭上高く持ち上げ,顔をめがけてそのまま落下させました.その手は彼女の顔を避けて落下しました.緊迫した場面は,彼女ひとりを除いて突然終了しました.真のてんかん発作ではないと判断されたわけです.痙攣しつづける彼女は強く眼を閉じていました.

発作中の閉眼は「心因性非てんかん発作(psychogenic non-epileptic seizures; PNES)」の特徴的所見です.てんかん発作とよく似るものの,心理的な要因により生じます.救急搬送された痙攣患者の約10%とも言われています.この疾患のメカニズムは十分に解明されていません.しかしPNESには特徴があって,上述の発作中の閉眼のほか,頻回の発作,長い発作時間,強直相→間代相といったパターンがなく動揺すること,骨盤を突き上げるような動きが見られることなどが教科書に記載されています.

著者はPNESのような機能性神経疾患を診療するときに,医師は病気を理解すると同時に,病気をかかえた人を診るという,2つの視点,すなわち複視を習得する必要があると言っています.つまり「発作中に閉眼している患者はPNESである」というだけではなく,ぎゅっと目をつぶることが,普遍的な苦悩の表現であるという直感的な理解が必要だと強調しています.診断の感度を上げることを優先して,人としての感性を鈍らせてはいけないということです.患者に対する共感的なアプローチにもとづいて医師が発する言葉や態度は患者の癒やしになります.「手は患者に差し伸べるためにあり,患者の頭上に落とすためにあるのではない」と最後に述べていてハッとさせられます.素晴らしいエッセイですので,ぜひ原文をお読みいただければと思います.

ちなみに下図の素敵なイラストが挿絵になっていました.画像生成AIを用いて,エゴン・シーレ風に著者が作成したものだそうです.エゴン・シーレ(1890-1918)は28歳で夭折したオーストリアの画家です.ジストニアを思わせる捻れたモデルの絵が多くあります.サルペトリエール病院からのヒステリーなどの患者にも影響を受けたそうで(Brain Nerve 73;1341-5, 2021),そのために挿絵に選ばれたのかなと思いました.

Popkirov S. Brain 146;2–3:2023
東京都美術館 エゴン・シーレ展




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今日の治療指針 2023年度版 -神経・筋疾患 最近の動向-

2023年01月16日 | 医学と医療
1959年から刊行されている「今日の治療指針」の「神経・筋領域」の責任編集をさせていただきました.ご執筆を賜りました85人の先生方に感謝申し上げます.編集のためエキスパートの先生方の治療方針・処方箋を精読させていただきましたが,非常に勉強になりました.太鼓判の内容ですので,ぜひ日頃の臨床にお役立ていただければと存じます.

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私は冒頭の「-神経・筋疾患 最近の動向-」を執筆しました.この1年の治療,臨床試験,ガイドラインのトピックスを紹介するものです.以下,項目を列挙します.ご一読いただければと思います.
A. 治療
1. 片頭痛
CGRP関連抗体
セロトニン(5-HT)1F受容体作動薬:ラスミジタンコハク酸塩(レイボー)
2. 多発性硬化症
S1P受容体調節薬:シポニモドフマル酸(メーゼント)
ヒト型抗CD20モノクローナル抗体:シオファツムマブ(ケシンプタ)
3. 視神経脊髄炎関連疾患
CD19モノクローナル製剤:シイネビリズマブ(ユプリズナ)
4. パーキンソン病
COMT阻害薬:シオピカポン(オンジェンティス)
5. 重症筋無力症
抗胎児性Fc受容体(FcRn)フラグメント製剤:シエフガルチギモド アルファ(ウィフガート)
6. クロウ・深瀬(POEMS)症候群
血管内皮増殖因子の過剰産生および形質細胞増殖の抑制:シリドマイド(サレド)

B. 注目の臨床試験
1. 筋萎縮性側索硬化症
フェニル酪酸ナトリウムとタウルスジオール(N Engl J Med. 383:919-930, 2020)
超高用量メチルコバラミン(JAMA Neurol. 79:575-583, 2022)
2. 進行性核上性麻痺
抗タウ抗体(チラボネマブ,ゴスラネマブ)による第2相無作為化比較試験の失敗(Lancet Neurol. 20:182-192, 2021)

