パーキンソン病患者さんが外来に1冊の本を持ってきた.順天堂大学 林明人先生著の「パーキンソン病に効くCDブック」という本であった.この本のCDを聞きながら歩くとすくみが軽くなるそうで,「ほかの患者さんにも勧めてほしいから先生聴いてください」とお貸しくださった.早速,読んでみたところ,パーキンソン病の歩行障害の大きな原因の一つは「脳内のリズム障害」であり,この本に付属のCDを聴くと,脳に歩行リズムが刻まれ歩行障害が改善すると書かれている.
ほんとかしらと思いつつひと通りCDを聞いてみた.1部と2部に分かれていて,1部は聴くだけで良いそうだ.曲名は私の好きなベートーベンのピアノコンチェルト「皇帝」や,シューベルトの「ます」,バッハの「G線上のアリア」,エルガーの「威風堂々」などとても有名な曲が電子ピアノで演奏されている.ただちょっと違うのはメトロノームが大きな音で1分間に120回というリズムを刻んでいる点である.2部は音楽に合わせて歩くパートで,ここにもベートーベンの6番「田園」や9番「合唱」があって著者のベートーベン好きが窺われるが,曲によってメトロノームのリズムが1分間に90回,100回,110回と異なっている.自分の歩行リズムを計算式から算出し,それよりややはやい速度の曲を選び歩行訓練をすると有効なのだそうだ.
じつは昨日まで開催されていた「第26回神経治療学会」でも歩行障害と嚥下障害に対して音楽療法が有効であった症例が報告されていた.歩行障害に対して音楽療法は即効性を示したり,音楽を聴かなくても歩行が改善した状態を保てるようになったり,意欲・活動性が増加して明るくなったり,とても有効であったそうだ.別の演題では,嚥下障害がメトロノームによる音リズムによって改善していた(こちらはリズムのみ).口腔期運動の改善がみられたそうだ.
この音楽療法の機序としては,パーキンソン病患者には「内的リズム形成障害」があり,これに対し音楽による「外的リズム刺激」を行うことが有効で,さらには「内的リズム」を再生させる可能性もあるのではないか,ということである.まだエビデンスがない状態なので,もちろん今後,エビデンスを築きあげる必要があるが,どうも音楽療法は効きそうな印象である.
パーキンソン病に効くCDブック―スムーズに歩ける!気分も明るくなる!
ほんとかしらと思いつつひと通りCDを聞いてみた.1部と2部に分かれていて,1部は聴くだけで良いそうだ.曲名は私の好きなベートーベンのピアノコンチェルト「皇帝」や,シューベルトの「ます」,バッハの「G線上のアリア」,エルガーの「威風堂々」などとても有名な曲が電子ピアノで演奏されている.ただちょっと違うのはメトロノームが大きな音で1分間に120回というリズムを刻んでいる点である.2部は音楽に合わせて歩くパートで,ここにもベートーベンの6番「田園」や9番「合唱」があって著者のベートーベン好きが窺われるが,曲によってメトロノームのリズムが1分間に90回,100回,110回と異なっている.自分の歩行リズムを計算式から算出し,それよりややはやい速度の曲を選び歩行訓練をすると有効なのだそうだ.
じつは昨日まで開催されていた「第26回神経治療学会」でも歩行障害と嚥下障害に対して音楽療法が有効であった症例が報告されていた.歩行障害に対して音楽療法は即効性を示したり,音楽を聴かなくても歩行が改善した状態を保てるようになったり,意欲・活動性が増加して明るくなったり,とても有効であったそうだ.別の演題では,嚥下障害がメトロノームによる音リズムによって改善していた(こちらはリズムのみ).口腔期運動の改善がみられたそうだ.
この音楽療法の機序としては,パーキンソン病患者には「内的リズム形成障害」があり,これに対し音楽による「外的リズム刺激」を行うことが有効で,さらには「内的リズム」を再生させる可能性もあるのではないか,ということである.まだエビデンスがない状態なので,もちろん今後,エビデンスを築きあげる必要があるが,どうも音楽療法は効きそうな印象である.
パーキンソン病に効くCDブック―スムーズに歩ける!気分も明るくなる!