標題の学会が7月25日から27日にかけて行われました.メインイベントは,学会員が経験した貴重な患者さんのビデオを持ち寄り,その不随意運動や診断・治療について議論するイブニング・ビデオセッションです.今年の15症例の一覧を記載します.
症例1.口蓋振戦の治療例
原因が不明で,内服治療が無効な両側口蓋振戦(ミオクローヌス)の複数例の報告.口蓋振戦はクリック音を来たし,患者はその音に苦痛を感じる.首の傾ける向きにより出現したり消失したりする.自然に治ることもある.心因の影響もありうる.治療をどうすべきか?
(回答)口蓋帆挙筋,口蓋帆張筋に対するボツリヌス注射が有効である.しかし嚥下障害のリスクがあるため,少量から開始し,頻度も最低限にする.
症例2.パーキンソン病に対する深部刺激療法刺激装置入れ替え後に改善した開眼失行
49歳に振戦にて発症したパーキンソン病女性.60歳で視床下核部刺激療法(STN-DBS)を行った.63歳時,パルスジェネレーターの電池切れで電池交換を行ったところ,開眼失行が出現したが,刺激をオフにすると改善した.開眼失行が生じた原因は?
(回答)刺激を低電圧から低電流に変えたこと,電極の位置が変わった可能性,刺激強度が強すぎた可能性,パルス幅が影響した可能性が指摘された.ただし本当に開眼失行なのか,局所性ジストニアや眼瞼痙攣ではないかという指摘もあった.
症例3.顕著な左右差のある小脳性運動失調症を呈した一例
岐阜大学からの症例.亜急性の経過で,顕著な左右差を認める四肢・体幹の小脳性運動失調を呈した51歳女性.既知の自己抗体はすべて陰性であった.
(診断)ラット脳スライスで小脳分子層を認識する抗体の存在を確認し,cell-based assayで抗原を同定した.代謝型グルタミン酸受容体に対する自己抗体(抗mGluR1抗体)であった(写真).自己免疫性小脳失調症と診断し,免疫療法にて改善を認めた.
症例4.両足MMF症候群と歩行障害を呈した一例
55歳で振戦と右手の使いにくさが出現し,パーキンソン病と診断された女性.58歳で歩行障害と転倒,さらに複視が出現した.61歳ときに入院.wall-eyed bilateral internuclear ophthalmoplaegia (WEBINO症候群;交代性外斜視をともなう両側性の核間性外眼筋麻痺,橋被蓋部や中脳の病変で生じる)を認めた.カンプトコルミアも認められた.
(診断)進行性核上性麻痺(PSP).PSPにWEBINO症候群を合併した症例報告は3例あるとのこと.
症例5.ジストニアやミオクローヌスなどの片側の不随意運動を認めた89歳女性例
急性発症し,4日間の経過でさまざまな左手の不随意運動が増悪した89歳女性.ジストニア,ミオクローヌス,そしてヘミバリズムを呈した.既往歴に糖尿病を認め,このとき血糖値593 mg/dL,HbA1c 12.9%であった.T1強調画像で高信号病変なし.
(診断)高血糖性ヘミバリズム
症例6.小児期に発症し,歩行障害・書字障害が緩徐に進行した18歳女性
4歳から走ると転倒.以後,歩行障害と書字困難(ミオクローヌスに伴う)が増悪した.15歳で病院受診,症候的にはジストニアとミオクローヌス.日内変動なし.DATスキャンは正常.家族歴もなし.
(診断)DYT11.常染色体優性遺伝.SGCE(イプシロンサルコグリカン)遺伝子変異.臨床症状はミオクローヌスとジストニアが主要症状.軽症では本態性ミオクローヌスとなる.ミオクローヌスが主症状で動作を阻害する.上肢と体幹筋に多く,大半はアルコールで改善する.治療ではレボドパは無効,クロナゼパム,バルプロ酸はやや有効,アルコールは著効.