C. ガイドライン
脳卒中治療ガイドライン2021,頭痛の診療ガイドライン2021,重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022

D. キーワード2023 
VMAT2阻害薬バルベナジン(ジスバル)





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新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月7日)  

2023年01月07日 | COVID-19
今回のキーワードは,COVID-19軽症感染でも脳血管周囲に明らかな病理変化が生じている!最多の神経合併症は認知機能障害であった,パクスロビド®はlong COVIDのリスクを低減する,長期の嗅覚障害の機序は支持細胞の長期の炎症による,オミクロン変異株は中和抗体に加え,T細胞も回避して感染拡大を引き起こす,小児では持続的適応免疫が扁桃/アデノイドで生じ,long COVIDに関与する可能性がある,小児の多系統炎症症候群の原因遺伝子が複数同定された,です.

1番の衝撃は数日間の発熱,咳嗽を呈しただけの患者であっても脳の微小血管障害が生じるというNeurology誌の症例報告です.前回ご紹介したNature論文で,呼吸器系にとどまらず,多くの臓器に感染が早期から広がり,脳にも到達し,独自に増殖しうることが示されていますが矛盾しない報告です.炎症が生じやすいのは臓器では呼吸器,年齢では成人であって,それ以外の臓器や小児では炎症を伴いにくいため症状が出にくいと推測されます.症状がなくてもウイルスは持続感染,潜伏感染しうるわけで,すでに米国ではリザーバー(潜伏臓器)探しが進められています.今回の報告の中では小児における扁桃およびアデノイドにおける持続感染が注目されます.またlong COVIDに対し抗ウイルス薬パクスロビド®が有効であることが示されましたので,持続感染が長期的な症状をもたらす可能性はさらに高まったと言えます.免疫回避現象の機序など驚愕しますが,どんどん巧妙に進化し感染を広げるウイルスに,人間はきちんと対抗できているでしょうか?改めて感染防御とワクチンブースター接種を励行し,自身と高齢者を守る必要があります.

◆COVID-19軽症感染でも脳血管周囲に明らかな病理変化が生じている!
11年におよぶ難治性てんかんを有する27歳米国人女性が,外科治療目的に入院.入院中に感染したが,数日間の発熱,咳嗽を呈した後に治癒.脳炎を含む神経合併症なし.発症から17日後に焦点である左前側頭葉の切除を施行した.血管周囲に細胞接着因子PECAM-1発現の増加を認め血管内皮細胞の活性化が示唆され,さらに対照と比較して,血管周囲のフィブリノゲン漏出およびマクロファージ,CD8リンパ球を含む免疫細胞の浸潤,グリア細胞活性化を認めた(図1).ウイルス抗原は免疫染色では検出できなかったが,超遠心法により脳生検組織から細胞外小胞を分離したところ,ウイルスヌクレオカプシド蛋白の存在を確認した.N蛋白やウイルスRNAを認めなかったことより,末梢由来と考えられた.以上より,軽症の感染でも多くの患者に微小血管障害が一過性に生じている可能性がある.著者はこのような所見の長期持続がlong COVIDを来している可能性もあると議論している.
Neurology. 2022 Dec 16:10.1212/WNL.0000000000201682.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000201682)



◆最多の神経合併症は認知症であった
欧州23カ国とその他7カ国の国際研究において,急性期~亜急性期の神経学的合併症を評価した研究が報告された.2021年7月までに,神経合併症を呈した1213人が検討された.主なものは,認知症(29.5%)が最も多く,ついで脳卒中(25.7%),睡眠覚醒障害(16.4%),自律神経障害(14.7%),末梢神経障害(9.5%),運動異常症(N=142,9.3%),運動失調(8.8%),けいれん発作(8.3%)であった.認知機能障害を合併した患者は非合併患者より10歳高齢で,脳卒中やパーキンソン病を基礎疾患に持つ人,重篤な感染の人が多く,生命・機能予後が不良で,入院中死亡も多かった.→ 既報では認知症は急性期~亜急性期の神経合併症として認識されていなかったが,追加すると最多であった.
Eur J Neurol. Oct 31, 2022(doi.org/10.1111/ene.15617)

