今回のキーワードは,IOCの決定は最良の科学的証拠に基づいていない,感染者の入院前評価では酸素飽和度と呼吸数の測定を必須とすべき,brain fog(脳の霧)は患者の約4分の1が経験する,免疫チェックポイント阻害剤使用中のがん患者でワクチンによりサイトカインストームが生じうる,アストラゼネカ・ワクチンでは虚血性脳卒中も生じうる,SARS-CoV-2感染は長寿命の体液性免疫反応を誘導する,です.
権威ある医学誌New Engl J Med誌において「五輪参加者をCOVID-19から守るために ― リスク管理のアプローチが急務」という論文を掲載しました.以下,その内容を紹介しますが,これらの安全性に対する疑義に対し,真摯に,具体的に回答することがまず必要だろうと思います.
◆オリンピック開催に関するIOCの決定は,最良の科学的証拠に基づいていない.
New Engl J Med誌はオリンピック開催に関する,4人の医学専門家による論文(見解)を掲載した.まず開催に関する問題点が多数列挙されている(日本・世界の感染者数,変異株の存在,OECD加盟国で最も低い日本のワクチン接種率(5%未満),すべてのアスリートがワクチン接種を受けることが困難な種々の理由,オリンピック期間中に感染し,帰国後に感染が拡大するリスク等).続いて安全対策の不備,懸念が列挙されている.具体的にはIOCは他の大規模なスポーツイベントから何も学んでいないことや(NFL,NBAなど,多くのスポーツリーグのプロトコルは,空気感染,無症候性感染,密接な接触者の定義などを理解した上で,厳格なものとなっているが,まったくそうなっていない),IOCプレイブック(対策指針)1では,アスリートが直面するリスク・レベルも,感染対策の限界も認識されておらず,そもそも科学的なリスク評価に基づいて作成されたものではないことが示されている(体温や症状のスクリーニングでは発症前ないし無症状感染者を特定できないこと.PCRはNFLの経験から,少なくとも1日1回は必要であること(2回がベター).接触追跡アプリは効果が乏しく,ほとんどのアスリートは携帯電話を持って競技しないこと等).
結論としてオリンピックを中止することが最も安全な選択肢としているが,オリンピックは,世界が断絶している今,人々をつなぐことができる数少ないイベントのひとつとも述べ,安全な開催に向けた緊急の行動として,WHOが労働安全衛生,建築・換気工学,感染症疫学の専門家とアスリート代表を含む緊急委員会を直ちに招集し,種々の要因を検討し,リスク管理アプローチについて助言することを提言している.→ 多数指摘された安全性の疑義を無視したまま開催することは,人道的にも許されることではないと思う.
New Eng J Med. May 25, 2021(doi.org/10.1056/NEJMp2108567)
◆入院待機中の感染者では,酸素飽和度と呼吸数の測定を必須とすべき(SpO2 92%未満と呼吸数23回で死亡リスクが上昇する).
米国からの呼吸器症状・検査所見と死亡率に関する検討が報告された.対象は入院患者1095名で,うち197名が死亡している.まず呼吸器症状と発熱は,死亡率と相関しなかった.危険因子の調整後,低酸素血症と頻呼吸の双方が死亡リスクと相関した(図1).正常酸素飽和度の患者と比較し,低酸素血症(酸素飽和度92%未満)の患者は,死亡リスクが1.8~4.0倍に上昇した.また呼吸数が正常(20回/分以下)の患者と比較して,呼吸数が23回/分以上の患者は,死亡リスクが1.9~3.2倍に上昇した.体温,心拍数,血圧などは,死亡とは関連しなかった.以上より,自宅やホテルでの入院待機中,酸素飽和度と呼吸数の監視を行うことは必須である.これら死亡リスクのある患者を早期に発見し,酸素投与とグルココルチコイドによる救命治療を開始する必要がある.
