「Back to the Future」はロックスター志望の高校生マーティ・マクフライと,その親友で周囲から変人扱いされている科学者エメット・ブラウン博士(通称ドク)が,タイムマシン(デロリアン)を使って様々な時代でトラブルを起こす映画だ.私のお気に入りの映画であり,ときどきDVD 3部作トリロジーを引っ張り出しては一番好きな場面,マーティがChuck Berry(ロックンロールの神様!)のJohnny B. Goodeをダンスパーティーで演奏してみせるシーンを見るが,とても元気が沸いてくる(Part I, 1985年).その後,Michaelは映画やテレビで活躍したが,1991年,30歳の若さでパーキンソン病を発症し,その後,1998年にパーキンソン病であることをピープル紙上で公表した.
2006年10月20日,Michael J Foxはパーキンソン病治療のためのES細胞研究を支持するミズーリ州上院議員選の民主党候補への応援CMに出演し,現在,話題になっている.その映像は,インターネットの投稿動画サイトYouTubeでも見ることができる.産経新聞によると「全身をけいれんさせるなどのパーキンソン病の症状をあらわにしながら」とあるが,痙攣ではなく,dyskinesiaと思われる不随意運動によるようだ.いずれにしてもパーキンソン病をご存じない人にとっては衝撃的な映像であろう.彼のCM内の発言を英語に堪能な知り合いの麻酔科医の力を借りて要約してみると,以下のような内容である.
「ミズーリ州上院議員選では,パーキンソン病の治療に対し共通する希望をもつClaire McCaskillに投票してほしい.不幸にも対立候補は幹細胞研究の発展に反対し,我々に希望をもたらはずの科学を処罰の対象にしようとしている.政治はローカルなものだといわれるが,ミズーリ州でのあなたの行動は,難病に苦しむ私のような多くのアメリカ人を救うのだ」そして最後に上院議員候補が出てきて,Michaelの発言に賛同する,と一言述べている.
ES細胞研究に反対している保守派は「自分の症状を売り物にしている」などと批判しているようだ.ES細胞研究に関する個人的な印象は過去にブログ内で記載したこともあるのでここでは書かないが,今回のMichaelの行動は,彼の著書であるラッキーマンを読んだひとにとっては何ら不思議のないものに思えるだろう.
この本によれば,彼はパーキンソン病と診断された時,健康状態が悪化することを心配しただけでなく,妻トレィシーさんが去っていくのはないかと非常に恐れたそうだ.そして「恐れに立ち向かうことができず,酒を飲むようになった」が,トレィシーさんや4人の子供の支えもあり,1994年から病気を受容し,分析することをはじめ,病気に立ち向かうようになったそうだ.1998年,彼はパーキンソン病であることを公表したときには世界中から驚くほどの反響があったそうだが,世間が彼を哀れみだしたころには,彼はすでにこの病気を受け入れていたわけである.その後,パーキンソン病の研究助成活動をはじめ,2000年には「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」を設立した.このなかの彼のメッセージをぜひ読んでいただきたいが,彼はES細胞にだけこだわっているわけではなく,パーキンソン病の治療につながりうるさまざまな可能性を推進したいという気持ちを持っているのである.
彼は自分のことをLucky Manと呼んだ.著書の中でパーキンソン病が自分に何をもたらしたかを語っているが,素晴らしい人生と仕事に感謝するチャンスが与えられたこと,パーキンソン病の治療法を探すための手助けをし,人々にこの病気について知ってもらう機会を得たこと,それこそが自分が幸運な男だと思う理由だと語っている.今回のYouTubeのビデオに関心をもたれた方は,ぜひ,彼の著書や財団のホームページをのぞいてほしい.今回のCMが,多くの人がパーキンソン病や幹細胞研究について考えるきっかけになれば彼もきっと喜ぶに違いない.
YouTube画像
「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」
ラッキーマン
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2006年10月20日,Michael J Foxはパーキンソン病治療のためのES細胞研究を支持するミズーリ州上院議員選の民主党候補への応援CMに出演し,現在,話題になっている.その映像は,インターネットの投稿動画サイトYouTubeでも見ることができる.産経新聞によると「全身をけいれんさせるなどのパーキンソン病の症状をあらわにしながら」とあるが,痙攣ではなく,dyskinesiaと思われる不随意運動によるようだ.いずれにしてもパーキンソン病をご存じない人にとっては衝撃的な映像であろう.彼のCM内の発言を英語に堪能な知り合いの麻酔科医の力を借りて要約してみると,以下のような内容である.
「ミズーリ州上院議員選では,パーキンソン病の治療に対し共通する希望をもつClaire McCaskillに投票してほしい.不幸にも対立候補は幹細胞研究の発展に反対し,我々に希望をもたらはずの科学を処罰の対象にしようとしている.政治はローカルなものだといわれるが,ミズーリ州でのあなたの行動は,難病に苦しむ私のような多くのアメリカ人を救うのだ」そして最後に上院議員候補が出てきて,Michaelの発言に賛同する,と一言述べている.
ES細胞研究に反対している保守派は「自分の症状を売り物にしている」などと批判しているようだ.ES細胞研究に関する個人的な印象は過去にブログ内で記載したこともあるのでここでは書かないが,今回のMichaelの行動は,彼の著書であるラッキーマンを読んだひとにとっては何ら不思議のないものに思えるだろう.
この本によれば,彼はパーキンソン病と診断された時,健康状態が悪化することを心配しただけでなく,妻トレィシーさんが去っていくのはないかと非常に恐れたそうだ.そして「恐れに立ち向かうことができず,酒を飲むようになった」が,トレィシーさんや4人の子供の支えもあり,1994年から病気を受容し,分析することをはじめ,病気に立ち向かうようになったそうだ.1998年,彼はパーキンソン病であることを公表したときには世界中から驚くほどの反響があったそうだが,世間が彼を哀れみだしたころには,彼はすでにこの病気を受け入れていたわけである.その後,パーキンソン病の研究助成活動をはじめ,2000年には「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」を設立した.このなかの彼のメッセージをぜひ読んでいただきたいが,彼はES細胞にだけこだわっているわけではなく,パーキンソン病の治療につながりうるさまざまな可能性を推進したいという気持ちを持っているのである.
彼は自分のことをLucky Manと呼んだ.著書の中でパーキンソン病が自分に何をもたらしたかを語っているが,素晴らしい人生と仕事に感謝するチャンスが与えられたこと,パーキンソン病の治療法を探すための手助けをし,人々にこの病気について知ってもらう機会を得たこと,それこそが自分が幸運な男だと思う理由だと語っている.今回のYouTubeのビデオに関心をもたれた方は,ぜひ,彼の著書や財団のホームページをのぞいてほしい.今回のCMが,多くの人がパーキンソン病や幹細胞研究について考えるきっかけになれば彼もきっと喜ぶに違いない.
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