◆パクスロビド®はlong COVIDのリスクを低減する
米国からの注目される未査読論文.急性期における抗ウイルス薬ニルマトルビル(パクスロビド®)が後遺症のリスクを低減させるか検証することを目的とした.米国退役軍人省のデータベースを用いて,2022年3月から6月の間にPCR陽性の当日に入院しておらず,重症化のリスク因子が少なくとも1つあり,診断後30日間生存した患者を特定した.陽性反応後5日以内にニルマトルビルの経口投与を受けた9217人と,対照群4万7123人を同定し,90日後の評価を行った(注:こういう研究が日本ではできない).対照群と比較して,ニルマトルビルによる治療は後遺症をきたす確率が26%少なかった(ハザード比0.74, 絶対リスク減少率ARR 2.32)(図2).また心血管系,凝固・血液系障害,疲労,肝疾患,急性腎疾患,筋痛,認知障害,息切れにおける12の後遺症のうち10のリスクを減少させた.急性期以降の死亡を48%(HR 0.52, ARR 0.28),急性期以降の入院を30%(HR 0.70, ARR)減少した.ワクチン接種の有無,ブースター接種,初感染,再感染にかかわらず後遺症リスクを低減した.糖尿病発症リスクは減少しなかった.以上より重症化の危険因子を少なくとも1つ持つ感染者において,検査陽性5日以内のニルマトルビル治療は,ワクチン接種状況や過去の感染歴にかかわらず後遺症のリスクを低減できる.
medRxiv November 05, 2022. (doi.org/10.1101/2022.11.03.22281783)



◆長期の嗅覚障害の機序は支持細胞の長期の炎症による
米国から長期(数ヶ月から数年)の嗅覚障害の機序について検討した研究が報告された.長期の嗅覚消失を示す9人の患者を含む24の生検嗅上皮サンプルを解析した.IFN-γを発現するT細胞のびまん性浸潤と,CD207+樹状細胞(ランゲルハンス細胞)の濃縮,そして抗炎症に作用するM2マクロファージの枯渇を含む骨髄系細胞集団のシフトが認められた.SARS-CoV-2 ウイルスRNAやタンパク質が検出されなかったが,嗅上皮の支持細胞における遺伝子発現は進行中の炎症に対する反応を示唆し,嗅覚神経細胞の数の減少に関わるものと考えられた.以上より,SARS-CoV-2ウイルスが嗅上皮から排除された後も,T細胞を介した炎症が長期間持続することが長期の嗅覚障害のメカニズムと考えられた.→ ヒト剖検にて,嗅覚障害重症例で嗅神経の軸索減少が報告されているが,近傍の支持細胞の持続炎症が原因ということになる.
Sci Transl Med. 2022 Dec 21;14(676):eadd0484.(doi.org/10.1126/scitranslmed.add0484)

◆オミクロン変異株は中和抗体に加え,T細胞も回避して感染拡大を引き起こす
オミクロン変異株(VOC)によるブレイクスルー感染や再感染の機序として,免疫逃避能の獲得がしばしば議論されている.その機序として,スパイクタンパク質への中和抗体に対する抵抗性を有することが知られているが,VOCがCD8+T細胞を介した免疫を回避するかは不明である.プレプリント論文で,イェール大学から,VOCが主要組織適合性複合体クラスI(MHC-I)の発現を抑制する能力を有していることが明らかにされた(図3).ちなみにすべての有核細胞は,図3左のようにMHC-Iを持つ.細胞は感染したウイルスタンパクをペプチドに分解し,MHC Iとともに抗原提示するが,VOCはMHC-Iを抑制してしまうのでT細胞からの攻撃を免れてしまう.また著者らはMHC-Iの発現抑制に関わるウイルス遺伝子を複数同定した.オリジナル株や初期の変異株もMHC-I発現抑制能力を有していたが,オミクロン変異株はより強力であった.
bioRxiv. Dec 23, 2022.(doi.org/10.1101/2022.05.04.490614)