Influenza Other Respir Viruses. 2021 May 24(doi.org/10.1111/irv.12869)
◆Long COVIDのシステマティックレビュー(brain fogは患者の約4分の1が経験する)
米国から,COVID-19感染後の「持続的な症状」を検討したシステマティックレビューが報告された.持続的の定義は,診断・症状出現・入院後60日以上,または急性期症状の回復ないし退院後30日以上である.最終的に 45件の研究が対象となった.結果は,入院患者を対象とした16件の研究のうち,少なくとも1つの持続的な症状を経験した者の割合は72.5%と高かった.最も多く報告された持続的な症状は,疲労感と息切れであった(図2).非定型の胸痛も多かった.「脳の霧(brain fog)」と呼ばれる集中力の低下は4研究でしか検討されていなかったが,患者の約4分の1が経験していた!6件の研究では認知機能の低下(17.6%)を,5件の研究が記憶力の低下(28.3%)を認めた.以上より,COVID-19 の症状は,急性期を超えて持続し,生活の質に影響を与えることが示された.
JAMA Netw Open. 2021;4(5):e2111417.(doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.11417)
◆免疫チェックポイント阻害剤使用中のがん患者でワクチンにより生じたサイトカインストーム.
2019年から免疫チェックポイント阻害剤による治療(抗PD-1単剤療法)を受けていた転移性大腸がん患者で,ファイザー社mRNAワクチンを初回接種した5日後に,サイトカイン放出症候群(CRS;サイトカインストームと同義)を発症したことが英国から報告された.全身の筋痛,下痢,発熱に加え,検査所見では炎症マーカーの上昇,血小板減少,サイトカイン(IFN-γ/IL-2R/IL-18/IL-16/IL-10)上昇を認めた(図3).ステロイドパルス療法が有効で,治療開始7日で退院し,免疫チェックポイント阻害剤も再開された.ワクチン接種から5日後というタイミングであったことから,CRSはワクチン接種に伴う有害事象であり,PD1遮断の影響が示唆された.さらなる検討が必要であるが,稀な事例であり,かつステロイドで治療が可能なことから,免疫チェックポイント阻害剤使用中のがん患者でもワクチン接種はこれまで同様,強く支持される.しかし医療者はワクチンでCRSが生じる可能性を理解しておく必要がある.
Nat Med. May 26, 2021.(doi.org/10.1038/s41591-021-01387-6)
◆アストラゼネカ・ワクチンによる虚血性脳卒中3例の報告.
アストラゼネカ社のアデノウイルスベクター・ワクチンの接種後に,稀ながらワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)に伴う脳静脈血栓症が生じうることが問題になっているが,同ワクチン接種後に虚血性脳卒中を呈した3名のVITT患者が英国から報告された.症例1は35歳アジア人女性で,ワクチン接種6日後に頭痛,その5日後に左片麻痺を呈した.右中大脳動脈M1の閉塞と同領域の出血性梗塞が確認された(図4A-C).右門脈血栓症も認めた.血小板↓,D-ダイマー↑,抗PF4抗体陽性.緊急に減圧的頭蓋切除術が行われた(図4D).免疫グロブリン静注(IVIG)と血漿交換により血小板数は増加した.フォンダパリヌクスによる抗凝固療法を受けたが,脳ヘルニアが生じ,脳幹死が確認された.
症例2は37歳白人女性.ワクチン接種12日後に,頭痛,左視野欠損,左上肢脱力を呈した.両内頸動脈閉塞(図4E)と左横静脈洞血栓症(図4F)を認め,多発梗塞を認めた(図4G,H).脳静脈洞血栓症,肺塞栓を含む全身の血栓症が確認された.血小板数↓,D-ダイマー↑,抗PF4抗体陽性.IVIG,ステロイドパルス,血漿交換,フォンダパリヌクスによる治療にて改善した.