症例7.突然あるけなる男児と,激しく首を振る女児~同じ遺伝子の変異による異なる病型~
2症例の報告.1例目は6歳男児で,一過性に出現する小脳性運動失調で小脳萎縮あり.2例目は2歳女児で,乳児早期から追視時の激しい首振り=頭部の衝動性回転(head thrust)を認めた.head thrustは眼球運動失行を補正するため代償性に認められる.
(診断)両者ともCACNA1A遺伝子変異.1例目はEpisodic ataxia 2(EA2).2例目は眼球運動失行+先天性失調症で,既報に当てはまらない表現型.他には家族生片麻痺生片頭痛(FHM1)やSCA6を呈しうる.
症例8.下唇のやや律動的な偏位の一例
左右に規則的に下唇が偏位する63歳女性.口を開けると増強し,会話で消失する.首を触ると軽減する.会話は可能.Distractionの手技で消失し,Entrainmentの手技で追視させると,目の動きに合わせて同じ方向に下唇が動く.
(診断)機能性下唇ジストニア
症例9.急速に認知機能が低下したパーキンソニズムの一例
41歳時に右手の振戦にて発症した46歳男性.42歳で歩行障害,転倒.45歳で睡眠障害とpundingが出現.家族歴あり.症候的には右ジスキネジアと姿勢保持障害も認める.
(診断)FTDP-17(MAPT遺伝子変異).これは1996年に遺伝性家族性前頭側頭型認知症・パーキンソニズムにつけられた名称で,原因遺伝子座が第17 番染色体に連鎖するため名称に17がついた.しかし,この名称は歴史的な役割が終えたものと考えられている.詳しくは下記ブログを参照.R.I.P.(安らかに眠れ),FTDP-17
症例10.緩徐進行性のChoreoathetosisに対しGPi-DBSが奏効した17歳女性例
3歳から左上肢のジストニア+ジスキネジア.以後,L-DOPAなど様々な薬物療法が行われたが効果なし.16歳で両側上肢にChoreoathetosisが出現,17歳でジスキネジアの増悪.左下肢ジストニアに伴う関節拘縮.頭部MRIは異常なし.SPECTでは基底核と小脳の血流低下.テトラベナジンが有効.
(診断)GNAO1変異.GNAO1 は3量体Gタンパク質のαサブユニット (Gαo )をコードし,細胞内シグナル伝達に関与する.小児の難治性てんかんの原因遺伝子として同定された.第11回大会でも同遺伝子変異例が出題されている.
★重度の知的障害及び運動発達遅滞を伴う難治性てんかんの16歳女性と14歳男性
1例目は生後56日で難治性てんかんを発症,1歳4ヶ月で全身性不随意運動(激しいバリスム様).14歳右淡蒼球凝固術.重症の精神運動発達遅延を呈する.2例目(1例とは無関係)は,乳児期より精神運動発達遅延と筋トーヌス低下(坐位を保てず,立位はできても体幹が前屈する).7歳上肢の肢位異常,9歳で嚥下障害.てんかんなし.いずれの症例も頭部MRIでは異常なし.両者は表現型は異なるが,同じ疾患であることがエクソーム解析の結果判明している.
症例11.両下肢の震えを主訴に来院した男性
仕事中,起立時に両下肢の震えが出現した59歳男性.前屈位,後屈位で増強する.頭部MRI,DATスキャンともに正常.MIBG心筋シンチ正常.表面筋電図では7Hzの大きな筋放電の繰り返しと13~14Hzの小さな繰り返しがある.安静で消失.
(診断)Primary orthostatic tremor.Primaryは現時点では基礎疾患がないという意味で用いられている.介護職で立ち仕事で,これが動作特異性(task-specofic)に誘因になったかもしれないという議論があった.
症例12.外傷後に右下肢の不随意運動をきたした35歳女性
35歳のエアロビクスのインストラクターが,右足外傷後に,同部位の多彩なパターンを示す不随意運動(ジスキネジア)を呈した.リラックスすると振幅は増大し,足首を背屈させると軽減する.Distractionなし.