◆小児では持続的適応免疫が扁桃/アデノイドで生じ,long COVIDに関与する可能性がある
SARS-CoV-2ウイルス感染に対する適応(獲得)免疫に関する研究の多くは末梢血に着目しており,感染部位の免疫反応を評価できていない.米国からの研究で,パンデミック後に扁桃摘出術およびアデノイド切除術を受けた小児110人の検体を収集し,血清中の中和抗体,扁桃およびアデノイドのSARS-CoV-2特異的胚中心細胞およびメモリーB細胞を検討し,既感染が示唆された24検体を同定した.単一細胞におけるB細胞受容体(BCR)配列決定を行ったところ,ウイルス特異的BCRにクラススイッチされ,体細胞的に超変異(抗体の多様性をつくり出すために免疫グロブリン遺伝子の可変領域に高頻度の変異が導入される現象)しており,扁桃腺,アデノイドでクローンが重複していた.感染後の扁桃腺,アデノイドおよび血液中にT細胞クローン型の拡大が認められ,一部はこれまでに報告されたSARS-CoV-2反応性T細胞受容体(TCR)と同一のCDR3配列(抗原特異性を決定する重要な部分)を有していた.COVID-19発症小児のアデノイドでIFN-γ型反応に関連した胚中心および抗ウイルスリンパ球集団の持続的な拡大が見られ,両組織でウイルスRNAが検出された.以上より,小児の上気道におけるSARS-CoV-2ウイルスに対する組織特異的な免疫が,感染後も持続的に存在することが示された(図4).著者らはこれらの現象が小児のlong COVIDや多系統炎症症候群(MIS-C)に関与する可能性を議論している.
Nat Immunol. Dec 19, 2022. (doi.org/10.1038/s41590-022-01367-z)



◆小児の多系統炎症症候群の原因遺伝子が複数同定された
小児の多系統炎症症候群(MIS-C)は,感染の2~6週間後に複数の臓器不全を来たし,重篤な状況を招くが,その原因は不明であった.フランスを中心とする国際研究で,MIS-Cを発症した5人の血縁関係のない小児においてOAS1,OAS2,RNASEL遺伝子の常染色体潜性変異を同定した(図5).このOAS1とOAS2は細胞質で二本鎖RNAを感知し,二本鎖RNAを分解するRNase Lを活性化する2-5′-結合オリゴアデニル酸(2-5A)を生成する分子である.これらのいずれかを欠損した単核球細胞や骨髄細胞は二本鎖RNAやSARS-CoV-2ウイルスの刺激で,炎症性サイトカインを過剰に産生した.OASやRNase Lの欠損はSARS-CoV-2感染を契機とするMAVS(感染RNAウイルスを検知するミトコンドリアのシステム)を介した高度の炎症性サイトカイン生成をもたらし,MIS-Cを引き起こすと考えられる.
Science. 2022 Dec 20:eabo3627.(doi.org/10.1126/science.abo3627)




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第4の髄膜SLYMの発見! ―脳神経疾患へのインパクト―

2023年01月06日 | 医学と医療
Science誌に第4の髄膜としてSLYM(Subarachnoid LYmphatic-like Membrane)が報告されており驚きました.「髄膜は硬膜,くも膜,軟膜から構成され,くも膜と軟膜の間に脳脊髄液が流れる」と教わりましたが,この論文はマウス及びヒトの脳を検討し,くも膜と軟膜の間に,非常に薄く,厚さにしてわずか1〜数個分の細胞で構成される膜が発見されました(図の緑色の部分です).



報告したのは,中枢神経系でリンパ管の役割を果たし,脳の廃棄物を脳脊髄液とともに除去する系,いわゆるglymphatic systemを発見したコペンハーゲン大学Maiken Nedergaard教授のグループです.このSLYMは肺や心臓などの臓器を取り囲み保護する「中皮」の一種と考えられました(ポドプラニン陽性です).その機能に関しては以下の3つが示唆されています.

①他の中皮と同様に,臓器を包み保護する(脳と頭蓋骨の間の摩擦を軽減する).
②クモ膜下腔を2つのスペースに分け,脳脊髄液を分離し,その流れを制御する.つまり老廃物を含む脳脊髄液と含まない脳脊髄液を分離する(分子量3 kDa以上の溶質のバリアとなる).
外部の免疫細胞の脳への侵入を防ぐ免疫バリアとして作用する.

もし②の仕組みがおかしくなると,アミロイドβやタウタンパク等が排出されず脳に蓄積し,アルツハイマー病やその他の神経変性疾患を引き起こす可能性があります.③が破綻すると,中枢神経系以外の免疫細胞が脳内に入り込み,中枢神経系感染症や神経免疫疾患等を発症する可能性があります(恐らくCOVID-19でも破綻するのだと思います).そしてもうひとつ重要なのは,薬物や遺伝子治療薬の脳への伝達がSLYMによって影響を受ける可能性があるということです.逆に言うとSLYMを標的としてdrug delivery研究が進展する可能性があります.