症例3は43歳アジア人男性.ワクチン接種21日後に嚥下困難で発症した.左中大脳動脈の前皮質領域の出血性梗塞が認められた.脳静脈血栓症なし.血小板輸血,IVIG,フォンダパリヌクスによる治療が行われ,現在,病状は安定している.以上より,VITTでは虚血性脳卒中が生じうることが示された.ワクチン接種後に虚血性脳卒中を発症した場合,血小板数,D-ダイマー,フィブリノーゲン,抗PF4抗体,静脈血栓症のチェックを行う.また血液内科,脳神経内科・外科などによる集学的チームが,IVIG,ステロイドパルス,血漿交換,非ヘパリン系抗凝固剤(フォンダパリヌクス,アルガトロバン,経口直接抗凝固剤など)などの治療を迅速に行い,症例によっては血管内治療や減圧的頭蓋切除術が適応となる場合もあることが示された.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. May 25, 2021(doi.org/10.1136/jnnp-2021-326984)
◆SARS-CoV-2感染は長寿命の体液性免疫反応を誘導する.
抗SARS-CoV-2抗体は,感染後数カ月で急速に減衰することが報告されており,持続的かつ不可欠な抗体の供給源である長寿命の骨髄形質細胞(BMPCs)が生成されず,このウイルスに対する体液性免疫が短命に終わるのではないかと懸念されていた.米国からこのBMPCsについての検討が報告された.軽度の感染を経験した患者77名において,血清中の抗SARS-CoV-2スパイク抗体は,感染後4カ月で急速に減少し,その後7カ月かけて徐々に減少し,少なくとも感染後11カ月まで検出可能であることが示された.抗スパイク抗体価は,感染から7~8カ月後のSARS-CoV-2回復期患者18名の骨髄穿刺液から得られたスパイク特異的BMPCの頻度と相関していた.一方,感染歴のない11名の健常者の骨髄穿刺液からは,スパイク特異的BMPCは検出されなかった.これらの結果から,スパイク結合型BMPCは静止していることがわかり,長寿命のコンパートメントの一部であることが分かった.さらに回復期の患者には,Sタンパク質に対するメモリーB細胞が循環していることが確認された.以上より,SARS-CoV-2感染は,ヒトにおいて強固な抗原特異的,長寿命の体液性免疫反応を誘導することが明らかになった.
Nature. May 24, 2021.(doi.org/10.1038/s41586-021-03647-4)
権威ある医学誌New Engl J Med誌において「五輪参加者をCOVID-19から守るために ― リスク管理のアプローチが急務」という論文を掲載しました.以下,その内容を紹介しますが,これらの安全性に対する疑義に対し,真摯に,具体的に回答することがまず必要だろうと思います.
◆オリンピック開催に関するIOCの決定は,最良の科学的証拠に基づいていない.
New Engl J Med誌はオリンピック開催に関する,4人の医学専門家による論文(見解)を掲載した.まず開催に関する問題点が多数列挙されている(日本・世界の感染者数,変異株の存在,OECD加盟国で最も低い日本のワクチン接種率(5%未満),すべてのアスリートがワクチン接種を受けることが困難な種々の理由,オリンピック期間中に感染し,帰国後に感染が拡大するリスク等).続いて安全対策の不備,懸念が列挙されている.具体的にはIOCは他の大規模なスポーツイベントから何も学んでいないことや(NFL,NBAなど,多くのスポーツリーグのプロトコルは,空気感染,無症候性感染,密接な接触者の定義などを理解した上で,厳格なものとなっているが,まったくそうなっていない),IOCプレイブック(対策指針)1では,アスリートが直面するリスク・レベルも,感染対策の限界も認識されておらず,そもそも科学的なリスク評価に基づいて作成されたものではないことが示されている(体温や症状のスクリーニングでは発症前ないし無症状感染者を特定できないこと.PCRはNFLの経験から,少なくとも1日1回は必要であること(2回がベター).接触追跡アプリは効果が乏しく,ほとんどのアスリートは携帯電話を持って競技しないこと等).
