■ 尖閣問題で後退する日本の景気 ■
尖閣問題で日中対立が深刻化する中、
日本の対中輸出が激減しています。
ロイターによれば、
9月の貿易赤字幅は同月として1979年の統計開始以来、過去最大を記録。
輸出は17カ月ぶりの大幅減となったそうです。
7月-9月期は景気は-3%と予測する人もいる様です。
■ 日経平均が9000円を回復 ■
景気後退が明確になる中で、何故か日経平均が上昇し
9000円代を回復しています。
これは、30日の日銀会合で、ETFやRITを追加購入を発表する事を期待した値動きです。
アメリカにしても、日本にしても既に株式市場は景気を反映していません。
お金がばら撒かれると報道されれば、期待で値上がりし、
量的緩和が実施された途端に、相場は下落します。
もう何だか、水槽の中の金魚みたいで、
ほとんど餌の匂いに条件反射で反応しています。
■ ダウも日経平均も、意味を成さない ■
日経平均株価は、既にダウ平均の従属変数の様になっています。
個人投資家が次々と撤退する中で、
株式市場は、コンピュータのプログラムが
決められたパラメータによって売買を繰り返し相場を形成しています。
日経平均は前日のダウの株価をモロに反映していると言え、
既に、日本の株式市場の独自性はかなり薄らいでいます。
日本株に影響を与えるダウにしても、
薄商いで、価格決定をコントロールし易い状況です。
一部の金融機関が意図的に株価を操作しているとも言えます。
■ QE3や日銀の追加緩和で景気は回復するか ■
QE3や日銀の追加緩和で景気が回復すると本気で信じている専門家は皆無でしょう。
アメリカはQE3で住宅市場が若干上向いています。
アメリカの住宅ローンはノンリコリースですから、
払えなくなれば、家を出て行けば良い。
住宅ローン破綻者は、家を手放せば債務から解放されます。
ですから、再び就職をして高給を手にすれば、
再び、住宅を購入する人も少なくないでしょう。
この点がアメリカの不景気が、日本よりも長期化しないと思われている原因です。
しかし、前提条件は、安定した職業に就く事です。
サブプライムショックで痛い目を見た金融機関は、
返済能力に疑問のある人のローンに二の足を踏むはずです。
でしから、アメリカの住宅市場が回復しても、
サブプライムショック以前の水準には絶対に回復しません。
むしろ、住宅市場は過剰在庫を抱えた状態ですから、
景気後退が明確になれば、せっかく芽吹いた新芽も一瞬にして枯れてしまいます。
雇用があって、初めて住宅購入が出来るのですから、
雇用が低迷する限り、アメリカの住宅市場は回復しません。
FRBはQE3によって、住宅の着工件数を増やして、雇用を創出しようとしていますが、
先行投資は直ぐに過剰在庫の壁にぶつかるはずです。
■ 景気回復のシナリオを想像できなくなってきた世界 ■
リーマンショック直後は、出口戦略やデカップリングなどという言葉が聞かれました。
しかし、世界は景気回復のシナリオを描けなくなっています。
メディアは、経済統計のほんの少しの回復に一喜一憂していますが、
統計を動かしている原動力が、量的緩和でばら撒かれたマネーですから、
統計が改善して当然で、むしろ改善が持続しない事を問題視すべきです。
■ ばくち打ちで無ければ、危機回避を考えるべき ■
日本の景気も、日銀の量的緩和で少し持ち直して見えますが、
株式や不動産市場に直接資金投入する日銀の緩和策は、
世界で最も積極的な緩和策とも言えます。
ソフトバンクへのメガバンクの2兆円に出資を、
「銀行が融資に積極的な姿勢を示し始めた」と見る向きもありますが、
私は、単に、民間資金がアメリカに流出している様にしか見えません。
米経済が失速したら、スッカンピンです。
世界経済が失速気味のこの時期に、何故リスクを負うのか理解不能です。
まあ、ソフトバンクの経営はいつもバクチですし、
さらに大きなバクチを打ち続けなければ、経営破たんするので、
銀行としても、付き合い続けなければならないのでしょう。
■ 8500円を底値で株を買い支える日銀と年金資金 ■
日経平均の最終防衛ラインは8500円の様です。
円高が進行して海外勢が株を売り始め、8500円になると日銀が買い支える。
ここら辺を底値として、海外勢の買戻しが入り、
株価は9000円代半ばまで回復します。
そして、頃合いを見計らって円高を仕掛け、
また売り抜けて、日銀からちゃっかり儲けをせしめる・・・・。
単純と言えば、これ程単純な手口はありません。
株式市場を外資に支配された韓国の事は笑えません。
明日は我が身。