(診断)機能性不随意運動ないしperipherally induced movement disorder.後者は脳神経や末梢神経,神経節への外傷を契機に出現する不随意運動.文献を参照.
症例13.腹部に不随意運動を生じた低カルシウム血症の一例
82歳男性で,多発性骨髄種に対しdenosumabによる治療が行われた.副作用である低カルシウム血症が生じたが,同時期より腹部に非律動的なミオクローヌスが出現した.FAB 9点と前頭葉機能低下があり,頭部MRIで白質変化が認められた.
(診断)Eplepsia partialis continua (EPC),皮質性ミオクローヌス.
症例14.亜急性にパーキンソニズムとPisa症状をきたした66歳女性
右優位の運動緩慢と小歩症,姿勢保持障害に加え,MCIを呈した.DATスキャン取り込み低下なし. SPECTで左側頭葉から頭頂葉にかけての血流低下.頭部MRIでは左側頭葉におけるT2*で多発microbleedsを認める.
(診断)脳アミロイドアンギオパチー関連白質脳症(CAA-related inflammation;CAAri).ステロイドパルス療法で,運動緩慢と歩行障害が改善した.CAAriでパーキンソニズムをきたした報告は過去に2症例あり.皮質病変でパーキンソニズムをできたしたという報告もある.
症例15.四肢,顔面の不随意運動と中枢性肺胞低換気を呈する家族性運動失調性の一例
41歳で網膜色素変性症の既往.姉も類症.歩行障害,開鼻声(声が鼻に抜ける)が緩徐に進行.四肢・体幹の失調,錐体路徴候,抑うつ,感音性難聴,低身長,中枢性睡眠時無呼吸(AHI 78.4/h),夜間に増悪する肺胞低換気を認めた.
(診断)ATAD3A遺伝子変異の疑い.ATPase family, AAA domain-containing, member 3A (ATAD3A).この遺伝子はミトコンドリア膜タンパクをコードしている.遺伝形式は常染色体優性.既報ではHAREL-YOON症候群(精神運動発達遅滞,知的障害,発語障害,摂取障害,睡眠障害等)が報告されている.
症例1.口蓋振戦の治療例
原因が不明で,内服治療が無効な両側口蓋振戦(ミオクローヌス)の複数例の報告.口蓋振戦はクリック音を来たし,患者はその音に苦痛を感じる.首の傾ける向きにより出現したり消失したりする.自然に治ることもある.心因の影響もありうる.治療をどうすべきか?
(回答)口蓋帆挙筋,口蓋帆張筋に対するボツリヌス注射が有効である.しかし嚥下障害のリスクがあるため,少量から開始し,頻度も最低限にする.
症例2.パーキンソン病に対する深部刺激療法刺激装置入れ替え後に改善した開眼失行
49歳に振戦にて発症したパーキンソン病女性.60歳で視床下核部刺激療法(STN-DBS)を行った.63歳時,パルスジェネレーターの電池切れで電池交換を行ったところ,開眼失行が出現したが,刺激をオフにすると改善した.開眼失行が生じた原因は?
(回答)刺激を低電圧から低電流に変えたこと,電極の位置が変わった可能性,刺激強度が強すぎた可能性,パルス幅が影響した可能性が指摘された.ただし本当に開眼失行なのか,局所性ジストニアや眼瞼痙攣ではないかという指摘もあった.
症例3.顕著な左右差のある小脳性運動失調症を呈した一例
岐阜大学からの症例.亜急性の経過で,顕著な左右差を認める四肢・体幹の小脳性運動失調を呈した51歳女性.既知の自己抗体はすべて陰性であった.
(診断)ラット脳スライスで小脳分子層を認識する抗体の存在を確認し,cell-based assayで抗原を同定した.代謝型グルタミン酸受容体に対する自己抗体(抗mGluR1抗体)であった(写真).自己免疫性小脳失調症と診断し,免疫療法にて改善を認めた.