結論としてオリンピックを中止することが最も安全な選択肢としているが,オリンピックは,世界が断絶している今,人々をつなぐことができる数少ないイベントのひとつとも述べ,安全な開催に向けた緊急の行動として,WHOが労働安全衛生,建築・換気工学,感染症疫学の専門家とアスリート代表を含む緊急委員会を直ちに招集し,種々の要因を検討し,リスク管理アプローチについて助言することを提言している.→ 多数指摘された安全性の疑義を無視したまま開催することは,人道的にも許されることではないと思う.
New Eng J Med. May 25, 2021(doi.org/10.1056/NEJMp2108567)
◆入院待機中の感染者では,酸素飽和度と呼吸数の測定を必須とすべき(SpO2 92%未満と呼吸数23回で死亡リスクが上昇する).
米国からの呼吸器症状・検査所見と死亡率に関する検討が報告された.対象は入院患者1095名で,うち197名が死亡している.まず呼吸器症状と発熱は,死亡率と相関しなかった.危険因子の調整後,低酸素血症と頻呼吸の双方が死亡リスクと相関した(図1).正常酸素飽和度の患者と比較し,低酸素血症(酸素飽和度92%未満)の患者は,死亡リスクが1.8~4.0倍に上昇した.また呼吸数が正常(20回/分以下)の患者と比較して,呼吸数が23回/分以上の患者は,死亡リスクが1.9~3.2倍に上昇した.体温,心拍数,血圧などは,死亡とは関連しなかった.以上より,自宅やホテルでの入院待機中,酸素飽和度と呼吸数の監視を行うことは必須である.これら死亡リスクのある患者を早期に発見し,酸素投与とグルココルチコイドによる救命治療を開始する必要がある.
Influenza Other Respir Viruses. 2021 May 24(doi.org/10.1111/irv.12869)
◆Long COVIDのシステマティックレビュー(brain fogは患者の約4分の1が経験する)
米国から,COVID-19感染後の「持続的な症状」を検討したシステマティックレビューが報告された.持続的の定義は,診断・症状出現・入院後60日以上,または急性期症状の回復ないし退院後30日以上である.最終的に 45件の研究が対象となった.結果は,入院患者を対象とした16件の研究のうち,少なくとも1つの持続的な症状を経験した者の割合は72.5%と高かった.最も多く報告された持続的な症状は,疲労感と息切れであった(図2).非定型の胸痛も多かった.「脳の霧(brain fog)」と呼ばれる集中力の低下は4研究でしか検討されていなかったが,患者の約4分の1が経験していた!6件の研究では認知機能の低下(17.6%)を,5件の研究が記憶力の低下(28.3%)を認めた.以上より,COVID-19 の症状は,急性期を超えて持続し,生活の質に影響を与えることが示された.
JAMA Netw Open. 2021;4(5):e2111417.(doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.11417)
◆免疫チェックポイント阻害剤使用中のがん患者でワクチンにより生じたサイトカインストーム.
2019年から免疫チェックポイント阻害剤による治療(抗PD-1単剤療法)を受けていた転移性大腸がん患者で,ファイザー社mRNAワクチンを初回接種した5日後に,サイトカイン放出症候群(CRS;サイトカインストームと同義)を発症したことが英国から報告された.全身の筋痛,下痢,発熱に加え,検査所見では炎症マーカーの上昇,血小板減少,サイトカイン(IFN-γ/IL-2R/IL-18/IL-16/IL-10)上昇を認めた(図3).ステロイドパルス療法が有効で,治療開始7日で退院し,免疫チェックポイント阻害剤も再開された.ワクチン接種から5日後というタイミングであったことから,CRSはワクチン接種に伴う有害事象であり,PD1遮断の影響が示唆された.さらなる検討が必要であるが,稀な事例であり,かつステロイドで治療が可能なことから,免疫チェックポイント阻害剤使用中のがん患者でもワクチン接種はこれまで同様,強く支持される.しかし医療者はワクチンでCRSが生じる可能性を理解しておく必要がある.
