イタリアからMuSK-MG患者における腫瘍の頻度を明らかにし,MuSK抗体産生のメカニズムを検討した後方視的研究が報告され,最新号のAnn Neurol誌に掲載されています.対象は2005年から2022年までの94人のMuSK-MG患者(男性21人)で,うち13人(13.8%)に腫瘍を認めました(そのうち2名は2回腫瘍を発症したためのべ15人).この15人の腫瘍の内訳は血液系腫瘍が5人(33%)で最多(うち3人が縦隔リンパ腫),ついで乳がん3人,子宮がん2人,消化管2人でした.また腫瘍の発見はMuSK-MGの診断前が5人,同時が2人,診断後が8人でした(グラフ).
つぎにMuSKのがん組織における発現を免疫染色にて検討しています.上記のうち,原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)と子宮内膜がん(ECCC)の2名において,MuSKはいずれのがん細胞においても核内に強く発現し,細胞質には軽度発現していました(MuSKの核移行が示唆されました).またMuSK-MGを発症していないPMBCLおよびECCC患者のがん組織においてもMuSKの発現が確認されました(図).通常の子宮内膜組織ではMuSKは発現していませんでした.
6人の患者ではがんの診断時に長期の免疫療法を受けていました.PMBCLの患者はがんの診断時にリツキシマブで治療されており,これがMG発症を遅らせた可能性が議論されています.PMBCLは最も頻度が高い腫瘍ですが,B細胞枯渇治療はMuSK-MGおよびPMBCLの両方に効果的である可能性があり,今後,その治療効果を検証する必要があります.
以上よりMuSK-MGは傍腫瘍症候群のひとつである可能性が示唆されました.MuSK陽性例では腫瘍の検索をMGの発症時に加え診断後も定期的に行う必要があります.
Falso S, et al. Cancer Frequency in MuSK Myasthenia Gravis and Histological Evidence of Paraneoplastic Etiology. Ann Neurol. 2024 Jul 15.(doi.org/10.1002/ana.27033)