新しい常染色体優性遺伝性筋ジストロフィーが報告された.この筋ジストロフィーは筋節(sarcomere)の両端を仕切っているZ線(Z板)の構成蛋白のひとつ, ZASP (Z-band alternatively spliced PDZ motif-containing protein)をコードする遺伝子変異が原因で発症するため,この疾患はzaspopathyと命名された.
この発見の背景として重要なのはmyofibrillar myopathy(MFM)の概念である.MFMは筋病理学的にZ線の崩壊と,それに伴う筋原線維の崩壊・種々の蛋白(myotilin,接着因子,gelsolinなど)の蓄積を共通所見とするが,遺伝学的にはheterogenousな疾患群であり,これまでZ線に関連した3種類の蛋白,具体的にはdesmin, alphaB-crystallin, myotilinがその病因蛋白となることが判明している.しかし,MFMにおいてこれらの遺伝子変異が確認される頻度は低く,Mayo clinicにおける68名のcohortではそれぞれ,9%,9%,3%と報告されている.
今回,Mayo clinicの研究者らはZASPがZ線の構成蛋白であり,またZASP欠失マウスが骨格筋,および心筋ミオパチーを来たすことに注目し,MFM患者54名におけるZASP遺伝子の変異を検索した.この結果,54人中11人のZASP遺伝子上に3種類のミスセンス変異を発見した(いずれもヘテロ).11名の発病年齢は44~77歳で,7名では優性遺伝形式の家族内発症を認めた.臨床的には心筋障害を3名で,末梢神経障害を5名で認めた.ほとんどの症例で近位筋,遠位筋のいずれにも筋萎縮を認めたが,6名は遠位筋優位であった.
以上より,①ZASP遺伝子変異は典型的なMFM病理を示すこと,②心筋ミオパチー,遠位筋優位の四肢筋力低下,ニューロパチーがzaspopathyの表現型として生じうることが判明した.なぜ ニューロパチーが生じるかについては不明である.ZASPは脳内にも若干の発現を認めることが知られているが,末梢神経における発現については知られていない.
Ann Neurol 57; 269-276, 2005
この発見の背景として重要なのはmyofibrillar myopathy(MFM)の概念である.MFMは筋病理学的にZ線の崩壊と,それに伴う筋原線維の崩壊・種々の蛋白(myotilin,接着因子,gelsolinなど)の蓄積を共通所見とするが,遺伝学的にはheterogenousな疾患群であり,これまでZ線に関連した3種類の蛋白,具体的にはdesmin, alphaB-crystallin, myotilinがその病因蛋白となることが判明している.しかし,MFMにおいてこれらの遺伝子変異が確認される頻度は低く,Mayo clinicにおける68名のcohortではそれぞれ,9%,9%,3%と報告されている.
今回,Mayo clinicの研究者らはZASPがZ線の構成蛋白であり,またZASP欠失マウスが骨格筋,および心筋ミオパチーを来たすことに注目し,MFM患者54名におけるZASP遺伝子の変異を検索した.この結果,54人中11人のZASP遺伝子上に3種類のミスセンス変異を発見した(いずれもヘテロ).11名の発病年齢は44~77歳で,7名では優性遺伝形式の家族内発症を認めた.臨床的には心筋障害を3名で,末梢神経障害を5名で認めた.ほとんどの症例で近位筋,遠位筋のいずれにも筋萎縮を認めたが,6名は遠位筋優位であった.
以上より,①ZASP遺伝子変異は典型的なMFM病理を示すこと,②心筋ミオパチー,遠位筋優位の四肢筋力低下,ニューロパチーがzaspopathyの表現型として生じうることが判明した.なぜ ニューロパチーが生じるかについては不明である.ZASPは脳内にも若干の発現を認めることが知られているが,末梢神経における発現については知られていない.
Ann Neurol 57; 269-276, 2005