Nat Med. May 26, 2021.(doi.org/10.1038/s41591-021-01387-6)
◆アストラゼネカ・ワクチンによる虚血性脳卒中3例の報告.
アストラゼネカ社のアデノウイルスベクター・ワクチンの接種後に,稀ながらワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)に伴う脳静脈血栓症が生じうることが問題になっているが,同ワクチン接種後に虚血性脳卒中を呈した3名のVITT患者が英国から報告された.症例1は35歳アジア人女性で,ワクチン接種6日後に頭痛,その5日後に左片麻痺を呈した.右中大脳動脈M1の閉塞と同領域の出血性梗塞が確認された(図4A-C).右門脈血栓症も認めた.血小板↓,D-ダイマー↑,抗PF4抗体陽性.緊急に減圧的頭蓋切除術が行われた(図4D).免疫グロブリン静注(IVIG)と血漿交換により血小板数は増加した.フォンダパリヌクスによる抗凝固療法を受けたが,脳ヘルニアが生じ,脳幹死が確認された.
症例2は37歳白人女性.ワクチン接種12日後に,頭痛,左視野欠損,左上肢脱力を呈した.両内頸動脈閉塞(図4E)と左横静脈洞血栓症(図4F)を認め,多発梗塞を認めた(図4G,H).脳静脈洞血栓症,肺塞栓を含む全身の血栓症が確認された.血小板数↓,D-ダイマー↑,抗PF4抗体陽性.IVIG,ステロイドパルス,血漿交換,フォンダパリヌクスによる治療にて改善した.
症例3は43歳アジア人男性.ワクチン接種21日後に嚥下困難で発症した.左中大脳動脈の前皮質領域の出血性梗塞が認められた.脳静脈血栓症なし.血小板輸血,IVIG,フォンダパリヌクスによる治療が行われ,現在,病状は安定している.以上より,VITTでは虚血性脳卒中が生じうることが示された.ワクチン接種後に虚血性脳卒中を発症した場合,血小板数,D-ダイマー,フィブリノーゲン,抗PF4抗体,静脈血栓症のチェックを行う.また血液内科,脳神経内科・外科などによる集学的チームが,IVIG,ステロイドパルス,血漿交換,非ヘパリン系抗凝固剤(フォンダパリヌクス,アルガトロバン,経口直接抗凝固剤など)などの治療を迅速に行い,症例によっては血管内治療や減圧的頭蓋切除術が適応となる場合もあることが示された.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. May 25, 2021(doi.org/10.1136/jnnp-2021-326984)
◆SARS-CoV-2感染は長寿命の体液性免疫反応を誘導する.
抗SARS-CoV-2抗体は,感染後数カ月で急速に減衰することが報告されており,持続的かつ不可欠な抗体の供給源である長寿命の骨髄形質細胞(BMPCs)が生成されず,このウイルスに対する体液性免疫が短命に終わるのではないかと懸念されていた.米国からこのBMPCsについての検討が報告された.軽度の感染を経験した患者77名において,血清中の抗SARS-CoV-2スパイク抗体は,感染後4カ月で急速に減少し,その後7カ月かけて徐々に減少し,少なくとも感染後11カ月まで検出可能であることが示された.抗スパイク抗体価は,感染から7~8カ月後のSARS-CoV-2回復期患者18名の骨髄穿刺液から得られたスパイク特異的BMPCの頻度と相関していた.一方,感染歴のない11名の健常者の骨髄穿刺液からは,スパイク特異的BMPCは検出されなかった.これらの結果から,スパイク結合型BMPCは静止していることがわかり,長寿命のコンパートメントの一部であることが分かった.さらに回復期の患者には,Sタンパク質に対するメモリーB細胞が循環していることが確認された.以上より,SARS-CoV-2感染は,ヒトにおいて強固な抗原特異的,長寿命の体液性免疫反応を誘導することが明らかになった.
Nature. May 24, 2021.(doi.org/10.1038/s41586-021-03647-4)