虚血性脳梗塞の遺伝的要因に関するメタ解析の結果がロンドン大学から報告された.対象論文は2003年1月までにMEDLINEなどのelectronic databaseに報告されたcase controlないしnested case control study(追跡しているコホート集団から疾病が発生したら,これを患者群とし,対照群を同じコホート集団から選び,両者について過去の暴露要因の有無を比較する方法)の英文論文とした.診断は画像診断が行われていることを条件とし,検討対象は白人・成人に限定した.120論文が対象論文となり,計32遺伝子についての検討を行った(odds比と95%信頼区間を検討).結果として,以下の4遺伝子が統計的に有意差を認めた;factor V Leiden Arg506Gln (OR, 1.33; 95%CI, 1.12-1.58),methylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR) C677T (OR, 1.24; 95%CI, 1.08-1.42),prothrombin G20210A (OR, 1.44; 95%CI, 1.11-1.86),angiotensin-converting enzyme insertion/deletion (OR, 1.21; 95%CI, 1.08-1.35).これらは候補遺伝子として多数の症例数が調べられた上位4つの遺伝子でもあったが(それぞれ4588, 3387, 3028, 2990症例が調べられた),その次に検討された3遺伝子であるfactor XIII, apolipoprotein E, human platelet antigen type 1には統計学的な有意差は見出せなかった.
いずれにしてもこれまでのところ,単一の遺伝子で強力な影響を及ぼす遺伝子は見つかっておらず,複数の遺伝子が関与して脳梗塞のリスクを上昇させるモデルが考えやすいと言えよう.
Arch Neurol 61;1652-1661, 2004
いずれにしてもこれまでのところ,単一の遺伝子で強力な影響を及ぼす遺伝子は見つかっておらず,複数の遺伝子が関与して脳梗塞のリスクを上昇させるモデルが考えやすいと言えよう.
Arch Neurol 61;1652-1661, 2004