今後,様々なSLYMの機能や疾患における役割が明らかになり,治療開発につながるものと思います.改めて脳は未知の臓器だと思いました.若い皆さん,脳は面白いです.ぜひ脳の研究/臨床にチェレンジして頂きたいと思います.
Science. 2023 Jan 6;379(6627):84-88.(doi.org/10.1126/science.adc8810)
図は以下のHPより引用.
https://www.eurekalert.org/news-releases/975546

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医師,患者が知っておくべきレカネマブ臨床試験同意文書の改訂+ 延長試験死亡2例目の画像・病理所見

2023年01月05日 | 認知症
アルツハイマー病に対する抗体薬レカネマブの安全性について問題提起しているScience誌の続報です.下図はアルツハイマー病に合併する脳アミロイド血管症(CAA)において,アミロイドβの沈着(赤)が血管平滑筋(緑)に置き換わる様子を示しています.このような状態でレカネマブと血栓予防薬を同時に使用すると脳出血をきたすリスクがあります.



今回は7月14日時点のバージョンの説明同意文書の血栓予防薬に関する記載が,当初のバージョンと大きく変更されていたことが報道されています.当初「これらの薬剤を継続してもよいが,血栓予防薬とレカネマブはどちらも脳出血のわずかなリスクと関連しているので,あなたと治験責任医師は出血のリスクについて話し合うべき」と書かれていたものが,以下のように改訂されていました.

「同剤治療中の脳出血(major brain bleed)の発生は稀ではあるものの,血栓予防薬との併用ではより生じやすくなる.その発生率は100人に1人を超えるものの5人を超えない」
「脳出血は,血栓予防薬との併用時には特に重篤な状態になり,最悪の場合は死ぬ恐れがある.担当医と脳出血の生じやすさを検討して試験に留まるかどうかを決める必要がある」

まず医師,患者は上記の安全情報を理解する必要があります.また延長試験参加者のうち3名の死亡がすでに報道されていますが,9月に亡くなった2名は改訂前のバージョンで同意取得されていたようです.そのうち1例は同意文書にtPA使用に関する直接的な警告がなかったため,脳梗塞後に投与され大出血をきたし死亡しています.Science誌は「エーザイ社は,同意文書改訂の時期や理由,延長試験参加者のうち何人が改訂版にある最新の警告の説明を受けたうえで,同意の署名したかに関する,Science誌の質問に回答していない」と述べています.識者の意見として「死亡例の詳細について開示しないことに苛立ちが募る」「すべての潜在的なリスクについて可能な限りオープンで透明である方がよい」「現時点ではレカネマブと血栓予防薬(抗凝固剤,抗血小板剤,tPA)の併用に関して最高レベルの警告が適切である」というコメントを紹介しています.

また本剤を巡る問題点として,「レカネマブ治療を受ける可能性のある患者をCAAと診断することは,主要医療機関から遠く離れた地域の医師にとって困難であること」「65歳以下,女性,APOE4(アルツハイマー病の発症リスクを高める遺伝子)を2つ有する人という3つの重要なサブグループには,統計的に有意な効果は見られないこと」「APOE4について確実に把握するために遺伝子検査を行う必要があること」も紹介しています.

レカネマブはFDAで承認を受ける可能性が高いと考えられているようですが,多くの問題があるように思います.エーザイ社は上述の懸念に対し誠実に回答すべきですし,医師もこれらの問題について認識した上で,患者との議論を行う必要があります.
Revised clinical trial form for Alzheimer’s antibody warned of fatal brain bleeds. Science News. Dec 20, 2011(doi: 10.1126/science.adg4937)

★ ちょうど本日のNEJM誌に2例目の死亡例のMRI画像と剖検所見が報告されていました.下記の写真を追加しました.頭部MRIはいままでに見たことがない所見です.D-Eは病理学的にCAAであることを示しています.
N Engl J Med. 2023 Jan 4. doi.org/10.1056/NEJMc2215148.



AはSWI画像による出血の評価.BはFLAIR画像で浮腫・出血と右thalamocapsular regionの急性期梗塞巣.Cはマクロ,DはHE染色,Eはアミロイドβ抗体による免疫染色.

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