症例4.両足MMF症候群と歩行障害を呈した一例
55歳で振戦と右手の使いにくさが出現し,パーキンソン病と診断された女性.58歳で歩行障害と転倒,さらに複視が出現した.61歳ときに入院.wall-eyed bilateral internuclear ophthalmoplaegia (WEBINO症候群;交代性外斜視をともなう両側性の核間性外眼筋麻痺,橋被蓋部や中脳の病変で生じる)を認めた.カンプトコルミアも認められた.
(診断)進行性核上性麻痺(PSP).PSPにWEBINO症候群を合併した症例報告は3例あるとのこと.
症例5.ジストニアやミオクローヌスなどの片側の不随意運動を認めた89歳女性例
急性発症し,4日間の経過でさまざまな左手の不随意運動が増悪した89歳女性.ジストニア,ミオクローヌス,そしてヘミバリズムを呈した.既往歴に糖尿病を認め,このとき血糖値593 mg/dL,HbA1c 12.9%であった.T1強調画像で高信号病変なし.
(診断)高血糖性ヘミバリズム
症例6.小児期に発症し,歩行障害・書字障害が緩徐に進行した18歳女性
4歳から走ると転倒.以後,歩行障害と書字困難(ミオクローヌスに伴う)が増悪した.15歳で病院受診,症候的にはジストニアとミオクローヌス.日内変動なし.DATスキャンは正常.家族歴もなし.
(診断)DYT11.常染色体優性遺伝.SGCE(イプシロンサルコグリカン)遺伝子変異.臨床症状はミオクローヌスとジストニアが主要症状.軽症では本態性ミオクローヌスとなる.ミオクローヌスが主症状で動作を阻害する.上肢と体幹筋に多く,大半はアルコールで改善する.治療ではレボドパは無効,クロナゼパム,バルプロ酸はやや有効,アルコールは著効.
症例7.突然あるけなる男児と,激しく首を振る女児~同じ遺伝子の変異による異なる病型~
2症例の報告.1例目は6歳男児で,一過性に出現する小脳性運動失調で小脳萎縮あり.2例目は2歳女児で,乳児早期から追視時の激しい首振り=頭部の衝動性回転(head thrust)を認めた.head thrustは眼球運動失行を補正するため代償性に認められる.
(診断)両者ともCACNA1A遺伝子変異.1例目はEpisodic ataxia 2(EA2).2例目は眼球運動失行+先天性失調症で,既報に当てはまらない表現型.他には家族生片麻痺生片頭痛(FHM1)やSCA6を呈しうる.
症例8.下唇のやや律動的な偏位の一例
左右に規則的に下唇が偏位する63歳女性.口を開けると増強し,会話で消失する.首を触ると軽減する.会話は可能.Distractionの手技で消失し,Entrainmentの手技で追視させると,目の動きに合わせて同じ方向に下唇が動く.
(診断)機能性下唇ジストニア
症例9.急速に認知機能が低下したパーキンソニズムの一例
41歳時に右手の振戦にて発症した46歳男性.42歳で歩行障害,転倒.45歳で睡眠障害とpundingが出現.家族歴あり.症候的には右ジスキネジアと姿勢保持障害も認める.
(診断)FTDP-17(MAPT遺伝子変異).これは1996年に遺伝性家族性前頭側頭型認知症・パーキンソニズムにつけられた名称で,原因遺伝子座が第17 番染色体に連鎖するため名称に17がついた.しかし,この名称は歴史的な役割が終えたものと考えられている.詳しくは下記ブログを参照.R.I.P.(安らかに眠れ),FTDP-17
症例10.緩徐進行性のChoreoathetosisに対しGPi-DBSが奏効した17歳女性例
3歳から左上肢のジストニア+ジスキネジア.以後,L-DOPAなど様々な薬物療法が行われたが効果なし.16歳で両側上肢にChoreoathetosisが出現,17歳でジスキネジアの増悪.左下肢ジストニアに伴う関節拘縮.頭部MRIは異常なし.SPECTでは基底核と小脳の血流低下.テトラベナジンが有効.
