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日銀の外債購入を促す前原氏・・・為替介入と何が違うのか?

2012-10-05 05:12:00 | 時事/金融危機
 

■ 前原特命大臣 ■

前原氏のアメリカへの奉仕っぷりは、
ある意味アッケラカンとしていて気持が良いとも言えます。

経済財政政策、科学技術政策、原子力行政、宇宙政策特命大臣。
国家戦略担当
海洋政策担当


何だか肩書きだけが沢山ありますが、
一般的な国務大臣の肩書きではありません。

なんだか、各大臣の仕事に、横槍を入れるのがお仕事の様です。

■ 日銀の外債購入を検討すべき ■

早速、前原氏が日銀の外債購入を主張し始めました。

政策実行力に課題 補正予算が試金石
前原経財相、日銀の外債購入を提案
2012/10/2付  (日経新聞)

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46791200S2A001C1EA1000/

<引用開始>

(前略)

財政政策が機動性を欠くなか、日銀の金融政策への期待が高まりつつある。前原経財相は1日の記者会見で、円高是正のために日銀が外債を購入する案を「金融緩和を進めていくうえでの有力な材料の一つ」と指摘。「今まで以上に厳しく、日銀が(物価上昇率1%という)政策目標を実行する気構えがあるかをみたい」と強調した。

 日銀による金融緩和の強化は、前原氏が民主党政調会長時代からの持論。だが経財相は日銀の金融政策決定会合に出席して意見を述べる権限も持つだけに、これまでとは発言の重みが異なる。

 前原経財相は「(日銀の緩和が)足りないなら、しっかりと対応を促す発言をしていきたい。実行するように主体的に取り組む」と述べ、デフレ脱却に向けて日銀に一段の緩和を迫る姿勢を鮮明にした。

 ただ、日銀による外債購入は為替市場での円売り・外貨買い介入と同じ効果を持つ。財務省は「為替介入の権限は財務省に一元化されており、日銀独自の判断による為替介入を認めていない日銀法に違反する」と日銀による外債購入案に反対している。

 城島財務相は同日の記者会見で、日銀の外債購入について「基本的には慎重に検討すべき課題」と述べるにとどめた。

<引用終了>



これは9月に発表した民主党の要望書を受けた発言です。

「10兆円の「10兆円のアジア各国通貨建てを含む外債購入の検討」

日本語を良く読んでみましょう。

「10兆円の「10兆円のアジア各国通貨建てを含む外債購入の検討」

含むってどのくらいでしょうか?

50%でしょうか?
10%でしょうか?
5%でしょうか?

その他は、米国債でしょうか?

■ ドル安を維持する国の国債購入は、米国債購入支援に成るのでは ■

韓国や中国や他のアジアの工業国は、
ドル安政策を取っています。

彼らのやっている事は、日本の為替介入と変わりません。
ところが、韓国などの為替介入は黙認されています。

何故なのでしょうか?

為替介入の結果、これらの国の手元にはドルが残ります。
このドルは外貨準備として米国債で運用されているはずです。
実際に韓国も、大量に米国債を保有しています。
(韓国はこの他に、米国の公社債や地方債を持っているとも言われています)

日本と同様に、為替介入に際しては、各国政府は国債を発行しているはずです。
(中国はプリンティングマネー状態でしょうか?)
財政赤字が日本程酷くは無いとは言え、
国債の大量発行は、投機筋に狙われる可能性が否定出来ません。

そこで、韓国やアジア諸国の国債を日銀が購入しろと、前原氏は主張しているのでしょうか?

しかし、これは、アジア諸国を迂回した、日銀の米国債購入と変わらないのでは?

確かに各国は日銀の国債購入で得た資金を
財政政策に使用したと主張出来ます。

しかし、お金に印は付いていませんから、
余った資金を、米国債購入に充当しても、見分ける事は不可能です。

■ そもそも米国は日本の為替介入を望んでいる ■

そもそもアメリカは日銀の為替介入を口では牽制しながらも、
ウラでは、為替介入を待ち望んでいます。

ちょっと過激に円高を演出すれば、
財務省が為替介入をして、結果的に米国債を購入してくれます。

ところが、為替介入などしてもハトにマメ鉄砲程度の効果しかありません。
マメはアメリカが美味しく平らげて、直ぐに円高に戻ってしまいます。

そろそろ日本も為替介入の無駄を指摘する人が増えて着ました。

■ 手を換え、品を換え ■

日本経済もそろそろヤバさが漂ってきて、
最近では極端な円高にはならずに、80円前後を行ったり来たりしています。

これでは、為替介入の口実が立ちません。

そこで、日銀の外債購入という主張を、前原氏がし始めたのでしょう。
表向きはアジア通貨防衛の為のチェンマイ・イニシアティブ堅持としています。

■ 財務省は反対する ■

日銀の外国債直接購入に対しては財務省も日銀も抵抗を示しています。

日銀には日本国債を買い支えてもらう必要があり、
外債など買われたのでは、日本国債の消化に支障をきたすからです。

さらに、信用の低い、アジアの国債が日銀のバランスシートに増える事は好ましくありません。
日銀の信用失墜は、日本国債の信用失墜に繋がります。

■ アメリカの遣い走りの前原氏 ■

どうやら、今回の組閣で前原氏にアメリカが与えた役割は3つ。

1) 米国債を購入させろ     ・・・経済財政政策特命大臣
2) 原発を稼動させろ      ・・・原子力行政特命大臣
3) 日中・日韓関係を緊張させろ ・・・国家戦略担当・海洋政策担当


いずれも、監督官庁に権限を持った正式な大臣で無い所が、
現在の民主党内での、前原氏のビミョーな立場を表しています。
肩書きばかりで、実権が無い・・・・。

前原外しが、輿石氏の幹事長就任の条件だったのでしょうか?

■ 来年度の予算編成をめぐり財務省とガチバトル? ■

前原氏は就任後、早速、来年度の予算編成に内閣府と国家戦略室が関与すると発表し、
これに対して財務省大久保勉・副財務相は、
「予算編成は財政法上、財務省の管轄だ」反論しています。

早速、前原氏と財務大臣や財務副大臣、そして官僚達のバトルが開始されました。

法治国家であるならば、財政法を改正の論議が必要ですが、
いきなり、「オレの所が予算を組む」と言われて財務省が激怒しないハズはありません。

財務省の予算決定権こそが、財務省が全ての官庁のトップに君臨する力の源泉で、
予算決定権を政治家に掌握されれば、官僚の力は激減します。

さて、今回の盛沢山の前原氏の肩書、
どれも、問題ばかりを起こして、最後は放り出すのはいつもの事でしょうか?