(診断)GNAO1変異.GNAO1 は3量体Gタンパク質のαサブユニット (Gαo )をコードし,細胞内シグナル伝達に関与する.小児の難治性てんかんの原因遺伝子として同定された.第11回大会でも同遺伝子変異例が出題されている.
★重度の知的障害及び運動発達遅滞を伴う難治性てんかんの16歳女性と14歳男性
1例目は生後56日で難治性てんかんを発症,1歳4ヶ月で全身性不随意運動(激しいバリスム様).14歳右淡蒼球凝固術.重症の精神運動発達遅延を呈する.2例目(1例とは無関係)は,乳児期より精神運動発達遅延と筋トーヌス低下(坐位を保てず,立位はできても体幹が前屈する).7歳上肢の肢位異常,9歳で嚥下障害.てんかんなし.いずれの症例も頭部MRIでは異常なし.両者は表現型は異なるが,同じ疾患であることがエクソーム解析の結果判明している.
症例11.両下肢の震えを主訴に来院した男性
仕事中,起立時に両下肢の震えが出現した59歳男性.前屈位,後屈位で増強する.頭部MRI,DATスキャンともに正常.MIBG心筋シンチ正常.表面筋電図では7Hzの大きな筋放電の繰り返しと13~14Hzの小さな繰り返しがある.安静で消失.
(診断)Primary orthostatic tremor.Primaryは現時点では基礎疾患がないという意味で用いられている.介護職で立ち仕事で,これが動作特異性(task-specofic)に誘因になったかもしれないという議論があった.
症例12.外傷後に右下肢の不随意運動をきたした35歳女性
35歳のエアロビクスのインストラクターが,右足外傷後に,同部位の多彩なパターンを示す不随意運動(ジスキネジア)を呈した.リラックスすると振幅は増大し,足首を背屈させると軽減する.Distractionなし.
(診断)機能性不随意運動ないしperipherally induced movement disorder.後者は脳神経や末梢神経,神経節への外傷を契機に出現する不随意運動.文献を参照.
症例13.腹部に不随意運動を生じた低カルシウム血症の一例
82歳男性で,多発性骨髄種に対しdenosumabによる治療が行われた.副作用である低カルシウム血症が生じたが,同時期より腹部に非律動的なミオクローヌスが出現した.FAB 9点と前頭葉機能低下があり,頭部MRIで白質変化が認められた.
(診断)Eplepsia partialis continua (EPC),皮質性ミオクローヌス.
症例14.亜急性にパーキンソニズムとPisa症状をきたした66歳女性
右優位の運動緩慢と小歩症,姿勢保持障害に加え,MCIを呈した.DATスキャン取り込み低下なし. SPECTで左側頭葉から頭頂葉にかけての血流低下.頭部MRIでは左側頭葉におけるT2*で多発microbleedsを認める.
(診断)脳アミロイドアンギオパチー関連白質脳症(CAA-related inflammation;CAAri).ステロイドパルス療法で,運動緩慢と歩行障害が改善した.CAAriでパーキンソニズムをきたした報告は過去に2症例あり.皮質病変でパーキンソニズムをできたしたという報告もある.
症例15.四肢,顔面の不随意運動と中枢性肺胞低換気を呈する家族性運動失調性の一例
41歳で網膜色素変性症の既往.姉も類症.歩行障害,開鼻声(声が鼻に抜ける)が緩徐に進行.四肢・体幹の失調,錐体路徴候,抑うつ,感音性難聴,低身長,中枢性睡眠時無呼吸(AHI 78.4/h),夜間に増悪する肺胞低換気を認めた.
(診断)ATAD3A遺伝子変異の疑い.ATPase family, AAA domain-containing, member 3A (ATAD3A).この遺伝子はミトコンドリア膜タンパクをコードしている.遺伝形式は常染色体優性.既報ではHAREL-YOON症候群(精神運動発達遅滞,知的障害,発語障害,摂取障害,睡眠障害等)が報告されている.